梶原劇画スーパースター列伝~大山茂~ | リングサイドで野次を聞いた ~独善的ボクシング論

リングサイドで野次を聞いた ~独善的ボクシング論

マニアの隠れ家を目指します。
中津の生渇きの臭い人はお断り。

先日のケビン・ランデルマンに次いで大山茂先生もお亡くなりになられてしまいました。
ランデルマンと異なり、茂先生の時代は総合はもちろん、空手の優劣を競うのも伝統系(寸止め)しか無かった時代で選手としての公の実力を世に知らしめることが出来なかった混迷期でした。
その代わりと言っては何ですが、いわゆる路上の実戦(喧嘩)で腕試しをしていた世代です。
極真カラテがフルコンタクトの大会を開催する前までは打撃系の格闘技で測定可能な実力を競えていたのがボクシングだけだったわけなので仕方無いですが。(キックが入ってくるのはもう少し後。)

大山茂の組手は獰猛で荒々しかったと言われます。実際に先陣を切ってアメリカに送り込まれた茂先生は実証主義のアメリカ人に空手の実践性と自身の強さを証明しなければなりませんでした。
体格差があり、ボクシングやレスリングを普通に齧ってる人が多い国ですから、よほどの強さの信頼が無いと大山総裁も茂先生を海外派遣などしなかったことでしょう。
※ちなみに茂先生と大山総裁は同じ大山姓でも血縁関係はありません。



あと茂先生と言えば中村忠氏と見せる真剣白刃取りが印象強いです。私は91年6月の正道会館vsUSA大山空手、5vs5マッチのときに生で初めて見たのですが、会場がシーンと静まり返り、緊張感に溢れていたことが忘れられません。



あのウィリー・ウィリアムスが最も恐れ、尊敬していたのですからその強さ、怖さは疑うことも無いでしょう。競技で語れない場で人間力も含めての強さを持っていた昭和の格闘家がまた一人、鬼籍に入ってしまったことは残念です。ランデルマンともご冥福をお祈り致します。