Utsu
いつものように心にぽっかり
近くの公園の駐車場で曇り空を見上げてる
風はないけれど肌寒い
こんな夜には酔ってもいないのにメール魔にでもなってみようか
そんな夜に限って誰からも返信が無いのだろうけど
周期的に襲ってくる淋しさと虚しさ
理由は思いあたるけれど確証がない
病気かな?
今夜は馴染みのお店は休み
たまには土曜を家ですごすのもいいかもしれない
それにしても…
春までもう少し
きっと桜が癒してくれる
Ya
夢でも遊んだね
いつもきみがいた
ただ寄り添うだけで心まで暖かかった
微笑んで…囁いて…支えあって
そうだね…夢だったのかな
忘れられぬ日々は
どんどん美しくなってゆくから『もう一度』って
戻っておいでよ
二度とひとりぼっちになんかしないから
私は大丈夫
優しさに身を委ねれば溺れてしまう
夢と
そう…夢と解っている
美しさは儚くて
だから手を伸ばしてしまう
けれどつかめない つかまない
美しいままでいい…美しいままがいい
私は見詰めていたい
いつまでも いつまでも
蕾
心揺れるなら…
揺れてぽとりと落ちぬよう
きつく抱き締められながらも
悪夢に追われ怯えていた
海の底なら砂に埋もれ
遥か山麓ならばガレ場の岩に挟まりな がら
そうして心枯れてゆく
枯れた心ならそっと家に持ち帰り
人目につかぬ壁にかけ
埃を友に枯れきろう
風なき部屋で朽ち果てて
つるした糸が切れるまで
暖かい雨が蕾を膨らませてゆく
けれどそれがどんな花色だろうとて…
今の僕の眼には映らない
スローバラード
山手のひっそりとした公園の駐車場
夜更けはさらにひっそりしていて
パラパラとアベック(笑)の車が停まっている
夜景が綺麗に見渡せて
愛を語らずにはいられまい
僕はといえば
そうもくろんでいたのだけれど
やっぱりシャイが邪魔をしてしまって
ありきたりな会話を続けるのが精一杯だった
土曜の夜なのに何のあてもなく
そもそも若く貧乏ゆえホテルに泊まる金もない
「朝まで車でいい?」
その問にきみが頷く
「いいのよ、二人で居れたなら」
そう答えるきみがとても愛おしかった
二人の吐息がウィンドウを曇らせてゆく
もう夜景も霞んで唯のおぼろ
やがてウィンドウの曇りは雨筋となってゆく
言葉少なにまどろみながら…
ラジオのスイッチを入れた
弱い電波の雑音の中
サザンの歌が流れてた
♪俺にしてみりゃこれで最後のレイディ~♪
新曲だった
雑音にまみれ所々聞き取れなかったけれど
何故か耳に残った
『最後のレイディかあ』
ぼんやりと考えたけれど
最後と思う程まだ恋愛を知らなかったし
それに、今は此処にいる彼女が全てなのだから
彼女もまどろんでいる
まどろみながら寝言のようにつぶやいた
『居心地がいいわ、だから一緒に居るだけよ。止まり木のようなものね』
その言葉は予言のように響き
愛おしさを越えて切なく聞こえた
二人夢を語った日々
愛を分かち合った日々
狭い車の中でもお互いを思いやった日々
その日々も想い出もあの夜のラジオのように
雑音に紛れて擦れがすれになってしまった
スローバラードを聴くと
遠いあの頃を思い出す
Cool water
川面に浮かぶはきみ姿
陽光照らす苔抱く底石は
きみの瞳の輝き
渓渡る風音さえあの日の囁き
声は無く…
遠く青き稜線を仰ぎ見た
『僕の魂を導いておくれ』
きみのその強さで
『僕の失敗をそっと叱っておくれ』
きみのその優しさで
想い願うも此処は渓狭間
日溜まりにいつかのきみ
の温もりを感じたけれど
水は無垢のように透明で
とても冷たかった
想い出がまた
清水と共に流れてゆく
Time is gone
旅に出て戻ったら誰もいなかった
…浦島太郎
そうだよね
何も告げずに旅立ったんだもの
だあれもいないさ
玉手箱を開けた僕
白い煙に被われて
今は昔のあやとり探し
『あの頃は楽しかったね』
そう思いながらアルバムをめくれば
素敵な想い出が散らばっていた
急に寂しくなって
『竜宮城へ戻ろう』と思ったんだ
浜辺を捜すも亀が見つからない
仕方ないから海の底を自力で泳いだ
泳いで泳いで…泳ぎ続けて
竜宮城も乙姫も影もなく
目に映る物は空の貝殻ばかり
ほとほと疲れて海原に顔出せば
遠くにすっかり様変わりした陸地が見える
行くもならず帰るもならず
『お前の居場所はもう何処にも無いよ』
からかうカモメが
そう告げながら飛び去って行った
LONG…
きみに恋した訳じゃないさ
ただ…きっといつも誰かを捜しているんだろう
心休まるふれあいを
波長が合えば直ぐに恋人にもなれる
けれど添えない
背負った重荷は直ぐには降ろせないからね
そんな虚しさが襲ってくる
夢のようなひとときに溺れながら
味気ない明日を生きてゆく
ほろ酔いなら春の午後
夢とも現つとも言えないその狭間で
桜の散る様を思う
僕も惜しまれながら清く散りたいと
実現しない再会の約束をとハグをしたら
きみの髪の香りが心を吹き抜けた
無意識に僕の口から言葉が漏れた
「さよなら」 と
望春
追われ生活は疲れ
部屋を見渡せばガラクタばかり
心かよわぬ作り物に埋もれ
無くしたくない物ばかりが消えてゆく
昨日を思えば虚しくなって
明日を想えば切なさ増してしまう
静かな夜には月灯りと
妖しき誘いによろめけば
かよわき風にもなびき揺れる枝垂れの柳
徒然に
春待つ桜は蕾さなか
明日にはきっと花盛り と
遠い遠いきみに
幸多かれと祈りながら
我が身の重さで溺れ果て
息も絶え絶え虫の息
一縷の安らぎは
いつかの口づけ手のぬくもり
遠い遠い
…きみとの想い出

