今回バス移動が長かったが、バス停や移動中のトイレの殆どはニーハオトイレであった。ニーハオトイレで検索すれば色々と画像が見れる。
バス移動中は、日本のように2時間おきにお手洗いに止まってくれるわけではなく、6-9時間ほどお手洗い休憩なし、なんて事はざらにある。運転手は勝手に用を足したいときにバスを止めその辺で用を足す。男性客もそれに続く。しかし女性客は我慢に我慢を重ね、ようやく着いたニーハオトイレで用を足すしかない。いかにその場が殺気だっているか想像してほしい。
我々もそれを知っているので、朝から水を一滴も飲まずに耐えたにもかかわらず膀胱炎寸前になりながらニーハオトイレ(中国語で厠)に駆け込んだ。
そこは想像を絶する光景だった。
このように低い仕切りがあるだけのトイレに、何十人と必死の形相をした女性がひしめき合っていた。そして皆ハンカチなどを鼻に押し当てながら顔を思いっきりしかめている。大をした方が何人かいらっしゃったようで、それは自然の摂理だから仕方がないとはいえ、このオープンな空間でそれはないだろうー!と自分も顔にスカーフを押し当てながら並ぶ。中国人は並ぶことが苦手だ。我先にと前に入ってきて、ズボンをずり下げた者勝ちなようだ。私は後列へ押しやられながらも何とか用を足し、外へ向かって全力疾走した。
非常に気持ちの悪い体験をした上に、手を洗う場所さえなかった。にもかかわらず、何故か爽快感を感じていた。その理由として、ドアが無いトイレというのはドアを開け閉めしたり、ロックをかけたりという事をしなくてすむ。その部分に関してだけは良い(?)という事を発見した。。
この最初の体験は混んでいたために衝撃的だったが後は慣れたものだった。
冬虫夏草 いたるところでこの漢方薬が売られていた
「カンディン」という元々はチベットであったが今は漢民族の避暑地になってしまった、東チベット玄関口ともいえる高度2500mにある大きな都市がある。そこでのお土産やのショーケースには必ずといって良いほどこの冬虫夏草が並べられていた。これが健康食品として日本でも有名なことは知っていた。
後日、これには「ヒマヤラ・バイアグラ」というニックネームがついていることを知り、このカビの生えた虫を四川省の至る所で見かけた理由がよく分かった次第だ。強壮効果とつけば良いビジネスになる世の中ではないだろうか。
しかし、これも元々はチベット民族の薬の知識であり、これを採取するのもチベット人だ。ただ同然で冬虫夏草は漢民族の商人に買い占められ、取引される。日本や西洋にも輸出されて大きなビジネスになっているが、これを提供したチベット人達に入る報酬は少ない。しかし漢族に支配された社会で生きていくには仕事を選んでいられない状況にある。
今や冬虫夏草の1オンスの相場はどんどん上がっていて、中国の都市によっては金よりも高いというから驚きである。チベット高原に住むチベット人達にとって、農作業や酪農をするより冬虫夏草を探すほうが8割も効率良く稼ぐ事が出来るという。
そして冬虫夏草を捕り過ぎた結果、40%も減ってしまったという。それに加えて、新たに環境破壊の問題も出てきているという。チベット高原は非常にデリケートな生態系を持つ。本来ならば育っていくはずの冬虫夏草を根絶やしにしてしまう事が環境に与える害は計り知れない。チベット人たちの故郷であるチベット高原は、持続可能な環境のままであってほしい。