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 この本は、小泉改革が行われていた頃に著された本。 『ヤクザ・リセッション』『八百長経済大国の最後』より先に出されていた。2002年初版。この読書記録の中では初版年度が一番古い本だろう。
 年末に衆議院総選挙が行われることになったから、こんな古い本をまた読んでしまった。

 

 

【先進国では例がないほど深い闇社会と支配層の癒着】
 なぜ、日本は不良債権の処理ができないのか? それは、多くの不良債権にヤクザが絡んでいるからである。 ・・・(中略)・・・ すなわち、日本の不況は「ヤクザ不況」the Yakuza Recession なのだ。 ・・・(中略)・・・。
 何処の国にも闇社会と支配層の癒着はあるが、日本ほどそれが深い国は先進国では例がないだろう。が、このことは、日本人なら誰でも知っていることなので、これまでは、誰も表立って言わないできたのだ。(p.18)
 「日本人なら誰でも知っていること」とあるけれど、政治に関わりのない一般の日本人はほとんど知らないだろう。「清らかで高潔だからこそ立派な政治家になっている(!)」なんて真反対に思っている。あんなに薄汚い世界なんて、ないのにね。
 中国は先進国の内に入らない。
 ロシアではプーチンさんが欧米権力とつながる闇社会を一掃したから、今日の繁栄を享受している。
 日本は、ヤクザ・リセッションが今でも続いている。サブプライムやリーマンショックが起こらなくたって、不況は続いていただろう。根本はほとんど改善していないのである。
 歴史を見れば明らかだと思うが、腐敗がある国ほど、経済はうまくいかず、国民は貧しくなる。アジア、アフリカの多くの国が、民主主義政権を樹立し、資本主義経済を導入したにもかかわらずうまくいかなかったのは、もともとの支配階級の腐敗を断ち切れなかったからだ。 ・・・(中略)・・・ 。
 ときとして日本人は、インドネシアやフィリピンなどの後進国ぶりをバカにすることがあるが、果たしてそんなことをしていいのだろうか。(p.82)
 私がここまで書いても、日本人はまだ、日本はまがりなりにも民主国家だと言うかもしれない。が、外国人から見れば、日本の政治の腐敗堕落ぶりは、フィリピンやメキシコと一緒に見えるのである。(p.188)
 衆議院総選挙を前にして、暴力団と癒着している自民党の大物政治家は率先して身の危険を回避するために、政界からの引退を表明している。彼らが引退し、総選挙で新しい風が吹いたとしても、原発利権に見られるような政・官・財・暴の鉄壁躯体を破壊できなければ、日本は良き方向へ舵を切ることはできないだろう。

 

 

【公共事業という利権構造】
 ある暴力団幹部が『Forbes』に語ったこと。
 公共事業にヤクザはつきものだが、このときも「巨額なリベートが自民党に渡った」と彼は語る。「ヤクザは、政治家の代わりに株式取引も行う」とも述べた。 ・・・(中略)・・・ 彼は、ヤクザとの密接な関係がある政治家として、最近の首相経験者らを含め、古参政治家たちの名前をすらすらとあげた。 ・・・(中略)・・・ 。地方における公共事業に絡む「利権構造」(社会主義システム)が、日本をGDP(国内総生産)の140%という負債を抱える国にしてしまったのだ。これは、ムーディーズによれば「第2次世界大戦後、主要国では最高の負債レベル」だという。(p.52-53)
   《参照》   『八百長経済大国の最後』 ベンジャミン・フルフォード (光文社) 《前編》
             【『フォーブス』に掲載された記事】

 いまだに地方行政のトップが自民党関連の方なら、総選挙後に風向きが変わっても、旧態依然としたことを続けるだろう。ヤーサンとの縁が切れないか、それに便乗した私利私欲ぶりが改まらないからである。

 

 

【警察の実態】
 大阪地区の朝日新聞記者たちは、ヤクザから殺すと脅かされており、多くの記者らが安全のために家族と離れて住んでいるという。警察はこういうケースについては、ほとんど当てにはならない。日本の警察官僚は引退するとヤクザ関連企業に天下る。例えば、パチンコは2兆円の違法な金が動くギャンブル産業である。「彼らが引退した警察官を迎える理由は、いつ違法なカジノの摘発があるかを知るためだ」と、ヤクザの情報筋は語る。近年、総会屋に対する警察の取り締まりの厳しさが盛んに報道されているが、検挙されるのは、暴力団とは直接結びつかない小物連中ばかりである。(p.55)
 大阪地区は、同和利権の本拠地みたいな所である。
   《参照》   『同和利権の真相』 寺園敦史・一ノ宮美成 (宝島社) 《前編》
             【ウンコ警察】
   《参照》   『ヤクザ・リセッション』 ベンジャミン・フルフォード (光文社) 《前編》
             【企業とヤクザ、そして警察】
 警察とヤクザの持ちつ持たれつの関係、警察OBの天下り先を調べて行くと、日本の闇の世界が見えてくる。神奈川県警の銃器対策課の巡査部長が暴力団に情報提供した見返りに現金をもらって捕まった事件というのがあったが、これはその一端である。
 こうした癒着が、結局は日本の改革を遅らせている原因の一つなのはまちがいないだろう。(p.70

