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日経メディカルからの情報シェア

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昨今、医療番組ブームでたくさんの医療情報がありますが、数ある中で最も内容が胡散臭いと言われているのがこのNHK『ガッテン!』です💢

  

  

今回のインチキ放送は、大阪市立大学医学部関係者からの情報ではなく、番組の独断とのことですが、ボクのところにも「ベルソムラを処方して欲しい」という要望が既に(放送の翌日に)来ていました。

 

「新薬なので、14日分しか処方できません」と説明したら、ボクが処方を渋っていると思い込んだ患者さんが、わざわざ番組案内に掲載された内容をコピーして送って来ました。

 

患者さんとの信頼関係にも関わってくる、ものすごく迷惑な話です💢

  

  

糖尿病は、動脈硬化を進行させて、脳血管障害・虚血性心疾患から慢性腎臓病(CKD)・認知症などの原因となる最も重要な基礎疾患の1つです。免疫系に障害を与え、白血球(好中球)機能を阻害することによって、細菌や真菌による感染症に対する生体防御能を低下させてしまいます。

 

医師の視点では “そんなに甘い病気では無い” というのが現場の実感です。「オレはベルソムラを服用しているから、糖尿病にはならない」などと過信して、それが発症のきっかけから、行く行く命取りになるようなことがあれば、重大な責任を伴うことになります。

  

  

「睡眠障害(熟眠障害)は糖尿病のリスクを高める」という文章と「熟睡時に出る脳波(デルタ波)が糖尿病を予防する」という文章は、論理学的に全く逆の関係になり、イコールではありません。

  

  

医学の分野には、例えば「腫瘍マーカーの異常値と悪性腫瘍発症の関係」など、論理的な整合性が怪しい問題が山積しています。医師免許を持つ専門家ですら眉唾な過ちを犯しかねない繊細な問題で、

しかも膨大な患者さんの健康と生命に直結する疾患について、国営放送が軽々に「思いっきり〜」とか「〜の家庭の医学」のような民衆煽動を行うようなことは、絶対に許されないことです。

  

  

★重要★ ベルソムラは「睡眠導入剤」ではなく、「睡眠習慣改善剤」である❗️

 

なお、「ベルソムラ」は従来の睡眠導入剤と全く異なる作用機序で、従来の睡眠導入剤のように頓用で服用することは推奨されていない薬剤です。

 

普段から緊張が強くて「入眠障害」を来している方や「熟眠障害」でぐっすり眠れない方などに有効で、睡眠障害の治療に精通した医師の監督下で、睡眠習慣を是正することを目的として治療に用いる薬剤です。

 

 ※「不眠時頓用」としか睡眠導入剤を処方できない医師は、「ベルソムラ」を処方しないでください。

  

  

  

=== 以下引用 ===

  

  

コラム: くめやすはるの「健康番組タメツスガメツ」

 

2/22放送 NHK『ガッテン!』から

NHKさん大丈夫?ベルソムラで糖尿病予防って

 

2017/2/27

 

〔出典〕

 

http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/series/kume/201702/550337.html?n_cid=nbpnmo_twbn

 

 このコラム、だいぶご無沙汰しちゃっていたのですが、2月22日放送のNHK『ガッテン!』でトンデモナイ内容が放送されたと聞きつけまして、NHKオンデマンドで久々に視聴してみました。ちなみに、『ためしてガッテン』って、1年ほど前に番組名が『ガッテン!』に変わりました。その理由はあまり説明されていないように思いますが、試すことを重視しないというコンセプトに変更したんですかね。あと『!』も付いたんだなあ。ビックリするような情報をお届けします、ってことなのかな……。

 

 さて、今回のガッテン!のテーマは「最新報告!血糖値を下げるデルタパワーの謎」です。まず、デルタパワーってなんじゃ?ということですが、脳波のデルタ波のことだそうです。ノンレム睡眠のときに多いとされる脳波です。深い眠りのときに出現すると言われています。このデルタ波の“効用”をデルタパワーと呼んでいるわけです。

 

