スキー場のスタッフは空いている時間に無料で滑ることができます。このスキー場で働くまで一度もスキーをしたことがなかった私は早朝や夕方、休日など毎日のように滑りました。私の所属していたリフトは初級者用のコースでしたが、リフトを乗り継げば上級者用の高い所へ行くことができます。
大雪が降った後のある朝、私はいつものように色々な上級者コースにチャレンジしていました。
深くてやわらかい新雪の急斜面を無謀にも挑戦した私は、案の定バランスを崩し転倒し、しかも新雪の生き埋めになりました。スキーの板は一本外れましたが、一本は着いたままでかえって邪魔になり動けません。顔も沈んでいます。「あ~っどうしよう??」
あの時の感覚は今でも忘れません。
しかし、幸運にも、私の筋力は雪の重みを上回っていました。
数分後、脱出に成功しました。
しかし、外れた一本の板が私のいる位置より数メートル高い所に突き刺さっています。急斜面で深い柔らかい新雪。
まともに立てません!!と言うよりか、下半身近くまで沈んだ状態です。
ちょとずつちょとずつ、数分かかってやっと板を掴むことができました。
そして、板を二本とストック二本を持って、ちょとずつちょとず急斜面を降りて、苦心の末生還しました。