ははははぁーぁぁー!!!!Harpers Bazaar4月号でのエイジレス特集がスーパースターなので!
8時だヨ! じゃないけど、ちょっとしたモデル史の事件だわ。
グリーンフィールド・サンダースというポートレート・フォトグラファーでありドキュメント映像作家の映画公開(今夏HBOにて放映決定)に合わせて企画されたのもののようで、キャスティングされたモデル達がゴイス。撮り方がVanity Fair(彼はVFでよく働いてる)っぽいんだけどそんな無粋なことどーでもいいの。
50年代から現代にかけてのトップモデルと美とその価値に焦点を当てた内容ということで、被写体の皆様はとくに70年代、80年代前半に活躍した戦士たち。ぎゃーーーー、この文章書いてる時点で発狂だわ!これ見て同じく発狂したモデルバカ、あなた頭おかしいかもしれないからどっかに通院することをお勧めします!いってらっしゃーーーい!
(左から右へ)上段左、梯子に乗ってるのがパティ・ハンセン(Patti Hansen)、ナンシー・ドナヒュー(Nancy Donahue)、ブルネットのがキャロル・アルト(Carol Alt)、センターにいるのがキム・アレクシス(Kim Alexis)、ケリー・エンバーグ(Kelly Emberg)、白のコートを担いでるのがリサ・テイラー(Lisa Taylor) 、エズミ・マーシャル(Esme Marshall)、ミニスカートのシェリル・ティーグス(Cheryl Tiegs)
中段左カレン・ビョルンソン(Karen Bjornson)、クリスティ・ブリンクリー(Christie Brinkley)、白のドレスがビバリー・ジョンソン(Beverly Johnson)、床に座ってるのがデイル・ハドン(Dayle Haddon)、
おまけにヘア担当はハリー・キングにメイクがサンディ・リンター
と徹底してます。
パティ・ハンセン
主に70年代半ばから80年代初めにかけて活躍したパティはローリングストーンズ好きな方にとってはキース・リチャーズの運命の人として有名ですが、モデルとしての彼女は当時押しも押されぬ超売れっ子で、中でもヘルムート・ニュートンやアルバート・ワトソン、エルゴートといったフォトグラファーや名スタイリストのポリー・メレンのお気に入りでした。
“ポリー・メレンから電話をもらったのを覚えてるよ。‘アーサー、あなたに紹介したいとっっってもワンダフルな子がいるの。あなたが気に入りそうな綺麗な子よ’ってね。実際、気に入ったよ”
―アーサー・エルゴート
(フランス人フォトグラファーのパトリック・デマルシェリエについて)
“彼って最高に楽しいわ!16歳の頃から仕事をしてるけど、全然変わらない人。未だにあんなクレイジーなフォトグラファーだし、未だに言ってることが理解出来ない。あの人まだ英語を学んでないんだから!”
―パティ・ハンセン
(故ヘルムート・ニュートンについて)
“面白い人だった。17歳のときシャネルの広告で(初めて)彼と撮影したわ。みんなから彼について私を怖がらせるようなことばかり言われたけど、私を気に入ってくれたようね。だけどいつも彼が欲しがる倒錯趣味には応えないようにしてたの。ちょっと変な人だったしね”
―パティ・ハンセン
ナンシー・ドナヒュー
70年代終わりから80年代半ばに至るまで活躍した彼女は、78年の春に<Elite>の代表カサブランカスの友人でもあったパトリック・デマルシェリエが撮影したHarpes Bazaarの表紙で衝撃のデビューを果たした、とか。スポーツイラストレイテッド(以下S.I.)やピンナップ的な水着物にはあまり手を出さず、同世代のトップモデルの中でもモードの仕事に重きを置いていたよう。現在はスキンケア商品を出しているそうな。
ダイエットのしすぎで苦しんでいた(右)キャロル・アルトはどうしていつも元気で明るいのか彼女に聞いたところ、『栄養士に通っている』と言われナンシーに続いたそうです。当時で栄養士のところに通うって珍しいんじゃないかな。
キャロル・アルト
ナンシー・ドナヒューらと同時期に活躍したキャロル・アルト、彼女のビックブレイクは82年のS.I.の水着特集号の表紙を飾ったこと。今で言うヴィクトリアズ・シークレットみたいな位置付けだけど、今よりももっとモードとの境界が薄かったのですね。栄養学の本を二冊ベストセラーにしたみたいで現在でもメディア露出が多いかな。
(世界一美しい人は誰かとの問いに)
“モデルをやってたときはポーリーナ(ポリツコヴァ)はとてもゴージャスだと思ってたし、エル・マクファーソンは驚くほど美しかった。本当に、彼女ただただ綺麗なのよ”
―キャロル・アルト