 で、この睡眠と糖尿病の関係については、比較的古くから注目されていまして、日経メディカル Onlineでも2011年の世界糖尿病会議で発表されたコホート研究の結果が記事になっています(関連記事:睡眠障害は2型糖尿病の独立したリスク因子)。今回のガッテンに登場した大阪市立大学医学部代謝内分泌病態内科学教授の稲葉雅章先生も、このテーマを研究されています(ニュースリリース:睡眠障害が糖尿病の血糖改善や血管障害防止に有効な治療ターゲットであることを解明)。この稲葉先生の研究が、今回の番組のネタ元だと思われます。

 

 番組内でも紹介されていましたが、睡眠障害が糖尿病をなぜ引き起こすかというと、深い睡眠が取れない→ストレスホルモン(コルチゾールやアドレナリンなど)が分泌される→血糖値が上昇する→交感神経が優位になる→ストレスホルモンがもっと出て睡眠も浅くなる、という悪循環が起こるからだそうです。この悪循環を解消するべく、深い睡眠をとりましょう、と。睡眠が深まれば、ストレスホルモンが下がり、血糖値も上昇しない。だから交感神経も落ち着いて、さらに睡眠が深まるという好循環が生まれるという説明でした。

 

 だから、血糖値が気になる人は、深い睡眠がとれるように、日中によく体を動かしましょう! みたいな呼びかけであれば、NHKの健康番組らしい展開で何の問題もなかったわけです。実際、番組内でも「だから寝る前に軽く体を動かそう」みたいなくだりはあったんですが、それとは別のソリューションとして、「睡眠薬が糖尿病に効く!」というのがフィーチャーされちゃったんです。

 

 そうした研究は実際に行われているのでしょうし、研究すること自体は何も悪いことはないんですが、それをエビデンスが確立されているかのように、一般向けの健康番組で高らかにうたったら、そりゃあ、どう考えてもマズイですよねえ。

 

 ネット上での医療関係者のつぶやきによると、放送の翌日から「糖尿病に効く睡眠薬をくれ」という患者が全国の医療機関や薬局に押し寄せているようです。まだ先週放送されたばかりの番組ですし、今のところ再放送もする予定らしいですから、これから皆さんのところに相談が来るかもしれません。

 

 具体的に、番組内で睡眠薬のことがどう扱われたかと言いますと、「最新の睡眠薬で糖尿病が治る」という説明とともに、画面上に「オレキシン受容体拮抗薬(2014年発売)」というテロップが出ました。一般名や商品名は番組内では触れられていませんが、つまりはスボレキサント(商品名ベルソムラ)のことですね。別のシーンでは、「新たな睡眠薬で熟睡を増やせば血糖値を下げることができる」と、これまたしっかりとテロップ表示されていました。

 

 このサイトを見ている方であればご承知のことと思いますが、スボレキサントは処方箋医薬品(医師の処方箋がなければ交付できない医薬品)ですし、2017年2月現在、適応は「不眠症」しかありません。添付文書には、「二次性不眠症に対する本剤の有効性及び安全性は確立されていない」とも書かれています。言わずもがなですが、糖尿病の予防や治療にスボレキサントを使うのは、完全に適応外使用となります。

 

 加えて、この日の番組に呼ばれたゲストタレントが「睡眠薬って日中まで眠くなりそうなイメージがありますけど大丈夫なんですか」と質問したときに、稲葉先生が「こういう薬剤は新しいですので、非常に安全性が高くなっています」と回答してしまっているんですね。気持ちはわかりますが、当然スボレキサントにも副作用はありますし、添付文書上では最も多い副作用が「傾眠(4.7%)」となっているんですけども。

 

 このコメントを受ける形で、番組のMCである立川志の輔さんもノリノリで「糖尿病予備群の方、これで安全に血糖値を下げることができます!」なんて言っちゃいました。うへー、そりゃあ糖尿病予備群の人は、この薬を欲しくなりますよねえ。

 

 NHKさんとしては、いつもの「この野菜が○○に効く」のノリで放送しちゃったのかもしれませんが、今回のは医薬品ですからねえ。NHKのディレクターやら偉い人がチェックできなかったんでしょうか。

 

 『週刊現代』の歪んだ医薬品バッシング報道やら、『WELQ』の間違った医療情報大量垂れ流し事件やら、最近、医療・健康情報がらみで色々な問題が起きていますが、医療現場の方からすれば、『ガッテン!』、お前もか!って感じでしょうね。しかも今回は、その辺を一番きっちり確認しているはずのNHKによる“犯行”ですからねえ。はあ~。

