緩さがFeelin' GOODなYoumentbay | チャーリーのファボミュー

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このブログはチャーリーが聴いた音楽の中で「これは良い!」と思った作品やアーティストを書き留めています。勢いのある旬な音楽を好むため自ずと若手中心になっています。たまに映画についても書いています。

Youmentbay


サクライエナ(Vo、Ds)山谷尚暉(Vo、G)からなる男女2人組ポップユニット。

初の全国流通となるミニアルバムを1月23日にリリースした。




知識の要らない ただ身体が動く

それだけがmusic


何者かも知らずサブスクで初めて彼らの「Night Radio」EPを聴いたのが1年前。それ以来サクライさんの歌声がずっと頭から離れなくなった。

昨年5月には「Holiday」EPがApple Musicの “今週のNEW ARTIST” に登場しその中の「GOOD」を聴いて只者ではないと感じた。


これは19年前にLOVE PSYCHEDELICOを初めて聴いた時と同じ感覚だった。


そして今回のミニアルバム「Youmentbay」に至った訳だ。


シティポップ然としていながらヒップホップやオルタナロックのエッセンスも混ざり込み、歌というよりもメロラップ調のツインヴォーカルの絡みが新しく、前述のサクライさんの声とピッチの揺らぎと歌い回しが独特の緩さを醸し出し抜群のオリジナリティを発揮している。


全8曲中、4曲が昨年のEPと被っているがしっかり再録されているところも嬉しい。

正直に言うと昨年のEPはデモテープの域を抜け出せていない素人臭さがあったが今作ではバッチリお色直しが出来ている。

これなら胸を張って全国流通できるな(笑)


元々ベーシストがいて3人組のバンドだったそうだが、本格活動前にベースが抜けて今の形態になったみたいだ。

今作でもサポートベースの助けを借りシンプルなバンドサウンドで構成されキーボードもほんの色付け程度に留まり、ほぼシンクなしでライブ再現出来そうなアンサンブルとなっている。








曲について


ポップで親しみ易い曲調の要因は4321進行のコード進行にあるように思う。


Night Radioで言うと

E△7~E♭m7~C♯m7~B7

GOODで言うと

D△7~C♯m7~Bm7~F♯m


過去この進行を使った曲は沢山あるが、誰にも似ていないアプローチを聴かせているあたりが気を惹かれるところだ。

そしてチャーリーの注目した箇所が「GOOD」のサビコーラス “Feeling GOOD~” の5小節目のサクライさんの音がBmの9thノートになっている部分だ。

これを感覚的にやったとしたら只者ではない。


Cider」ではキーAのイントロで始まりながら歌からいきなり1音転調しキーBになり、サビではキーA(D△7)とキーB(E△7)を繰り返し、さらに次の歌頭からB△7に持っていく、単純なコードしか使っていないのに転調の妙で斬新さを作り出す辺りも只者ではない。Aメロの16分音符ラップの入り方などもカッコいいし、リアルなアニメーションのMVも面白い。






HOLIDAY」ではナイトクラブの暗めで怪しげな雰囲気をソウルフルな2コードで見事に表現し、「30th」では終わりゆく平成を振り返りつつ次へ踏み出そうとする希望を問いかける。

T.R.U.E.」ではきれいなギターのアルペジオからオルタナロック調に展開するのだが、ここでもサクライさんの歌い方がピッタリハマっており、今後この方向性も十分にありだなと思わせる。

こんなんでいいわけ?」ではライブを意識したようなハンドクラップから始まり明るくシンガロングできそうなサビといい、軽快なポップソングに仕上がっている。







サクライさんの歌ばかりに耳が傾いてしまいがちだけどドラムもかなりの腕前のようだ。

ドラムを叩きながら歌うといえばシナリオアートのハットリクミコさんを思い出すが、ライブでは相当忙しいのでは?


今作にも「HOLIDAY Session」というインターリュードが入っておりライブでは曲と曲の間にセッションを挟み込むそうだ。これはライブを観に行かねばならないな。


今作も昨年のEPに引き続きアートワークを石橋ひふみさんが担当しており、バンドイメージとして定着した感もあるイラストが好感度アップに一役買っている。


Youmentbay

今後の活動に要注目だ!