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 著者自身が、外国で働いたり起業したりして成功している方だから、『おひとりさまで幸せになる人』とは、結局のところデキル女性で、そうでなければ『幸せになれない人』になってしまうと言いたいらしい。
 世相を反映しているのかもしれないけれど、オッサンたちが読めば、特に前半は、「これ書いてるの、本当に日本人女性?」って思うことだろう。2012年1月初版。

 

 

【おひとりさま世帯】
 女性の生き方が多様化していることによってさまざまな家族形態があらわれるのはわかりますが、それでも、すでに現段階で、おひとりさま世帯が夫婦と子供や夫婦だけの世帯より多いとは驚きます。(p.15)
 へぇ~~~。

 

 

【おひとりさま生活の不安解消法】
 何人か依頼したシッターのうち1人は介護経験者で、家事も担当してくれました。
 また、日中の数時間だけでなく、朝、起きるのが大変なときには早朝から来てくれたり、夜遅くまでサポートしてくれたり、泊ってくれたこともあります。
 家政婦やベビーシッターを依頼してから、突然、病気になったら家事もできないどころか身動きもとれないかもしれない、1人で暮らすにはどうしたらよいのだろうか、などといった漠然とした不安が消えました。
 ・・・(中略)・・・ 人の手をうまく借りて生き延びることができるのが、輝いているおひとりさまです。(p.32)
 でも、女性の助けだけでは及ばないこともある、その場合は、男性をアレンジして使い分けるのだという。

 

 

【レンタル男】
 家に呼ぶのは、何もセックスをするためだけではありません。ペットのように、ただ癒してくれる男性もいます。重い荷物を動かしてくれる男性も必要でしょう。もしくは無線LANを設定してくれる男性も大事です。そのときどきに必要な男性をアレンジして、来てもらうようにしましょう。(p.77)
 この本には、メッシー君とかアッシー君というようなひと頃流行った言葉は出てこない。著者は、甘えを排し自立したおひとりさま生活を目指しているからなのだろう。
 ぶさいくなブルドックをレンタルして優越感に浸るのか、マルチーズをレンタルして一緒に戯れて遊ぶのか、コーヒーショップでチワワを抱っこして映画のシーンを再現するのか、気分しだい、目的しだいなのです。
 自宅用のレンタル男は一生モノです。ルックス、会話などにこだわらずに家に呼んでもいいかなと思う空気のような存在なのです。それには顔が重要です。
 欧米では、face.com というサイトの人気が高まっています。 ・・・(中略)・・・ 。
 レンタル男の中でも一生モノになるかどうかは、やはり生理的に受けつけるかどうかです。(p.84)
 自立した個人の文化という下地のある欧米ならわかるけど、日本でこういう生活スタイルが本当に馴染むのだろうか。著者は海外での生活経験豊富なバリキャリ・ウーマンである。

 

 

【「単純承認」「相続放棄」「限定承認」】
 生臭い話もちゃんと書かれている。
 親が亡くなって、資産と借金を引き継ぐ場合。
 「単純承認」 ・・・(中略)・・・ 借金が多くても資産から差し引ける場合はこの方法がいいでしょう。
 しかし、借金のほうが資産よりも多い場合は違います。資産が多くあっても借金のほうが上回る場合は、「相続放棄」のほうがいいわけです。 ・・・(中略)・・・ 得た財産の限りで債務の負担を受け継ぐ「限定承認」もあります(p.90)
 「親子で同じ税理士に依頼して資産内容を把握しておいた方がいい」と書かれている。
 国際経済が大きく破綻した後の今どきは、資産と負債が拮抗している人も少なくないのだろうから。

 

 

【リバースモーゲージ制度】
 自宅はあるけれど、現金がない。年金だけでは生活費が足りない。老人ホームに入居したいけれど、入居費がない。などという方には、自宅を担保にして、年金などのように毎月定期的に生活費などを生きている限り受け取ったり一括で融資してもらえたりするリバースモーゲージ制度があります。終身で生活費などの融資を受ける代わりに死亡したときには、家を売却することで利息も返済します。(p.96)
 下記の本を読んだ時は、身寄りのない老人の場合の話、しかも外国のこと思って読んでいたけれど、日本にもあったわけだ。おひとりさまが増えている今日なら、日本国内でもこの制度を活用する人は増えることだろう。
   《参照》   『ザッツ・ア・グッド・クエッション!』  譚璐美  日本経済新聞社
             【死神ローン】

 

 