 

■追記(2017/2/27 10:30)

・NHKが、この日の放送内容について、番組ホームページにお詫び文を掲載しました。

・番組ホームページに再放送の予定日時の掲載がなくなりました。

  

  

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 NHKによる謝罪文

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〔出典〕

 

http://www9.nhk.or.jp/gatten/articles/20170222/index.html

  

  

「最新報告!血糖値を下げるデルタパワーの謎」をご覧になった皆様へ

 

今回、放送後に多くのご指摘をいただきました。

番組は、“睡眠を改善することで血糖値が下がる”という医療現場の最新研究を紹介したものでした。糖尿病の背景のひとつに睡眠の問題があることをお伝えするのが、番組の主旨でした。

 

しかしながら、説明が不十分だったり行き過ぎた表現があったりしたため、「睡眠薬の不適切な使用を助長しかねない」「副作用を軽視している」などと、ご批判を受けました。

視聴者の皆様、医療現場の皆様、関係者の皆様に誤解を与え混乱を招いてしまったことを、深くお詫び申し上げます。以下に、ご説明いたします。

 

★睡眠障害と血糖値の関係について

 

睡眠障害が血糖値の異常をもたらすことは、シカゴ大学など様々な研究機関から報告されており、広く知られています。大阪市立大学医学部附属病院では2015年から、糖尿病患者のうち睡眠障害を合併している方を対象に、睡眠薬を使って睡眠障害を改善する臨床研究を行っています。睡眠障害が改善したことで、17人中、14人の血糖値が改善したというデータを番組ではお伝えしました。

しかし、番組内に「睡眠薬で糖尿病の治療や予防ができる」などの行き過ぎた表現や短絡的な表記があり、あたかも睡眠薬を糖尿病の治療や予防に、直接使えるかのような誤解を与えてしまいました。あくまでも睡眠障害と診断された方に対して、医師が睡眠薬の処方が必要であると判断した時にしか行えないことを、もっと明確に述べるべきでした。

 

★番組に登場した睡眠薬と、その副作用について

 

今回、番組では、「オレキシン受容体拮抗薬」という睡眠薬を中心に紹介しましたが、これ以外の睡眠薬にもそれぞれ利点があり、血糖値が下がったという研究も報告されています。

番組で「オレキシン受容体拮抗薬」をとりあげたのは、大阪市立大学医学部附属病院が、「運動障害の副作用の報告が少ないことに加えて、睡眠により選択的に効果があり、睡眠の改善と血糖管理の関係を見やすい」という理由で、この薬を使用していたためです。

番組では、「副作用は少なくなっていますが医師の指示に従って服用してください」とお伝えした一方で、「副作用の心配がなくなっている」などという表現がありました。運動障害の副作用は少ないとはいえ、悪夢や頭痛などの別の副作用は報告されており、大変不適切でした。

 

スタジオにご出演頂いた専門家は、「GABA受容体作動薬」、「メラトニン受容体作動薬」など他の薬剤についても説明されていましたが、その内容を十分にお伝えできない編集となってしまいました。また、薬剤名がわかる状態で薬を手に持つ映像を紹介したことも、あたかも番組や病院が、この薬だけを推奨しているかのような印象となってしまい、配慮に欠けていました。

睡眠障害の治療には、生活習慣の改善など様々な選択があり、睡眠薬を使用するかどうか、どの種類の睡眠薬を選ぶかなどは、かかりつけの医師や睡眠専門の医師の判断に従ってください。

 

この混乱を招いてしまった原因は、ご出演して頂いた専門家ではなく番組にあります。お詫び申し上げます。

  

  

  

【参考】

 

ベルソムラの作用機序

(薬局実習.com)

 

http://xn--rbt9ni59fe5e.com/%E4%B8%8D%E7%9C%A0%E7%97%87%E8%96%AC/%E3%83%99%E3%83%AB%E3%82%BD%E3%83%A0%E3%83%A9.html

  

 

 

日経メディカルからの情報シェア

  

   

この医学雑誌にはボクも先代の編集長時代にずいぶん記事や論説を書いたので、今だに献本をいただいていますし、

 

副編集長のひとりは、かつてカナダ🇨🇦の『マクマスター大学医学部・臨床疫学大学院』のEBM指導者養成コースにて、

聖路加財団のフルブライト留学派遣で同級生だったこともあって、すごく親近感があるのますが…

( ̄_ ̄|||)

