「・・・分かったよ。」
半ば呆れ気味に佐久間さんが折れた。
私は基本、いい奥さんを演じている。
しかし、この帰省に関してだけは、
毎年だけど、譲らなかった。
年に数回帰るけど、またこの町に戻る時は、
何ともいえない憂鬱に襲われる。
最近では、こういった本当に小さな言い合いが、
頻繁に起こるようになっていた。
加奈が産まれた当初、子供の前で喧嘩をしない、
というルールを作ったにも関わらず、
最近は守られていない。
加奈の顔がいつもと違い曇っている事に、
私は気付かないでいた。
「今年はいつ行くの?」
この日、私はあかねちゃんとランチに来ていた。
「終業式が終わったら、そのまま行くんだよ。」
「へぇー早いね。
愛ちゃん、好きなんだねー地元が。」
「そりゃそうだよーこんな町、私は好きになれない!」
「あ、ひっどい事言うねぇ?」
「だってー。でも、あかねちゃん居ないから寂しいよ。
帰った時はいつも。」
「あら、じゃあトマトジュース、届けなきゃね。」
「来ないくせにー。」
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