【親子の同居】
 最近は、景気の低迷により、経済事情の苦しい若い世帯が同居を選ぶ傾向がありますが、高齢者にとって本人の自立のために本当に同居が良いのかどうかわかりません。アメリカでは10%、スウェーデン、デンマークはたったの2%ほどです。三世代同居がほとんどないスウェーデンでは、歳をとったら夫婦で住み、死別した後は1人暮らしになるので、子どもの世話になる人は少ないのです。
 同居率の増加に比例して日本だけが寝たきり高齢者が圧倒的に多く、日本では65歳の高齢者のうち50%が寝たきりで、先進国の中で最悪の数字です。スウェーデンなどほかの先進国は10%以下です。1994年の内閣府の国民生活白書では、老人の自殺率が一番高いのは、三世代同居のケース、一番低いのは自立した1人暮らしのケースです。(p.109)
 日本では65歳の高齢者のうち50%が寝たきり とあるけれど、この数字は社会の現実から見ても間違っているだろう。50%が正しいのなら、「65歳」ではなく「85歳以上」か? それなら分からないでもない。
 いずれにしても、日本人の親だって、本人が元気であれば同居なんて望んでいないのは事実だろう。

 

 

【「暦年課税」と「相続時精算課税」】
 贈与(相続)に関する節税方法。
 暦年課税は1年間に110万円以上をもらった場合に税金がかかります。つまり110万円までなら税金がかかりません。(p.129)
 子どもが3人いるなら、1年間に330万円を無税で贈与できる。「暦年課税」は孫まで適用可。
 これを毎年続けていれば、大きな節税である。
 (「相続時精算課税」は)2500万円以上の資産を受け継ぐことになったら、2500万円を超えた分の資産に対して税金が20%かかると覚えておけばいいのです。(p.130)

 

 

【葬式のこと】
 最近は、葬式をしないおひとりさまも増えています。第一生命経済研究所の2006年の40歳から74歳までのアンケート調査では、約10%が葬式不要、葬式をしてほしくないと答えています。
 おひとりさまに限らず、東京都では、身寄りがあっても葬式を行わずに火葬するいわゆる直葬が、実に30%近くにまで増えているそうです。(p.45)
 昔は、冠婚葬祭こそが経済を回す主要なモーターみたいなものだったんだろうけど、経済発展した結果、それは今日のように産業になった。しかし、経済が停滞するに及んで冠婚葬祭費こそが生活を圧迫しているのだから、率先して自他の葬式から縁を切りたがる人が増えるのは当然である。
 葬儀式場を使ったら、参列者が200人以上いないと赤字だろう。借金を背負ってまで見栄を張りたがるのは、現実的ではない。チャンちゃんももちろん直葬。それで十分。

 

 

【子どもだけを欲しい女性】
 産婦人科医の話によると、実は夫とセックスをしたくないと、セックスをせずに子どもを生む女性も増えているそうです。(p.160)
 !!! ??? ・・・

 

 

【年収が上がる時代ではない】
 お金がなくても愛がある、いずれ年収も上がるかもしれない、だから今は年収の低い男性でもいい、そんな女性が増えていますが、それは間違いです。これからは年収が上がる時代ではありません。ほとんどの人がどんなに転職を繰り返しても、いずれも年収が上がることはないのです。(p.178)
 後進国が一挙に経済発展を始めた現在の世界において、先進国の日本は、世界の平準化圧力に晒されて、否が応でも賃金は下がる。経済的な成功を望んでも、叶う確率は極小だろう。少ない額で幸せに生きる術を考えるほうが遥かに現実的である。
 悲しいかな、経済が低迷している今、草食系男子が増え、ガッツのある男性は少なくなりました。
 結局、デキル女性なのに、気づけばマザコンで依存度の高い、デキナイ男性ばかりが近づいてくるようになるのです。
 そしてデキル女性はプレッシャーを感じて安月給の男性から逃げ、おひとりさまを選択するようになるのです。(p.179)
 経済状況がこんなんで、女性の社会進出が進んで行くのだから、男女の役割が変わりつつある遷移段階では、非婚者が増えて当然である。

 

 

【おひとりさま中心の社会】
 これからはおひとりさまを中心に社会がまわります。働き続けるおひとりさまによって日本経済が成り立ってきた、と敬意を表するとともに、増え続けるおひとりさまと社会の距離を縮める必要があります。地域のリーダー、組織のリーダーとして、おひとりさまの力を社会のために大いに使いましょう。(p.193)
 毅然としたおひとりさま意識をもつ人々が増え、その数が閾値を越えれば、社会構造の変化は急速に進むのだろう。うしろめたく感じているような後ろ向きの意識では、何も良くならない。おひとりさまを前向きに捉えることから、可能性が生ずるはずである。そのような人々が集まって生きやすい社会を志向すれば、外的な大きな事象をも伴って時代は大きく動くことだろう。
 しかし、社会の変化がどうであれ、問題なのは個人がどう意識を変革させてゆくかということだろう。人間として生まれてきた目的は、結婚することなんかじゃない。ましてやお金を稼ぐためなんかであるわけがない。
 全ての人々にとって共通する大きなテーマは、「二元性の克服(一元性への回帰)」のはず。二元性の世界は、どのように生きたって、学びのための困難がきっちりと用意される世界である。

   《参照》  『結婚しなくていいですか。』 益田ミリ (幻冬舎)

 
 
<了>