 

編集長が替わってから、すいぶん親しみやすいコラム的な記事が増えた反面、学術的あるいは格調の面で、質的に些かレベルが低下した感は否めません。

 

… 少なくとも、こういう患者さんの誤解を招くような記事(タイトル)はいけませんな💢

  

  

  

ボクはこれまで、四半世紀にわたって、

通算26件の医療過誤訴訟の被害者側鑑定に携わって来ています。法廷にも、何度も立っています。

 

医療過誤事件を年に1件ペースというのは、弁護士でもそうそう経験者はいないでしょう💧

四半世紀を通して、いろいろな経験をしてきましたが…

  

     

● 医療従事者も人間ですから、明らかなミスはあります!〔きっぱり!〕

 

● 技術や知識が稚拙だったり、不勉強なために起きる事故もかなりあります。

 

● 一方、例えば、アナフィラキシーショックのような、予見不可能な事故もあります。

 

更に、

  

● 患者自身や親族、あるいは弁護士の訴訟誘導によるたちの悪い、医師への恐喝紛いのケースも見て来ています。

 

しかしいずれの場合でも、訴訟までのトラブルに発展するケースに共通しているのは、

  

 ★ 訴訟に至る過程に、医療者側と患者側との

   ミスコミュニケーションがある

 

ということです。

  

● 医療側が頑なに証拠提出を拒んだり、証拠隠滅を図って、民事だけでなく刑事訴訟にまでこじれるケースが多くみられます。

  

逆に、

  

● ボクの鑑定の結果を踏まえて、やっと過失に気がついた医療機関が過失を認めて謝罪して、遺族の意向を汲んで

 

「損害賠償の金額は問わない」

 

という、大岡裁判のような判決に至った事件も実際に経験しています。

信頼関係の破綻という側面を踏まえて、医療過誤事件に際して、

最も重要なことは、

 

 ★ 医療者側が、患者さん側に対して、

  誠実かつ丁寧に対応すること

 

に尽きます。

  

  

● 愛のある良識的なコミュニケーションを心がけていれば、

患者さん側の誤解なら必ず解けるし、

仮に恐喝でも、法外な金銭的要求などの理不尽は、法〔裁判所〕が必ず退けて守ってくれます。

  

そして、特筆しておきたいのは、

  

● 裁判というと「怖い」というイメージが先行しがちですが、我々一般人が抱くイメージよりも、

実際の司法の現場はずっと人間的です。

  

突然患者さんや親族、代理人から不信感をぶつけられても、動揺して逃げたりせずに、初動の段階で、きちんと対応することが出来るかどうかで、その後の予後がかなり変わります。

  

  

  

医師・医療者側に対して、ひとことアドバイスすると…

 

  ★『医療事故損害賠償保険』に、

   必ず加入して下さい❗️

 

補償額は保険会社により若干の差がありますが、だいたい『一事故2億円、年間3件まで』というのが多く、

(そんなに事故を起こさないのが当たり前ですが、どうやら、リピーター医師というのも存在するようです…💧)

 

学会や医師歯科医師協同組合などの団体加入で、掛け金は年間5万円弱の掛け捨てです。

  

  

ただし❗️

この損害倍賞保険は、医師が保険会社に責任転嫁をさせるものでなければ、患者さん側に好きなだけ損害倍賞請求をさせるものでもありません❗️

 

高額な損害賠償を伴う医療過誤では、必ず司法の専門家の目を通して公平に賠償が行われますので、保険に入っておけば保険会社から弁護士を紹介してもらえます。 

  

  

解決までの話し合いの場には、① 裁判、② 調停、③ ADR(裁判外紛争解決機関)の3つがあります。

 

費用や時間の問題に加えて、医療は専門性が高くて法律家にも理解が難しいと言うことで、日本弁護士連合会が、全国の弁護士会と協力して『医療ADR』という紛争解決機関を設置しています。

  

  

  ★日本弁護士連合会 医療ADR

 

http://www.nichibenren.or.jp/activity/resolution/adr/medical_adr.html

  

  

 

