Chanel's Heart -2ページ目

草の想い


草の想い
              詞  大林宣彦

昔ひとの心に言葉ひとつ生まれて

伝えてねこの声を 草の想い

風にこの手かざして
みえない森たずねて

あなたの歌をさがしてかくれんぼ

私の足音を聞いてね
確かな眉をみてね

そして今は言わないで 

独り砂に眠ればふたり露に夢見て

喜びと悲しみの花のうたげ


時は移ろい行きてものはみな失われ

朧に浮かぶ影はひとの想い

今は遠い心に寂しく憧れきて

あなたの夢にはぐれてかくれんぼ

私のうた声を聴いてね
遙かな笑顔を見てね

そして今は抱きしめて

時は移ろい行きてものはみな失われ

朧に浮かぶ影は草の想い

ひとり砂に生まれてふたり露に暮らせば

喜びと悲しみの花の形見



シャボン玉



今宵もただ泣くの 私はあの空へ

愛しいあの人を想って泣くの

逢いたい… 逢わないと

過ぎ時想い朝が来て忘れ
時過ぎて

涙に濡れ枕 きみ いと恋し

されども繰り返しの日々生きられぬ

心の泡飛んだ きみ里飛んだ

離れて見ても 遥かに遠し

なぜ何故言うの 先は見えぬと


涙なく泣いて明けやらぬ空へ

恋しいきみを想って泣くんだ

添いたい… 添えないと

重ねた時も重ならぬ時も
唯に過ぎ行き

綴れぬうたを誤魔化し
朝には平気と出かけゆく

寝ても覚めても繰り返しの日々

心の泡消えた きみ亡く 消えた

離れてみれば 遥かに愛し

なぜ何故言うの 僕は見えぬと


なぜ何故 言うの

逢いたくないと




夏の扉


喋り過ぎたね

口は災いの元…
本意でなくてもそう受け取られてしまう

無口に戻って心閉ざし
じっと密かに想おう

片想いのままなら想いは永遠にと続く

眼を閉じて過ぎ去りし時を思う

心痛ければため息ついて

生活の音を耳に刻む

ちっぽけな約束さえ

その音の中に埋もれてゆく


「いいんだよ…十分優しかったんだがら」

風は夏色蜃気楼の季節

手を伸ばして捉えようとすれば

ゆらゆらと逃げて消える




4、30


雨上がり
緑清かに雲静か
大輪の花いさぎよく散る

耳元にありがとう

多くは声にならず
唯思い出ばかりが揺れ惑う

追う背を亡くし
晴れわたる天空を仰ぎ見る

風…

とめどなく爽やかなり





True Heart


弱き絆

その糸を手繰れば直ぐにでも切れてしまう

行き場無くす魂と…

視線は定まらず
心萎む音がきこえる


長い夢を見たよ

苦く切なく

それでも踊り出しそうな夢を

その夢の中で二人

互いのぬくもりを確かめた


束の間…

晴れわたる空に想いを描いたんだ

けがれ無き色でね

でもその色に恥ずかしくなって

直ぐに消してしまった

似合わないね

純情をきどるには歳を取り過ぎているし…


心痛き夜ならば

いっそこのまま全て壊してしまおうか?

今更繕いきれる筈もないのだから






I・W


言葉枯れるなら…

ただ静かに想おう

何も伝えられなくとも

一途に想う気持ちに変わりはないのだから


長い夢のさなかで

ぬくもりに守られて揺れている

その夢が長ければ長い程

目醒めの虚しさも深いのだろうけれど

妄想と酒頼りの日々に

迷路彷徨う暗き魂

そんな日々にも

春の足音が忍びよる


花を探しに行こうか?

凍えの峠を越した頃にさ

けがれ無き真っ白な花を

きみと

二人で




一期


静かに想うのさ

きみとの出逢いや成り行きを

すれ違い様に
似たような香りがしたんだ

心地よく…切ない香りが

空を見上げればあの日の風が

交わらぬ人生を吹き抜けてゆく

互いの手の温もりはとうに冷めてしまって

それでもその手の華奢さは覚えてる

『僕を支えておくれ』

伝えられない呪文


さよならは言わないよ

きっと静かに

…消えてゆくのだろうから




Afternoon


西日あたる部屋で

昼酒をしてソファーに寝転んだ

埃が宙に舞っている

掴もうと…

手を伸ばしたらするりと抜けてゆく

『自由なんだね』

いつまでも漂う埃に

ぼんやりと明日を見て

クリスマス

年の瀬

止まらない刻の流れ


「一緒にいたいかい?」

そうなんとなく呟いて

その答えも埃が連れ去ってゆく


少し冷えてきたから

ストーブをたいておくれ

その温かさの中ならば


きっと幸せでらいれるだろうから




寒い朝


薄曇りの空から昇りくる朝日

木々は葉を落としその枝が小さく揺れている

肌寒い朝

夕べの夢を思い出しながら
きみとの事を想う

あれは正夢?


小さな痛みも分けあって

それが二人の絆ならば…

きっと大きな痛みも乗り越えられるのだろう

眠れない夜に孤独をひき連れて彷徨うなら

その影に怯えないように二人寄り添っていようと


揺れた小枝から残り少ない木の葉が舞い落ちる

吹きだまりには肩寄せ合う色とりどりの落葉達

その落ち葉に

…埋もれてしまいそうな絆


身を切るような風が吹き抜けて

胸の中に落ち葉が舞ってゆく


カサカサ…カサ と




眼差し


冷めてしまったかい?

そっけなさが愛しさをつのらせる

二人より添えば

きっといつかのように…


他愛なさなら子供のようで

その笑顔はいつも輝いている

曇らぬように

愛の言葉も冗談めいて

覚えているかい?

初めてキスした夜の事

酔いが二人を誘うから

断りきれずに受け入れて

あの日は確か…


僕はずっとときめいているよ

そのあどけなさや

時折みせる淋しい仕草に


心あらずは

ただの酔いまかせ

素面の時程じっと見詰めていたい

その真心を