訳詞の誤解 | 加藤修滋のブログ

加藤修滋のブログ

日仏シャンソン協会活動記録及びシャンソン界のニュース等

歌手が「〇〇の訳詞で歌います」というMCをすることが増えていますが、

正しくは「日本語詞」というべきことが知られていません。

 

外国曲を日本語で歌う場合は、次の3つに分離するのが、音楽業界用語。

 

<1>訳詞

法定訳詞を指す。つまり、出版社・レコード会社、もちろん作詞・作曲者

(場合によっては編曲者を含むケースも有)から了解を得、契約書にサインして、

訳詞者への支払い(通常12分の2が多い)%を取り決め、

日本だとJASRACなどの著作権団体に登録されるものが殆ど。

インターネットのJASRAC検索で訳詞者名の出てくるものがこれに該当。

 

<2>日本語詞

カヴァー曲を指す。つまり、日本語の詞をつける許可を出版社・レコード会社、

作詞・作曲者などから受けたもの。

一般的に「カヴァー申請」をして許諾を受ける時の書類には「訳詞ではなく日本語詞

と表記すること」と書かれたフォーマットが多い。

日本語詞については<1>の訳詞者報酬はない。

 

<3>作詞

人によっては違法訳詞という人も有。

個人が権利者に許可を得ず、外国曲に勝手に詞又は詩をつけたもの。

日本語で歌われるシャンソンの90%以上がこれに相当。

厳密にいうと、この場合CDレコードのプレス許可がおりないケース有。

過去、リリース後に本国のオリジナル・パブリッシャーからCD回収を

命ぜられたケースや、韓国の「ワンダー・ガール」の事務所が

東南アジアで違法訳詞された作品について裁判をして、損害賠償を

勝ち取ったという話も聞いたこと有。