ボクが実際に法廷で鑑定結果に基づいて質疑応答をしたケースで、大企業の産業医2名が健康診断の結果で悪性腫瘍を見落としてしまい、医療過誤訴訟に至ってしまったのですが、産業医が2名とも前述の損害賠償保険に加入しておらず、過失割合を巡って、医師2名がそれぞれ個人で弁護士に依頼したところに、会社の弁護士も加わって、3名の被告が法廷で見苦しく😓

お互いに責任をなすりつけ合うという光景を目の当たりにしました。

  

医療訴訟では、お決まりのように、鑑定人の証言能力をディスカウントするという不愉快な想いをするのですが、案の定💧…

「どの段階で悪性腫瘍を診断しなければいけなかったのか?」という部分で、ボクの証言が過失割合に大きな影響を及ぼしますので、被告医師側の弁護士による、代わる代わる僕に対する悪口尋問から始まるという、極めて不愉快な裁判でした。

(品のない弁護士は、ヤクザやチンピラ以下です💧)

 

2人の医師は損害賠償保険に入っていなかったため、弁護士も自腹で雇わなければいかず、雇われた弁護士としても、過失割合によって損害賠償額が大きく左右されますから、専門家証人(鑑定人)のディスカウントから、お互いの責任のなすりつけ合いも熾烈を極めていました。

 

このような事態を回避するためにも(ひいては不幸に見舞われる被害者・患者さんのためにも)、臨床医ではない産業医や、検診のバイトをしている基礎系の先生方も、決して自己の臨床能力を過信せずに、前述の損害賠償保険には必ず入っていただきたいと思います。

  

  

  

以上、医療過誤事件・訴訟に際して必要なことは、

 

【1】突然の通知にも動揺せずに、患者さんとの誠実なコミュニケーションを心がけること

【2】医療事故損害賠償保険に加入すること

 

この2つに尽きます。

  

  

=== 以下記事本文引用 ===

 (医師限定で表示できないことがあるので)

  

医療過失の95%を回避する術、教えます

 

 訴訟大国と呼ばれる米国では、ほとんどの医師が訴えられた経験を持つといわれるが、国営の医療サービスが普及している英国でも医療訴訟は珍しくない。

 『Avoiding errors in General Practice』によると、国営の医療サービスに対する過失訴訟を扱う団体(NHSLA)の報告で、2010年に8億6300万ポンド近く(1ポンド140円換算で約1200億円!)が医療過失に対して支払われており、2010/11年度の過失訴訟件数は8655件に上るという。加えて、係争中や今後表面化すると予想される訴訟による賠償額も含めた潜在的な合計額は168億ポンド(2011年現在、2兆3500億円!!)に達すると推計されている。 こうした推計を出すにとどまらないのが、英国の合理的なところ。実は既に英国では、どのような医療過失が一般的に生じているのかという大規模な調査が行われ、どのような点に注意すれば医療過失による訴訟を回避できるかが明確に示されている。

例えば、総合診療医(GP)における医療過失として最も多い病態はたったの40例に絞られ、その40例がGPにおける医療過失訴訟の95%を占めることが分かっているというから驚きだ。

 この40症例には、肺塞栓症やクモ膜下出血など、頻度は高くなくても見逃すことで致命的な影響を患者に生じ得る疾患が含まれる。また、診断のどこに落とし穴があるかも分かっている。多くの医療過失は前医もしくは自分自身の過去の診断に引きずられる形で、最初に考えられた診断と相反する症状が出てきているにもかかわらず、診断に立ち返らないことから生じている。

  医療過失による訴訟を回避するためには、この40例を熟知し、一度、胸膜炎や片頭痛と診断・治療し、一時的に患者が回復していたとしても、患者を再診した際は、再度、診断に立ち返り、これら致命的な疾患が本当に除外できるかを考える――という基本に立つ、これに尽きるのだ。

  日本でも医療訴訟は珍しいことではなくなっている。現在、日経メディカルでは、この40例を中心に、医療過失に至るプロセスを綿密に分析した上で、医療過失を回避する方法を指南した『Avoiding errors in General Practice』の翻訳作業を進めている(邦題『医療過失を回避するための技術』[仮])。翻訳者は、『JAMA版 論理的診療の技術』(日経BP社、2010)を始め多数の医療書の翻訳実績を有する竹本毅氏だ。