キム・アレクシス
(70)80年代のモデルといえば私の中ではキム・アレクシス!なんでだろ!ブロンド碧眼に元気なアメリカっ娘という、パティ・ハンセンやブリンクリーら当時のトップモデルの典型なんですが(ただし彼女らと違って当時に珍しく品行方正だったよう)、特にUS VOGUEのお気に入りだったみたい。83年にはローレン・ハットンに代わりレヴロンの広告塔になり、現役時代は500誌以上の表紙を飾りました。ジア・キャランジの記事で写真貼ったけど、彼女と一緒の撮影も多かったのね。今でもメディア関連含めフィットネスやら本やら色々やってて、多少がたいが良くなかったくらいで全然お姿変わってません。
ケリー・エンバーグ
80年代に活躍したケリー・エンバーグは当時ロッド・スチュワートとの交際を機に人気が爆発。まぁ付き合う前からVOGUEやCOSMOPOLITANやらMADEMOISELLEの表紙を飾ってはいましたが。ロッドとは色々ゴタゴタがあったようで結婚しなかったけど娘(そっくり)が一人いるらしいですネ。インテリアデザイナーに転身後、現在はガーデナーとして活動しているそうです。上記したナンシーとキムとケリーは当時からヤンチャでとても仲良しだったそうで、特にキムとはNYのホテルでルームシェアしてたんだとか。またもや極度のダイエットにあったキャロル・アルトは初めての撮影のときにケリーの腕の中で失神して気を失ったそうです。
(別れる際に色々あったケリーに謝る精子バンク男ロッド)
“世界で最も素晴らしい女性だったし、俺は彼女の環境をめちゃくちゃに壊してしまった”―ロッド・スチュワート
(憧れのモデルは誰だったかとの問いに)
“12歳くらいの頃はジョーン・セヴェランスにケリー・エンバーグ、キム・アレクシス、ナンシー・ドナヒューに憧れてた。良い人達だし、良いモデル達。(彼女たちの)80年代のVersaceの広告を壁に飾ってたの”
―リンダ・エヴァンジェリスタ
リサ・テイラー
70年代半ばから80年初めに“グラマラス”を体現したモデル、リサ・テイラーはヘルムート・ニュートン、クリス・ヴォン・ワンゲンハイムらのミューズでありエルゴート、カルバン・クライン、ポリー・メレンのお気に入りでもありました。ヘルムートやクリス・ヴォン・ワンゲンハイムに代表されるような70年代の艷と色気と攻撃性を体現したアイコンとも言えるモデルだと思います。加えて自由で自立した女性というフェミニズムをも表現していたということで、初めはモデル業を軽蔑していた(ダンサーになるためのお金稼ぎとして始めた)リサのパーソナリティも影響してたんじゃないかな。トミー・リー・ジョーンズの元カノですこの人。
アイコニックな写真を沢山輩出してるから顔見ればピンと来る人も多いかも。90年代に再びモデル業にもカムバックし、マイゼルや特にアニー・リーボヴィッツの被写体になっています。リサ・テイラー、あなたをモデル紹介で書きたいです。
“リサはスポーティーとセクシーの組み合わせの至高。まさしくアメリカン・ルックだ”
“彼女は今まで以上に美しくなっている。若い女性達は彼女のようになりたいと思うはずだよ。それに理想の女性像を考えるとき、それは‘女性’であって‘女の子’ではないんだ”
―カルバン・クライン
(とあるパーティーでエルゴートとお喋りするリサを見つけて発狂)
“オー・マイ・ゴッド、オー・マイ・ゴッド、リサ・テイラーがいるわ。女王陛下と会ったときみたい”
―ケイト・モス
エズミ・マーシャル
70年代後半から80年代初めにかけて活躍したエズミは、ちょうどジャニス・ディキンソンやジアみたいな非ブロンドのモデルが市場開拓して人気になっていった頃のモデルの代表。母親はココ・シャネルの専属モデルだったそう。
この頃は<Elite>がスターモデルを大勢抱えていた時期で、特に79年から80年初めまではナンシー、キム、ケリー、エズミの四人がどのVOGUEにも登場していたとかで、<Elite>のモデルが表紙を飾っていない月はないと言われるほどだったんだそう。この頃からスーパーモデルの時代まで<Elite>帝国が築かれていくんですねー。
シャエリル・ティーグス
70年代のカバーガール、スポーティーで健康的なアメリカっ娘というイメージで合衆国の男の子達を虜にしました。モード!というよりはピンナップ的な水着姿の方が印象的ですが、グレース・ミラベラのお気に入りでもあったようでキム・アレクシスにパティ・ハンセンとミラベラの好みは非常にわかりやすく偏ってたみたいねぇ。因みに結婚歴3度の中にフォトグラファーのピーター・ビアードも含まれてまっせ。駆け出しの頃はツィッギーやシュリンプトンの写真を見てポーズ練習したらしく、アリ・マッグローにも大変お世話になりましたとのこと。
