「変則」という落とし穴。 | リングサイドで野次を聞いた ~独善的ボクシング論

リングサイドで野次を聞いた ~独善的ボクシング論

マニアの隠れ家を目指します。
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フランシス・ガヌー、アンソニー・ジョシュアに2R、KO負け。そうだよなぁ・・・と思える結果だが、ガヌーが前戦でタイソン・フューリーにダウン奪ったりしてるので正直、一抹の不安もありました。

 

 

ガヌーがフューリーからダウンを奪えたのはフューリーの油断もあったと思いますが、もともとがボクサー志望でちゃんとしたボクシングを学んでいたからだと思います。

キッチリとガードを上げて、ジャブを付き、引手を意識してバランスを崩さない・・・練習生がジムで最初に教わることを気の遠くなるまで反復して身体に浸み込ませたものですね。

油断をしなかったジョシュアとは練度の差がそのまま出ました。

本来はフューリーがやるべきことをジョシュアがやってくれた形になり、ほっと胸をなでおろしたファンも多かったでしょう。

 

さて、よく他競技からボクシングに挑んでくる選手がその競技特有のパンチ技術で対抗しようとすることがあります。

曰く「自分のパンチはボクシングとはタイミングも違うので読めないと思う。」とか、何とか。

そりゃチャレンジする側がMMAなりキックなりの王者クラスでボクサーがデビュー間もない4回戦とかなら何とかなるでしょうが、そういうチャレンジ側が求めるのは何故か、メイウェザーとかパッキャオや井上尚弥の名前を出したりします。

 

 

 

メイウェザーと対戦した方々はどうなったのか。

エキシでありながらガチ勝負を挑むという歪な戦いを挑んだ結果がグゥの寝も出ない惨敗です。うち一人は本気でボクシングに目覚めてくれて、こっち側でいろいろチャレンジしてます。

あと一人は・・・イベント屋としては盛況ですが、本業はちょっと苦戦してるみたいですね。個人的には嫌いでないので、イベントを誰かに渡して完全にファイターに針を振り切っていただくともう一花咲かせると思うのですが。勿体無い。

 

他競技からボクシングに転向してきた那須川天心にしろ武居由樹にしろ、従来のセオリーからすると変則ではあるものの、みっちりとジムでボクシングの基本を身に付けたうえでのもの。

いわばバックボーンが無い状態で無謀な挑戦を挑む選手とはわけが違う。

MMAやキックの技術はあくまでもその競技の中で勝つために磨き上げられたものであって、他の競技にそれがそのままアジャスト出来るものではない。

甘い認識でメイウェザーだのパッキャオだのといつまでも言い続けてると相手がセミリタイアしたレジェンドでもいつか参事が引き起こされることになるのではないかと思います。

変則が通用するのは正当な基本が高いレベルで身体に染み付いてるから。「変則」という特別な近道はありません。