さようなら
もう限界
今思えば思い出なんぞ儚いモノ
たかが十数年の思い出など、
これからの人生であっという間に消えてゆく
現に、あなたがいつも語る「私」など
私自身何の記憶もないのだから
一時的な小さな過去に固執し、惑わされ、
相手の未来を見渡せない人間との思い出なんて
一刻も早く消し去らなければ私の心はもう保たれない
これからの生き方を守るため、私は一つの決断をした
あの日のあの台詞によって
怒涛のように溢れだした思いを
どうしてもどうしてもどうしても押さえることができず、
もう二度と、もう二度と、決して、曲げられない決断をした
それゆえ、
もう二度と言葉を交わすこともないだろう
「言葉を交わすこともない」
これが全て
小さい奴だと言えばいい
ただ、ここ30年生きてきて、
感情を殺してまで保とうとしていた理性が一瞬で吹っ飛ぶような
精神状態になったのは初めてだった。
全身の震えがしばらく止まらないほどの
意味のわからない感情の渦巻き方。
周囲には見栄を張り、平常心を保ってみせたが、
一番近くにいる人間には、
私の神経のどこかがキレているのは隠すことができなかった
言動がおかしかった
おかしな笑いが時折飛び出す始末
「少し休みなよ」
そう言われて倒れこんだ
目も閉じることができず、神経は過敏に冴えていた
これは二度と忘れられないだろう
この時期特有のものかもしれないが、
そうであるがゆえに、また、忘れられないのだと思う
時間が解決する…
するわけないのだ
さようなら