No ride,No 【life】. @FukadakeBase -40ページ目

No ride,No 【life】. @FukadakeBase

基本的にはバイク好きのネタですが
一見、道楽者に見えていながら
妻の精神的疾患を支える難しさなんかも書いています。

いろんな角度から見える「命・人生」がテーマです。

納車四日目の悲劇から、バイクは大した修理にならなかったものの

その年のシーズンは完全復活を遂げられずに終えた。



【復活と出会い】

次の年、またしても朝練を中心としたバイクライフがスタートした。

いつもひとりで、決まったコースを淡々と走る。

決まった休憩スポットで缶コーヒーを飲みながら一服する。

うちに帰って家族と休日を過ごす。



そんな過ごし方を1ヶ月くらい続けていたある日

運命の出会いをする事になる。



おれがひとりで走るのを見ていた人が居た。

当時やってたSNSで秋田のバイク乗りが集うコミュニティーがあって

そこに入ってたおれを、その人が見付けてメッセージをくれた。

「今度の日曜日の朝、チームの仲間と走るから来ないか?」

秋田に越してから、ライダーに戻ってから初めての誘いだった。

黄色いZZR1100に乗っているという情報だけはSNSから読み取れた。

結局その誘いに乗っかる。

「楽しく走りましょう!」なんて返信をすると

「うちのチームのメンバーもみんな遅いから、突っつかないでね」なんて返信が来る。

会ったことも見かけたこともない人達と走るのは物凄く緊張した。

当日、待ち合わせ場所だった峠の麓のスーパーの駐車場へ向かう。

時間はまだ早くて、一台も集まっていなかった。

缶コーヒーを買って、一服しながら待った。

すると一台黒いZZR1100が入ってくる。

全身を革で包んだ重厚にも見えるスタイル。

真っ白なヘルメットを被り、ただ者ならぬオーラを発していた。

「チームのメンバーの方ですか?」

恐る恐る話しかけた。

「メンバーっていうのとは違うけど、たまに走りに誘われるんだ。」

メンバーではないらしい。

駐車場に停められた、黒いZZRを観察する。

デビル管、オーリンズのリアサス、WPのフロントフォーク?スプリング?、バックステップ。

それだけでもお腹一杯だったのに、その人のリアタイヤは、キレイにサイドまで使われていた。

そんなときに黄色のZZRがけたたましいエギゾーストを奏でながら

駐車場の前を通過して、峠を登っていく。

おれを誘った張本人。

一緒に走る人もさることながら、確実におれの域を遥かに越えているのがわかった。

黄色のZZRはしばらく戻ってこなかったが、その間にも続々と集合してきた。

ZX-12R、ZX-9R、もう一台ZZR1100。

そして、ツナギを身にまとった隼。

どれもこれもが、リアタイヤがキレイにエッヂまで使われていた。

とんでもないところに迷い込んだ…。

それが正直な気持ちだった。


そこへ黄色のZZRが戻る。

名前を告げて、今日誘われた者だと改めて自己紹介。

皆が缶コーヒーで一服し終わると、走り始める。

黄色いZZRが先導して走り出す。

最後尾から追いかけようと皆が出て行くのを待っていると

中頃で行けとサインを出される。

仕方なく、列の真ん中ぐらいを走り始めた。

走り始めは穏やかにタイヤを暖めるような動きを見せながら

長い登りの直線を走る。

一つ目の大きな左コーナーが見えたかと思うと、明らかに先導のペースが上がった。

コーナーへの侵入、前をいくバイクのブレーキランプは光ることが無かった。

その時のおれのレベルでは明らかにオーバースピードを感じ、ブレーキングする。

コーナーに入っても、減速する気配は無い。

たちまちに遅れ始める。

コーナリングスピードが違い過ぎる。

コーナーでまだ慣れきらないバイクと、ビビリミッターが効いて

コーナーで開けられず、遅れを取り戻すために可能な限りの直線加速。

途中の奥で曲がり込むコーナーが一カ所あって、慌てて二度寝かせしたりした。

途中走ったことのない道へ入って、しかも先導から遅れていたので

左によって後続に引っ張ってもらった。

後ろから皆を見てると、無理をしてる感じが全くない。

キレイなフォームで曲がっていく。

何なんだこの人たちは?