 

 

【日本社会の組織的隠蔽】
 日本の新聞が事実を握りつぶしてきた膨大な記録 a long list of big stories のなかには、大物自民党議員の賄賂、オウム真理教信徒警察官の告白、第2次世界大戦を指揮した昭和天皇の新事実、政治家とヤクザのつながりをもつ日本の銀行の闇の部分などがある。これらは、日本社会では組織的に隠されている systematically hiddenのであって、ほんの氷山の一角にすぎない。(p.74)
 どこの国だってそういうことはいっぱいあるものだけれど、日本では組織的に整然と安定的に隠蔽されている点が突出している。
 戦後の大物自民党政治家の腐敗ぶりは共通したことだけれど、誰を生かし誰を葬るかの殺生与奪権を持っていたのはCIA(闇の権力)なのだし、天皇家に関することもそこが関与しつつ利用しているから隠されている。
   《参照》   『ヤクザ・リセッション』 ベンジャミン・フルフォード (光文社) 《前編》
              【日本の支配者】

 

 

【アルゼンチン化】
 「日本がアルゼンチンになってしまうかもしれないと、私は本当に心配している」と前経済企画庁長官の堺屋太一は言う。
 いずれにせよ、デフレの進行は日本を捉え、日ごとにシナリオは悪化している。もし日本がロシアのような崩壊に直面するのなら、それはいつかと、トヨタの名誉会長の豊田章一郎に聞いたところ、「もうすでに日本は危機のど真ん中にある」と答えた。そして日本のリーダーたちの認識の甘さに不満を表明するのだった。(p.103)
 はるな愛ちゃんみたいな芸能人が出現し、日本はオカマブームになりナイゼンチン化したからアルゼンチン化しなくて済んだんだろう。
 日本は本当によく崩壊しなかったと思うけれど、日本を救った人物なんて誰もいない。最大のポイントは「天皇家の有する莫大な資産」(日本人は知らなくても「闇の権力」はその規模を知っていた)が信用創造に寄与していたから、か。他に思いつかない。
   《参照》   『天皇の財宝』 高橋五郎 (学研) 《前編》
             【世界経済の救世主】

 

 

【日本では高すぎるもの】
 カナダに戻ると私は、必ず、大量に買うものがある。日本では高すぎたり、手に入らないので、まとめ買いするのである。例えばクスリ。香辛料、コーヒーも買いだめして、日本に持って帰る。(p.166)
 この本が書かれたのは2002年頃だから、現在の日本は、ややマシになっている。クスリはジェネリックが出回っているから、頭痛薬なんかは従来の半額以下で買える。
 あと、安く買えるようになったのはサプリメントだろう。「ヒアルロンサン」を薬局で買うと安くても一ヶ月分で1980円(通販商品なら4~6千円)もかかるのに、なんと今はダイソーで20日分を105円で買える。こんな値段でもちゃんと効果があるから大したものである。インスタントラーメン大好きな貧食者のチャンちゃんはよく立ち眩みしていたけれど、ダイソーで買える「ヘム鉄」や「DHC」を摂るようになったら体調が良くなった。高ければいいってもんじゃない。海外ではアルツハイマー用として常用されている「イチョウ葉」だって105円で買える。

 

 

【日本人女性の黒髪】
 日本女性の黒い髪、黒い瞳は、本当に魅力的 attractive なのである。
 しかし、こう思っているのはじつは外国人だけで、日本人の女性の認識は違うらしい。外国人へのあこがれなのか、涙ぐましい努力をして外国人女性に近づこうとしているように見える。
 これは流行というより社会的なトラウマ trauma だろう。(p.167)

 殆どの外国人が日本人の女性にあこがれ、ビジネスマンについても優秀だと思っているのに、日本人だけが「ダメだ」と思い込んでいるのだから、悲しくなってくる。(p.168)
 ある程度年齢を重ねないと自国の良さを認識できないから、やむを得ないだろうと思いもする。しかし、外国人が髪を染めている日本人をどう思っているかは知っておいた方がいい。
   《参照》   『反米という作法』 西部邁・小林よしのり (小学館)
             【髪を染める日本人】

 

 

<了>
 

ベンジャミン・フルフォード著の読書記録