  今春にも発売予定なので、出版されたら、ぜひ手に取って日々の診療の参考にしてほしい。既に、英語による原著は出版されているが、なんとも難解なブリテッシュ・イングリッシュで書かれている。編集担当として原著の英文と竹本氏の翻訳文を付き合わせながら、竹本氏の翻訳力に感嘆する毎日だ。医師は多才な方が多いが、竹本氏もまさに翻訳と医術の二物を神にもらった方なのだろうと、ひそかに思う。

  英国の合理的な司法制度にも驚く。例えば医療過失で患者が死亡した場合、損害賠償金は1人当たり1万1800ポンド(約165万円)と決まっている。死亡した患者の子どもが幼く、養育を必要とする場合はその費用などが賠償額に追加される。また、過失により患者が後遺症を生じた場合は、その後の生活で必要となるケアの費用がその患者の余命を勘案に入れた上で決められるため、死亡した場合の損害賠償額よりも、はるかに高額な金額を支払うこととなる。一方、過失があったとしても、その過失が患者のその後の経過に影響しないと専門家が判断すれば、診断がつくまでに患者が受けた苦痛のみが賠償の対象になるため、賠償額は少額にとどまる。

  提供される医療のほとんどが税金で賄われ、その医療による過失補償も税金でカバーされる英国ならではの、なんと合理的な取り決めだろうか。一方日本では、医療費が増え続け、患者家族が医療に期待することも膨張し続けている。日本の今後を考える際、英国におけるこのような割り切った考え方から学べることは多そうだ。 

  

  

〔出典〕

 

医療過失の95%を回避する術、教えます:日経メディカル

 

http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/eye/201702/550170.html?n_cid=nbpnmo_twbn

  

Yahoo!ニュースからの情報シェア。

  

  

抗インフルエンザ薬(ノイラミニダーゼ阻害薬)とティーンエイジャーの異常行動については、かなり前から報道が先行していましたが、

 

直接的な因果関係は明らかになっておらず、「ノイラミニダーゼ阻害薬」が開発される前からインフルエンザに罹患した患者さんに異常行動はみられていました。

  

また、『インフルエンザ』に限らず、『麻疹』や『水痘』などの発熱性ウイルス発疹症でも、『無菌性脳炎』『無菌性髄膜炎』や脳症に起因すると思われる異常行動は毎年報告されていました。

  

  

  

その一方で、インフルエンザの際に服用してはいけないと、昔から警鐘を鳴らされてきた身近な薬剤について、一般の患者さんや保護者だけではなく、医師や薬剤師などの医療従事者の警戒心がすっかり薄くなっているように感じるものがあります。

  

  

内科や小児科の医学書には今でも必ず、インフルエンザなどのウイルス感染症と、アスピリンなどの酸性解熱鎮痛剤の併用時に発症する重篤な原因不明の脳症、『ライ症候群』について書かれているのですが、世間の関心はすっかり薄くなってしまっています。

  

  

ボクは、『インフルエンザ脳症』あるいは「ノイラミニダーゼ阻害薬」の副作用として報道されている発症事案の中にかなりこの古典的な『ライ症候群』類縁の病態が関与しているのではないかと思っています。

  

  

  

現在、医療費抑制政策の一環として、ロキソプロフェン(商品名:ロキソニンS)など、生体内の生化学反応に強力に作用する解熱鎮痛剤が気軽に薬局や薬店で購入できるようになっています。

 

勿論、販売に際しては薬剤師などの有資格者との対面販売で購入するというリスク回避策はとられていますが、

その有資格者の中で、

 

  インフルエンザの患者さんには、成人でも小児でも、

  解熱鎮痛剤はアセトアミノフェン以外は【禁忌】である!

 

ということを念頭に、慎重に問診をして販売をしている方が果たしてどれくらいおられるでしょうか?

