第24話
4月、ある会館には、その日に行われる事が掲示されている。ある部屋の掲示を見ると、「証人教の神の記念会」と書かれている。コウスケが歩いていると、人々が集まっている。その中にコウタを見つけた。
「コウタ。」
「おんなじ会衆やったん?」
「会えないかも知れないって思ってた。」
「ぼくらとおんなじ目的の人、他にいるかな。」
「多分少ない。この会衆では、ぼくら2人かもわからん。」
「記念会だけ来る人は多いんじゃないの?」
「ぼくらが住んでる国では、証人教の信者は20万人って言われてる。多分、記念会だけじゃなくて、普段の集会にも来てる人数の事やろ。でも、記念会に来る人数は、ぼくらが住んでる国では30万人って言われてる。」
「記念会だけ来る10万人は、信仰じゃなくて利用か?」
「そうとも限らん。その10万人のうち、有名人になるためって目的で来てるんは、ほんの一部やと思う。」
「世界ではどれくらい?」
「証人教の信者は、確か世界では800万人やったはず。でも、記念会に来る人は、確か世界では2000万人やったはず。普段の集会にはほとんど来なくて記念会だけ来る人が、毎年1200万人くらいいるはず。記念会に来てる人のうち、普段の集会にも来てるんは、半分以下。でも、その1200万人のうち、有名人になるためって目的で来てるんは、多分ほんの一部。」
コウスケとコウタは部屋に入る。中には椅子が並んでいる。前には花が飾られていて、何か食べ物が置かれている。
部屋には人々が集まっている。人々は神の記念会がはじまるのを待機している。部屋には何か曲が流れている。
「ここの会衆では、有名人になるためって目的で利用してるんは、ぼくら2人だけかな。他はみんな信仰してる人たちかな。」
「信仰してなくても、来るって事は、まわりの人たちは自分に対して、信仰してる前提で接してくる。だから、証人教では証人教なりの、盛門(もりかど)教では盛門教なりの、教団に来ている人たちに対する礼儀はわきまえた上でって、チャールズ・スミスは言ってる。だから、信仰してる人たちに潜り込んでいる信仰していない人たちは、わかりづらいはず。」
「でも、それほど多くないのも確かやろ。駅へ来てた人の話では、その可能性がありそうな人を1人も見た事ないみたい。」
「毎週も出席する必要はないってチャールズ・スミスは言ってるのに、まわりの人たちはみんな毎週来てるって言ってたから、彼のまわりには、有名人になるために利用してる人は確かにいないって可能性は充分考えられる。」
「駅へ来てた人の話でも、記念会だけ来る人は見た事あるけど、その人は毎週来てる人の知り合いみたいやし。多分その人は、有名人になるための利用とは違う。」
「ぼくらここ来るんはじめてやし、これから証人教の正体が明らかになってくるやろ。」
「ぼくらにとっては未知の世界。」
誰かが立った。
「今から、神の記念会をはじめます。歌を歌います。」
人々は立った。会場には曲が流れた。
「天に復活する16万6000人のうち、残りの者だけが、この記念会の中でこれを食べます。」
ある食べ物が会場にまわされた。コウスケの所にもまわって来た。コウスケは隣のコウタに渡した。コウタはさらにそれを隣の人に渡した。
「歌をもって神の記念会を終わります。」
人々は立った。会場には曲が流れた。
花の近くに人が並んでいる。彼らには花が配られている。
後日、盛門(もりかど)教にコウタがいる。そこには、いろいろな人がいる。おじちゃん・おばちゃんもいれば、少しかもしれないが子供もいる。しかし、おにいさんがいるのが目立つ。向こうを見ればいくつかの部屋がある。おにいさんに導かれ、コウタは1つの部屋に入った。
「今から、聖典について学びます。」
コウタは1冊の書物を渡された。
「人生に苦しみがあるのはなぜか、苦しみから解放される時は来るのか、この点について考えたいと思います。」
そこには、数人の人たちが、椅子を並べて座っている。部屋はそれほど広くない。
「この後、神様の式があります。」
扉が開かれた。人々は立った。人々が出るのに合わせて部屋を出る。広い部屋に行くと、そこにはさっきまでよりも多くの人が集まっている。前にはある食べ物が置かれている。会場には曲が流れている。椅子には本が置かれている。コウタは座った。
前に立っている人はお祈りをしている。そして、その近くにいた人が食べ物を持って人々の席の方へ来た。人々は1つずつとって食べている。コウタもそれを1つとり、食べた。
同じ日、盛門教の、別の会場に、コウスケが来ている。
「コウタ来てない?」
「誰?少なくとも、ここにはいない。」
「他の会場かな?他の日に来るかな。」
部屋には人々が集まっている。そこにコウスケもいる。ある食べ物が配られている。コウスケは1つとり、食べた。人々が食べると、容器は回収された。人々の席から1人立ち、机の所に立った。