世間一般の耳目を集めるには、数字で訴えるのが効果的ですが中身が伴っていないと総スカンという例も多々あります。亀1の惨買級制覇とか、井岡のロマゴン逃亡して11戦目の二階級制覇(当時の国内最短)とかね。
それはともかく、史上最多KO記録更新はよく狙われてます。KOというボクシングの華を積み重ねていくので華々しいものになりますし、タイとかインドネシアのカマセと戦えば、すぐにでも到達出来ると思われてるんでしょうね。
別府が15連続KO勝ちの記録をかけてチャールズ・ベラミーと対戦します。
やはり、浜田さんの持つ「15」、新記録たるべき「16」をそこらのカマセ相手に達成することはボクシング・ファンの顰蹙を買うということを理解していたみたいです。ジムの方針で一時期はとにかく記録達成を・・・という感じだったので心配でしたが、まずは一安心。
ここ最近の過去の事例でも探ってみますか。
※リングネーム、所属ジムは記録継続当時のものです。
1.丸山大輔(筑豊):13連続KO(9連続1R KO)
※連続1RKO勝ちを収めた相手の8人が無勝(デビュー4人含む)、13連続KOした相手の8人がタイ人で、13人の全成績が5勝26敗。いくら話題作りとはいえねぇ・・・
2005年8月にOPBFのSフライ級王者である有永に挑むも9RTKO負け。
あからさまに勝癖をつけるマッチメイクだったが、このツケがタイトルマッチという本番で回って来てしまったのは残念としかいいようがない。
2.金井晶聡(姫路木下):14連続KO
※14連勝のうち最初の7人が日本人相手、最終的には8KOが日本人によるもので、やはり新人王に参加した頃の連続KOには価値があるといえる。7戦目では6勝無敗の相手とも対戦しているので、8戦目以降にタイ人選手が増えたのは記録を意識しだしたからだろう。
14人の通算成績は56勝39敗7分、最初の7戦に限っていえば14勝2敗2分になるので連続KOでも前半と後半には内容に開きがあったということか。
2005年に15戦目で日本タイをかけた一戦で日本王者の榎に挑んで7RTKO負け、また2010年には東洋王者の三垣に挑んだものの6RでTKO負けと残念ながらタイトルと無縁に終わってる。記録に拘らずにキャリアを積んでればと思ったりもする。
3.牛若丸あきべぇ(協栄):15連続KO
※あきべぇも新人王を狙ってただけに最初の7戦は日本人相手で全日本決勝では細川に勝っていたり、その後もルイス・オカモトに勝利していたりする。亀田家で練習を積み重ねてから相手の質は落ちたが、2006年11月~2007年5月までの間に5戦続けてインドネシアの選手と対戦してるからこのときのあからさまな記録狙いが当時、ファンの不評を買ったのだろう。しかし、15戦目でバキロフをKOしたり、結果、負けたけど16戦目で日本王者の湯場に挑んだ心意気は買いたい。史郎は記録狙いのカマセを用意してたけど、蹴ったものね。
相手の通算戦積は115勝68敗14分。
スタイルが攻撃特化だったのでこの後3連続KO負けなどもあり、立て直しが大変だったが。
4.別府優樹(久留米櫛間):14連続KO
※チャーリーとは引き分けで連続KO記録は途絶えたみたいですが、評価は上げたみたいです。チャーリーの加齢や階級が本来よりも一階級下であることを割り引いても、2Rでダウン寸前まで追い込んだ別府の攻撃力は本物だったみたいだ。ただ、4R以降に息が切れてしまうなど、ここ何戦かカマセとの試合を続けてた弊害は出てたみたいですが。
別府のここまでの相手は最初の8戦は日本人。全日本の新人王を獲った後が不味かった。特にイメージを損ねたのは12~14戦目。9戦目以降はタイか韓国ばっかりでしたからねえ。ちなみに相手の合計戦積は31勝26敗。数字だけならまずまずではないでしょうか。
別府には日本王者の有川に挑む以外にも上記の渡部(あきべぇ)との新旧倒し屋対決も期待したいところです。ただ、地元に籠ってタイ人と無為なキャリアを積み上げるならば、中央へ遠征してチャンスを掴んでもらいたいですね。もうカマセ相手に勝癖をつけさせる必要もないと思います。
追記:動画でチャーリーvs別府を視聴したのですが、個人的には2~3差でチャーリーと感じました。あの会場の雰囲気の中だと別府優勢とも取れるのででしょうが、パンチを食らった後の体勢の崩れ方などを観ると、攻撃面と比して防御というか守勢に回ったときに拙さが見える気がします。
別府にとっては連続KOの記録よりもこの試合を行ったことの価値が何十倍もあると思うので、記録を気にせずに上を目指すマッチメイクを陣営はガンガン組んでもらいたいですね。