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伊勢市心理カウンセリングセンター代表の山田靜弥@左片麻痺です。

私は30代半ばでうつ病を経験しました。

寛解までには長い時間が必要でした。

今回は寛解のきっかけとなった、認知の変化を書いてみたいと思います。

どうかお付き合いください。


前回までの記事の続きとなります。併せてお読みください。

私のうつ病経験記〜1〜


私のうつ病経験記〜2〜





【寛解への鍵】相手を変えようとする苦しみから、自分を変える解放へ

​1. 伝えたいのに伝わらない、あの苦しみ

​前回、私は復職から寛解に至るまでの道のりについてお話ししました。その中で、最も精神をすり減らしたのが「家族との関係」でした。
​復職したとはいえ、私はまだ通院や服薬を続けている状態です。しかし、家族は「復職=もう健康になった」という、ある種の誤解や偏見を持っていたようです。
​時短勤務や通院を続ける私に対して、家族から投げかけられる心ない言葉。私はその都度、「うつ病とはどういうものか」「なぜ治療が必要なのか」を必死に、そして丁寧に説明しようとしました。
​「これだけ時間をかけて話せば、きっと理解してもらえるはずだ」
​そう信じて説明を繰り返すものの、結局理解は得られませんでした。なぜ伝わらないのだろう? なぜわかってもらえないのだろう? この「伝わらない苦しみ」は、当時の私にとって、病気の症状以上に辛いストレスでした。説明するたびに消耗し、疲弊していく一方でした。

​2. 認知を変えるきっかけになった「問い」

​いくら説明しても変わらない家族。その現実に直面し、私はある時ふと立ち止まり、問いを自分自身に向けました。
​「なぜ、私はこんなにも『相手に理解してもらいたい』と願うのだろう?」
​「自分自身にも、相手のものの見方や考え方を理解できていない部分はないだろうか?」
​この意識の転換が、私にとっての大きなターニングポイントになりました。これまでは「家族という他者を変える」ことにエネルギーを注いでいましたが、ここからは「自分自身の見方や考え方を変える」という、内側への改善作業へと舵を切ったのです。
​振り返れば、これは後に知った「認知行動療法(CBT)」に近いアプローチでした。私はこの作業を、セルフCBTとして実践していきました。 

​3. 私が行った「認知の歪み」の自己修正(セルフCBT)

​「認知の歪み」とは、物事の捉え方や考え方が偏り、ストレスを強く感じてしまうパターンを指します。私の場合は、「説明すれば、必ず理解してもらえるはずだ」という過度な期待が大きな歪みでした。
​私はこの期待を手放すために、考え方を具体的に修正していきました。
​💡 例 1:家族の心ない言葉を「真実」として受け取るのをやめる
​以前の私:「あの言葉は、私がダメだという証拠だ」
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修正後:「あの言葉は、病気や時短勤務への不安の裏返しかもしれない。または、ただの偏見によるもので、私の価値とは関係ない」
​言葉を「自分の存在を否定するもの」ではなく、「相手の不安の現れ」として捉え直すことで、感情的なダメージを減らしました。
​💡 例 2:「説明責任」という重荷を手放す
​以前の私:「家族だから、私は病気のことを全て説明し、理解させる責任がある」
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修正後:「理解は、相手がすること。私は最低限必要なことだけ伝えればよく、相手を変えることはできない」
​「理解してもらいたい」という期待を根本から手放したことで、「裏切られる」というストレスそのものが消滅しました。

​4. 「相手は変えられない」を受け入れる解放感

​この自己修正作業の中で、最も私を救ってくれたのは、シンプルな真実でした。
​相手を変えることはできない。変えようと努力すること自体がおこがましい。
​この気づきを得るまで、私は自分が描く理想の家族像や、理想の理解を求めて戦っていました。しかし、相手の価値観や考え方は、相手自身の人生経験から生まれてくるものであり、私の一方的な説明で変えられるものではないと心底理解できたのです。
​この「変えられない現実を受け入れる」という受容の瞬間に、私は初めて大きな解放感を覚えました。他者への執着を手放したことで、私自身のものの見方、受け取り方、考え方が大きく、そして楽な方向へと変容していきました。

​5. 認知の変容がもたらした3つの変化

​自分自身の認知が変わると、周囲の景色も変わっていきます。私の日常にも、以下のような変化が段階的に起こり始めました。

​1. 言葉の変化

​他者に対して、攻撃的で感情的な言葉、あるいは必死に理解を求めるような説明的な言葉が減りました。代わって、冷静で、自分を責めない言葉を選ぶようになりました。

​2. 趣味嗜好の変化

​ストレスを溜めるような活動や、人目を気にした趣味から離れ、純粋に自分が安らげる、心地よいと感じるもの(例:資格勉強、散歩、静かな時間)を選ぶようになりました。

​3. 人間関係の変化

​私を疲弊させる人や、理解のない関係から自然と距離を置くようになり、エネルギーをくれる、心地よい関係だけを選ぶようになりました。
​このポジティブな連鎖が、現在の私の心身の基礎を築いたように思います。

​6. 寛解とは、自分との付き合い方が変わること

​うつ病の「寛解」とは、単に症状が消えることだけではありません。
​私にとって寛解とは、「ストレスの受け取り方を変え、自分自身の考え方を変えることで、病気になる前の自分とは違う、新しい自分との付き合い方を身につけること」でした。
​相手を変えようとする無駄な戦いをやめ、自分自身を変えるという、最もシンプルで最も難しい作業を続けた結果、私は楽に日々を過ごせるようになりました。
もし今、人間関係や環境を変えようとして苦しんでいる方がいたら、まずは「自分の認知」を見つめ直してみてはいかがでしょうか。そこには、あなたを縛る「認知の歪み」があるかもしれません。


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