ドライブレコーダー
和製英語
交通事故などを記録するための車載カメラ 車載型の映像記録装置
英語ではダッシュカムと呼ばれるが、ドライブレコーダー」に近い表現としてドライビングレコーダーという表現もある。日本ではしばしばドラレコと略される
課題や問題点
技術的な問題
- LED信号機との同調問題
動画を記録する際のフレームレートによっては、交流電源を用いるLED式交通信号機のフリッカー(ちらつき)と同調してしまい、信号機の点灯色が記録されない場合がある。
この現象が発生した場合、あたかも映像上では信号機は青・黄・赤の全てが消灯しているかのように録画されてしまう。
日本の場合、一般的なビデオカメラのフレームレートは30fps(毎秒30コマ)であることが多いため[33]、商用電源周波数が60Hzの地域で、この現象が起こりやすい。
放送方式にNTSCではなくPALやSECAMを用いる国家・地域では25fps(毎秒25コマ)が用いられるため、ドライブレコーダーの製造国によっては他の商用電源周波数を用いる地域でも起こり得る。その国家・地域の商用電源周波数と重ならないフレームレートで撮影できる機種を用いれば、灯火が消滅しているかのように録画されてしまう現象を回避できる。
- 画角の限界
基本的にドライブレコーダーは前方に向けて取り付けるため、追突された場合の詳しい状況など、カメラの画角外で起きた出来事を記録できない場合がある。
対策として、後方に向けたカメラを追加するものや側面も含む全周を記録できるタイプの機種もある。
証拠能力
デジタル機器を用いた録画は、内容の改竄が可能で[35]、その痕跡も残りにくいため[36]、裁判において証拠として採用されない可能性もあり[35]、かつては証拠能力の有無が議論されていたこともあった[37]。こうした問題に対し、改竄を防ぐための機能を取り入れている機種も登場した[35][36]。しかしその後、ドライブレコーダーの画質が向上し、GPS衛星による日時や緯度経度情報の取得、走行中の速度といった詳細な内容が記録できる機種が広く出回るようになると、次第に偽造には高度な技術が必要となっていき、裁判の証拠や、示談による解決をスムーズに進めるための証拠として、有効なものとして扱われるようになっていった[34][37]。
なお、ドライブレコーダーを製造販売する富士通テンが2016年にWeb上で行ったアンケート調査によれば、ドライブレコーダーを装着していた車両で事故を経験したことがある200人のうち、ドライブレコーダーが何らかの形で事後処理に役立ったのは70.2パーセント、画角外の事故などによって役立たなかったのは29.8パーセントという回答結果であった[34]。
ただし、ドライブレコーダーを製造・販売するJAF Mateの見解では、自社製品について、記録した映像は裁判の証拠として効力を保証するものではないとしている[38]。
法的な問題編集
ドライブレコーダーは、取り付け位置によっては運転手の視界を妨げるため、車検に通らない可能性もある。日本では、自動車検査審査事務規定の第37次改正(平成18年(2006年)8月25日付け)により、ルームミラーの陰や、フロントウインドウの上端から20%以内であれば、ドライブレコーダーの取り付けは認められている。
その他の事象の記録編集
ドライブレコーダーの映像は搭載車両が関連した事故の裁判で証拠として採用できるよう搭載されることが一般的である[39]。しかし、搭載車両が直接関連しない事件や事故の映像が偶然収められたときはニュースなどで使用されることがある。2013年チェリャビンスク州の隕石落下や京都祇園軽ワゴン車暴走事故などが著名な例である