  

  

  

『木をみて森を見ず』という言葉がありますが、抗インフルエンザ薬にばかり注意を払って、古典的な解熱鎮痛剤関連脳症である『ライ症候群』はすっかり忘れられて、

行政の統計からも項目として外されているために、発症の実態すら把握できない状況になっています。

  

  

  

近年、抗インフルエンザ薬の乱用が反省の時期に入り、東京ER(東京都立病院の救急外来)などでは、基礎疾患のない健康な小児が深夜に急な発熱で受診しても、抗インフルエンザ薬の処方どころか、インフルエンザの迅速診断すら行わずに、脱水症状の回避法などの指導をして、翌朝かかりつけの小児科を受診するようにと帰宅させています。

  

  

抗インフルエンザ薬の乱用に対する反省は必要なことですが、

その一方で、解熱剤も出してもらえなかったと辛さに耐えかねて、かかりつけ医が開院するまでの間に、家にある置き薬の「ロキソニンS」などで下熱を図るというケースがあるという、決して見落としてはいけない現実もそこにあるのです。

  

  

  

〔出典〕

 

リレンザ服用の男子中学生が転落死(産経新聞) - Yahoo!ニュース 

 

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170215-00000529-san-soci

  

  

※ リレンザは内服ではなく吸入薬

 

 

 

タフツ大学医学部からの情報シェア
(原典:SECKER病院レビュー)
  
  
普段目にするランキングとは、どこか一線を画す臓器移植の成功率が高い全米53病院のランキング。
  
  
我が母校も、ライバル大学も、殆ど入っていないのが不思議というか、違和感がありますが、ノミネートされている病院の面々が新鮮なので情報シェアしてみました。
  
  
このランキングの特徴として、
西海岸と南部の病院が多いのと、キリスト教系病院が数多くランクされているのが大きな特徴です。
  
  
世界中どこで行っても予後の良い「腎臓移植」だけでなく、

難易度の高い「肺移植」が明示してあるところが一見の価値あり!!!
  
  
  
最近、医学書の執筆などで教授陣とコラボしている『カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF』がいくつもランクインされているのが、ボクにとっては非常に耳寄りな情報で、
臓器移植が必要なときにはコネクションがつけやすいなと♪ 目論んでいます❤
  
  
  
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全米ベスト53〔臓器移植〕病院


【肝臓移植】

・カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)医療センター
・エモリー大学病院
・デューク大学病院
・カリフォルニア・パシフィック医療センター
・ユタ大学医療センター
・アイオワ大学病院&クリニック
・ブロワード総合医療センター

【心臓移植】

・ワシントン大学医療センター
・メイヨークリニック・アリゾナ病院
・タフツ大学医療センター
・スペクトラム・ヘルス
・南カリフォルニア大学ケック病院
・キリスト教徒医療センター
・ウェイクフォレスト・バプティスト医療センター

【肺移植】

・聖ヨゼフ病院&医療センター
・バーンズ・ユダヤ人病院
・UCSF医療センター
・スタンフォード・ヘルスケア
・ベイラー医科大学・CHI 聖ルークヘルス

【腎臓移植】

・UCSF医療センター
・メイヨークリニック
・ミネソタ大学医療センター
・南カリフォルニア大学ケック病院
・ベイラー医科大学・CHI 聖ルークヘルス
・ワシントン大学医療センター
・ユタ大学医療センター
・ラッシュ大学医療センター
・イェール大学ニューヘブン病院
・オレゴン健康科学大学/ポートランドVA医療センター
・クリーヴランドクリニック・フロリダウェストン分院
・フォートワース・プラザ医療センター
・ヴァージニア・メイソン医療センター
・フロリダ大学ヘルスシャンズ病院
・センターラ・ノーフォーク総合病院
・ヴァイダント医療センター
・シカゴ大学医療センター
・メソジスト・ダラス医療センター
・聖ヴィンセント病院&健康管理センター
・プレスビテリアン/聖ルカ医療センター
・ロバート・ウッド・ジョンソン大学病院
・オルバニー医療センター病院
・プロビデンス聖心医療センター&小児病院
・聖ジョン医療センター
・ルルドの聖母医療センター
・ポートランド退役軍人医療センター
・港湾UCLA医療センター
・聖ヨゼフ病院
  
  
  

 

 


〔出典〕

These 53 hospitals have the best organ transplant outcomes

http://www.beckershospitalreview.com/rankings-and-ratings/these-53-hospitals-have-the-best-organ-transplant-outcomes.html


https://www.facebook.com/tuftsmedicalcenter/




 

死因の特定は決して難しくはないです(きっぱり)🖐

  

  

病気には、必ずストーリーがあります。

 

病気の起こり始め、患者さんに病魔が拡がる過程、決定的な(ときに致命的な)変化を患者さんにもたらすエピソード、そして、治癒するのか死に至るのか、最終的な転帰へと終息するという一連の流れがあるものです。