なんだか嬉しくなってきて、ただただ速い人達の後ろを必死で追いながら


ヘルメットの中では終始ニヤニヤしてしまっていた。



もし、その顔を見ることが出来る人がいたら、きっと物凄く気持ちの悪い光景だっただろう。


とりあえずの目的地になっていた駐車場へ到着する。


ヘルメットを脱いでも、笑いは止まらなかった。


「めちゃくちゃ速いっすねぇ!すんごいです!」


正直な感想だ。



今までに体験したことのない世界を体験して、予想以上に喉がカラカラだった。


冷たい缶コーヒーで喉を潤す。



話の中に入りたい気持ちはあるのだけれど、ケタ違いの走り方を見せられた後では


何とも話しかけにくい空気もあり、さらにはチームというまとまりの中に


ポンっと放たれたおれはどこか滑稽な気さえした。



またしばらくダベリ、今度は来た道を戻る。



精一杯走っているつもりなのに、全く後ろから離れない。


もうこれは諦める他ないと、途中で左により右手で行ってくれと合図を出した。



理解の出来ない速さに初めて出会った。



ひとりで峠を下りながら、すんごい人たちが居るもんだと思いながらも


心は相変わらずドキドキしてウキウキしていた。



遅れて初めの集合場所へ戻る。



ヘルメットを脱いで話に混ざる。




「今日うちでバーベキューやるんだけど、もし良かったら来ない?」




その一言に乗っかって、その日おれはチームにメンバーとして迎え入れられた。

シングルからビッグツインへの進化。

この衝撃は凄まじかった。

そして迎えた悲劇。



【納車四日目の悲劇】

その日、上の娘の幼稚園の運動会が予定されていた。



納車から四日目のことである。


納車のウキウキ気分は薄れる事もなく、晴れたら乗りたいと思うのが性だろう。

SRXの頃から、バイクに乗るのは基本的に休日の朝と決めていた。

それは家族への配慮であり、同時に走ろうとする道路状況を踏まえてのこと。

その日も朝早くに目を覚まし、S2000と遭遇したお決まりのコースへ。

初めてのビッグバイクとVツインに翻弄されながら

これまでSRXで走った道を慎重に試しながら走る。

決して無理をせず、流す気持ちでコーナーを駆け抜ける。

朝早くの峠は、まるで別世界の人間になれたかのような

全ての柵から解放されたような感覚をくれる。

だから今でも、1人で走る朝早くの峠は好きだ。

まだまだ、VTRに慣れるには時間がかかると思いながら

その日の行程を走破して、自宅への帰路に就く。

峠を下って、無料の高速に乗り、自宅にほど近いインターチェンジを目指す。

高速の快適さもSRXとは全然違った。

6速巡航中からのトルクでの加速で、十分に追い越しが出来たし

カウルがあるって、こんなにも違うのかと思った記憶がある。

目的のインターチェンジで高速を下りる。

ここでうちまでの国道へ合流するんだけど

この当時は信号機がなく、高速側が一時停止して

T字路で合流する形になっていた。

しっかりと一時停止する。

ところが、エンジンストール。

慌ててセルを回し、かかるエンジン。

でも、スロットルへのツキが何となく鈍い。

左右を確認したが、調子の悪いバイクを気にして走り出す。

半クラでエンストしないように、回転を見ながらの合流。

思った以上に加速しないVTR。

その時悲劇は起きた。



おれの右側を削ぎ取るように、車が駆け抜ける。

擬音化が難しいイヤな音が響いた。

気付けば右ステップが無い。


そう、事故です。


車の左側面とおれのバイクの右側面との接触事故だった。

幸いにして転倒せず、怪我もなかった。


あとは警察を呼んで、簡単な事情聴取。

一時停止は確実にした。

エンストしてるから間違いない。

ただそこから合流までの安全確認がマズかったと警察に言われる。

実は任意保険を検討していたが、まだ加入はしていなかった。

だからひとりで、このあとのやりとりを向こうの保険屋として

結果、7:3でこちらが悪いことで片が付いた。

自腹で向こうの修理代を払った。

すぐに任意保険に入ったのは言うまでもない。

何もないのが一番いいけど、何かあったときのために

任意保険への加入はしておいた方がいいと思う。

そして、調子が悪いと感じたら、無理に走らず、路肩へ寄って

色々な確認の後に走り出す。

当たり前だけど、意外と出来ないこと。

これを学んだ日だった。




先日の受診時にデイケアの勧めを受けた妻。


勧められたことに対してなぜかガッカリしていた。


でも、昨日になって、朝いきなり


「今日デイケア見学に行ってみようと思う!」と。


少々その変貌には驚いたが、本人が行ってみるというので


気楽に見学しておいでと話した。



【デイケア体験】


お昼になると妻から報告のメールが届く。


午前中はレクレーションをやって、楽しかったとのこと。


なかなかいい出だしじゃないか!



しかも午前だけのショートケア体験というか、見学の予定だったのに


どうも楽しかったらしく、給食も一食あまる、というタイミングも相まって


初回の見学からデイケアになった。



仕事を終えてうちに帰り、デイケアの感想を聞く。


本人はかなり楽しんだ様子らしかった。


自分よりも大変な人が世の中にいるという現実が


妻にとってプラスに働くか、マイナスに働くか、それがおれの心配だった。


けどその心配はまずはしなくてよさそうだと思った。



昨日はひな祭りの次の日ということもあって、お茶会が催されたらしく


お茶をたてたことがあると話すと、ぜひやってみてと言われたとか


卓球をしたら、担当の看護師がものすごくうまかったとか


次々と楽しそうに話す姿がおれにも嬉しいことだった。



デイケアは登録制で、週3日開催。


登録しておけば、行きたいときに行けるし、行きたくなければ行かなくてもいい。


病院食ではあるものの、昼食も付く。



担当の心理士から、もう二日見学をしてみて、よさそうであれば担当医に相談して


そこから登録の申請をする手順だと教わったようだ。



明日、明後日が今週予定されているデイケアの残り二日間。



きっと妻は行くと思う。



社会復帰への第一歩を大きく踏み出せたと本人も嬉しそうであり


また、今まではどこか人の様子を窺うばっかりだったから


今度は自分のためにしっかり生きてみようと思う(*^_^*)なんても言っている。



いろいろな可能性が、妻の前にビジョンとして広がり始めたんだろうと思う。



やっぱり生きるには楽しみが必要不可欠だ。



妻には妻の楽しみ方を、確実に見つけて、生きる喜びを感じてもらいたい。


それがちょっとだけ垣間見えた気がして、とても嬉しい出来事だった。