美容整形してないから面影が変わらないのか、“お手入れ”方法が相当の技術レベルだからなのか定かではありませんが、60歳を越えてもお顔が全然変わりません。どちらにせよお美しゅう御座います。
カレン・ビョルンソン
70年代に活躍しホルストンに見出だされて彼のミューズとなったカレン・ビョルンソンは、ホルストンのお抱えモデルでありほぼ娘。2010年にはマイケル・トンプソンがシリ・トレロドと一緒に起用し、モデルとしてカムバックしてます。シリより頭小さくてスタイル良かったのでびっくりしました。細くて長くてすらーっとして美しい小鹿のようなスタイルで品を感じさせる方。こちらの言葉遣いも心なしか丁寧になってしまいました。
あ…途中だけど…誰か読んでるかなこれ。
クリスティ・ブリンクリー
彼女は有名だよね。元旦那ビリー・ジョエルにエル・マクファーソンと浮気されたりしたけど、とりあえず「Uptown Girl」の中であなたは永久に生き続けますから。元々はイラストレーターだったけど、転身後は79年~81年連続でS.I.の表紙を飾って人気を決定付けました。
(クリスティを罵倒したあの日の某ファッションモデル)
“クリスティー(ターリントン)と私は多彩なの。私達はファッションを表現できる。だけどクリスティ・ブリンクリーにChanelは表現出来ない”
―リンダ・エヴァンジェリスタ
ビヴァリー・ジョンソン
70年代に活躍したビヴァリーは1974年にブラックモデルとして初めてVOGUE(US)の表紙を飾り、ブラックモデルの道を切り開いたパイオニア。これを機にデザイナーや雑誌はブラックモデルを起用するようになっていき、イマン~ナオミ~タイラ~リヤ~と歴史が作られていきました。はいみんなビヴァリー様に敬礼。今はヘア用品をプロデュースしてるそうでメディア露出多いし、パワフルでお年は感じさせられません。
“ビヴァリー・ジョンソンはモデルをやるのに一番良い方法は、地球上で最も美しいものになったフリをすることだってよく言ってたわ”
―リサ・タイラー
デイル・ハドン
調べてみたらとんでもない人だったデイル・ハドンは美容業界の女神様とでも呼びましょう。60年代にモデルとして活動し始めた彼女は、70年80年代にかけてマックス・ファクター、レヴロン、エスティー・ローダー、ロレアルとの複数年契約を結んできたそう。中でもロレアルは彼女とエスティー・ローダーの契約が切れるやいなや即座に広告塔として起用し、しかもデイルをモデルに使っていた間にエイジング商品の売上が50%上昇したそう。
彼女が凄いのは年齢の壁を今も破っていること。レヴロンによるローレン・ハットンの起用で年齢バリアが破られましたが、デイルは“年を重ねることの美しさ”を見事に体現してると思う。クラシカルでタイムレスで女性が憧れるような洗練された美しさはイザベラ・ロッセリーニに通ずるものがあるかな。ちなみに現在もロレアルとの契約は進行中で、2007年には同じくコスメのNarsの広告に登場しました。コスメ荒らしデスネ。
(モデルアイコンは誰かとの問いに)
“ジーン・シュリンプトンが大好きよ。とても魅力的なモデルだと思ってたわ。スチール写真を通して感情を伝えることのできる人が好きなの。ポーズではなくコミュニケーションであって、その2つは違うものなのよ。時代の象徴であるモデルであり、素晴らしいモデルとしての変化に富む特性を持っているからリンダ・エヴァンジェリスタも大好きだわ”
―デイル・ハドン
以上の皆様はドラッグとパーティーとセクハラに殺されなかった生存者、さばいばーです。リサ・テイラーはドラッグ更生施設入ったし、エズミ・マーシャルはDV彼氏にボコボコにされてたそうだし、デイル・ハドンは一人娘置いて旦那死んじゃって家計の為に受付嬢までやったし、パティ・ハンセンもキムも病気になったし。それなりに茨の道を進んできた方々です。
最後に…
あなたのアイコンモデルは?との問いにモデルマニアのリンダ・エヴァンジェリスタは。
“オー・マイ・ゴッド、そうね、例えばデイル・ハドンとか、ジョーン・セヴェランス、キム・アレクシス、ナンシー・ドナヒュー、ケリー・エンバーグ、ジャニス・ディキンソン、ヴェルーシュカ、ローレン・ハットンに夢中だったし…挙げたらキリがないけど、みんなファッション界に素晴らしい貢献をした人たちよ”
と、70~80年代のモデル達って何故か軽視されがちだけどリンダはわかってるんだね。
…70,80年のモデル紹介書いてるなんて、私も逝くとこまで逝ったな。これ見てほくそ笑んでるあなたもあなたですよ。