  

  

ボクはこれまで26件の医療過誤訴訟の鑑定に携わってきていますが、

 

トラブルの多くは、ちゃんと患者さんを診ていない、

自分が興味ある臓器の異常は診ているのに、ニンゲンとしての患者さん全体を診ていないうっかりミスが殆どです。

  

  

まして、18歳の若さで死に至る、はじけそうな生命力を滅するような恐ろしい病魔というのは、そうそうあるものではないのです。

 

マスコミやネットでウワサになった『インフルエンザ脳症』などで18歳が急死することなどないということが、実際に日々患者さんを診ている医師ですら分からないというのは、能力的に問題です🖐

 

  

この記事に書いてある経過を読めば、何度か「前兆」があったことがわかりますし、

『悪性腫瘍』や『てんかん』など、長期間にわたって経過する疾患と、数回あるいは短期間の前兆を経ただけで急死するような疾患の経過との鑑別がつかないような医師では困ります。

また、特徴的な症状、例えば、発作性呼吸困難を繰り返した後に死に至る『気管支喘息』や、高熱を来す『インフルエンザ』などの感染症では無いことも、まともな臨床医なら、適切に想起できなければいけません。

  

  

本記事では、『病理解剖』について述べられていますが、死因の特定には病理解剖では十分ではありません。

 

病理解剖の際には、検体を提出した医師が臨床経過と推定される病名を予め情報として提出し、その推論に「矛盾しない」(「compatible」という専門用語を用います)かどうかを確認するのが病理解剖ですから、どうしても、担当医と病理医の間に「バイアス」がかかってしまうのです。

  

  

本当の死因特定に必要なのは、病理解剖ではなく『司法解剖』なのです。

法医学者(司法解剖医)は、あらゆるバイアスを排除して死因を特定するトレーニングを受けています。

  

  

ちなみに、日本では「法医学」と「病理学」は別講座(教室)になっていますが、アメリカやカナダでは同じ講座、同じ医局の医師が担当しています。

  

 

 

実をいうと…

 

近年、若い医師や医学生の「家庭医」「総合診療医」「プライマリケア医」志向の高まりに反比例するような形で、

いわゆる【臨床の勘】の鈍い、病態生理学に基づく診断能力の低い医師がとっても増えているように感じます。

 

あまり大声で言うと「年寄りの小言だ」と一蹴されそうですが、臨床の現場にしろ、医療裁判の証人尋問の場でも、

 

 「どうしてここを診てない???」

 

と、クビをひねらざるを得ない低レベルなミスが多いことを痛烈に感じるのです。

  

  

  

18歳のあまりにも眩しい生命を「見落として死なせちゃいました」で済むものでは決して無いと痛烈に思う年齢に、自分が老いてきただけに、

余計に医師の姿勢や能力、修練について思うところが募る次第です。

 

(-_-;)

 

 

 

 

 

 

〔出典〕

 

 

死因の特定は難しい~18歳アイドル急死の「流言」から考える - Y!ニュース 

 

http://bylines.news.yahoo.co.jp/enokieisuke/20170210-00067532/

 

 

〔参照〕

 

国立循環器病研究センター 危険な不整脈とその治療

 

http://www.ncvc.go.jp/cvdinfo/pamphlet/heart/pamph71.html

 

 

 

イスラム圏からの入国禁止大統領例を受けて、
我が母校、

   ハーバード大学医学部
  ブリガム&ウィメンズ病院

から、緊急公式声明が出されました!
  
  

  
   
    
『ブリガム&ウィメンズ病院』は、患者さんとご家族の方々、従業員の皆さん、そしてお客様など、
あらゆる出自、あらゆる民族性、あらゆる宗教、そして、年齢や性別や性的指向を一切問わず、どなたでも歓迎いたします。

多様で包括的な社会を育成することは、私達にとって最も重要な使命なのです。


  忘れないでください 私達はここであなたを歓待しています
    
     
Harvard Medical School
Brigham & Women's Hospital
  

========
  
  
〔出典〕

https://www.facebook.com/BrighamandWomensHospital/posts/10154420177163741:0
  
[ Website ]

http://www.brighamandwomens.org/?fullsite=yes
  
  
[ For mobile ]

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