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 この本に限らず日下さんの著作を読んでいると、マスメディアに登場する御用学者や役所財源で維持されている御用コンサルタント企業コメンテーターの語りの中に欠落している、根本的な盲点に気づくことが多い。日本人としての生き方や感じ方を、きちんとした発想の土台にしているからこそできる記述なのだろう。2010年7月初版。

 

 

【第3の道】
 この際、大政治家ならこう言ってもらいたい。
「国民の選択は3つある。①戦争をするか、②政府依存の飽食になるか、または③まったく新しい生活様式の創造をするか」と。
 日本ではこの第3の道がすでに始まっている。
 それを「デフレ不況」としか命名できないのは、消費を見ない「生産経済学」者の限界である。
 ・・・中略・・・。
 人々が求めているのは「消費経済学」で、その中身は「人情」や「文化」や「歴史」や「社会」から経済行為を考えることである。(p.6-7)
 経済行為は、物から物以外へと重心を移してゆく。
 『知価革命』という堺屋太一さんの著作が世に出た1985年頃からコンピューターが一般市場に出回るようになり、21世紀となった今は、ほぼ完全にIT機器が行き渡った社会になっている。つまり情報革命は完了している。現在の若者たちは、スマホを買い接続料を支払うだけで、物を消費しなくともそこそこ楽しめるライフスタイルになっている。それだけで必要な情報が手に入るから、お金がなければないなりに、物など消費せずに普通に生活ができてしまう。
 これは、今後の人類が向かう進化方向に即したライフスタイルだろう。進化のベクトルは、物という重たい次元から情報という軽い次元へと向いている。故に当然すぎるほどに当然なライフスタイルといえる。物の消費を煽っているのは、時代の進化(推移)方向がわかっていない、旧タイプの石頭さんたちだけである。
    《参照》   『AKB48の経済学』 田中秀臣 (朝日新聞社)
              【若い世代の生活傾向】

 

 

【お金の交換から心の交換へ】
 一言でいえば、デフレーションは「お金の交換」から「心の交換」への社会革命である。
 この社会革命が進むと、お金の世界は縮小し、貨幣的不況が起きる。その正体は精神革命で、主体的、主観的な精神が主役になって、経済の役割は、中世のような脇役に戻る。(p.30)
 流通している貨幣が足りないからデフレが起こっているというより、貨幣で交換を行わない「非貨幣的取引」の世界が戻ってきたということらしい。昔がカムバックしてきたから、貨幣は嫌われ始めた。ものの値段が下がって、貨幣の値段が上がっているというよりも、ものも貨幣ももういらないよ、になっている。貨幣を使ってものを買う、ということ自体に魅力がなくなりつつある日本は凄い国である。(p.171)
 20世紀は、不況~戦争~好況~不況~戦争~好況の繰り返しで、後進地域のどこかで絶えず“人殺し(戦争)”をしながら先進国は経済を拡張してきた。しかし、もう、このような野蛮な方法は必要ない。ところが、頭が悪すぎるタコオヤジは、いまだに「経済の回復には、戦争が必要だ」などと真顔で言ってこれを準備していたから、このようなタコオヤジ一族が支配する九州の自衛隊基地の地下弾薬庫が破壊対象となって連続地震が起きた。
 「闇の支配者」たちは、戦争と金融恐慌をペアで順番に企画し、経済格差を推進しつつ、自分らだけがさらに肥え太ることを繰り返してきたけれど、それももう意味はなくなる。
 カネで支配しようとしても、必ずや脱カネの方向へシフトしてゆくからである。

 

 

【意識を切り替える】
 突出は誤解される方が多い。「ガラパゴス化」は「日本だけ孤立している」と考えれば悪い意味だが、「突出している」となれば意味が180度変わる。(p.71)
 日本は、バブル崩壊以来、もう25年ほど低成長時代が継続している。デフレ不況が長引けば長引くほど、病膏肓に入ったと思うのは、前世紀の経済学的視点でしか考えられない洗脳されたタコ頭だからである。
 近経(近代経済学)は数学で言えば幾何学のようなもので、いくら正しくても間もなく用いられなくなる。・・・中略・・・。近代の終わりが見える。日本が成すべき国際貢献とは何かが見える。(p.97)
 タコ頭でない人間は、デフレの長期化は日本人が本質的な生き方を創出する上で必要な過程であると考える。
 タコ頭人間の視点では、新しい生き方の創出に何ら貢献できない。
 タコ頭でない日本人は、少ないお金で楽しく生きる生き方を、高度な技術を駆使することで編み出してゆく。
 それこそが文化と技術で世界をリードする文化技術立国・新クールジャパンの使命である。
 ところが、日本の主要な地位を占めているのは、カネで世界を支配している「闇の支配者」たちの下僕(タコ頭人間)たちばかりだから、意識切り替えの足を引っ張るばかりで、マイナスの役にしかたっていない。

 

 

【ふざけちゃいけない】
 人種差別がひどいと言われているフランスへ行ったが、特に差別を受けなかったという日本人に、別の人が「当りまえだ」と言った。フランス人にとっては、フランス以外はみんな猿だからな、という説明だった。
 とんでもないと日本人は思うが、・・・中略・・・、エホバは「嫉む神」だと旧約聖書に書いてある。その偏愛を一身に受けていると思うのが、話の始まりらしい。ヨーロッパ人は世界中を見下して上に立って神さま気取りだから、権力の行使に遠慮がない。(p.96-97)
 一神教文明下で育っていない日本人は、支配・被支配という世界観を持っていないけれど、世界は、このような発想の人々によって支配されているのだということを、日本人は明確に自覚しておくべき。
 そういう人たちが作った金融システムを日本では採用するなと言いたい。彼らはそれを「グローバルスタンダード」と呼んでいる。国際金融のルールは一つだと言うが、それは一神教の考えである。ふざけちゃあいけない。大学に行って近代病に侵されると、こんな屁理屈に簡単にだまされる。これはもう洗脳だ。(p97)
 そう、完全に洗脳。
 大学は、支配者にとって都合がいい貨幣経済システムを維持するための洗脳機関である。
 そもそも、小学生の時から義務教育として洗脳しているのである。
 そして、こともあろうに習字で“納税義務”などと書かせている!!!のである。甲府法務局のロビー一面に、この洗脳習字が目いっぱい貼られていたのを見てオッタマゲタことがある。
 「お前ら猿は、教育によって洗脳される義務がある」と憲法で定めた上に、カネで支配する社会を維持するために「納税する義務がある」と習字の授業時間まで使って洗脳しているのである。ふざけちゃあいけない。
    《参照》   『バイリンガルの子どもたち』 唐須教光 (丸善)
              【義務教育】
    《参照》   『船井幸雄がいままで口にできなかった真実』 船井幸雄 (徳間書店) 《前編》
              【「税金はとるものだ」を常識にしてはいけない】