《前編》 より

 

 

【女性の強さ】
茂木  女性は感情のアップダウン自体が一つのロジックであり、客観的な状況とは関係なく、自分の気分が落ち込んでいるか、高まっているかということが、とても大事なのではないかと思うんですね。
矢内  男性のほうが落ち着いていて、客観的に物事を見られるということですか。
茂木  うまく言えないのですが、女性は自分がどういう感情を持っているかということ自体が、世界とのかかわり方に強く影響を与えるというのかな。 ・・・(中略)・・・ 。
 端的に言えば、男は政治的な議論でつかみ合いの喧嘩になったりするけれど、女性は 「首相のネクタイの趣味、いいよね」 でおしまい(笑)。
矢内  確かに女性は自分の好き嫌いが大きな判断基準になっているかもしれません。
茂木  それは女性の強さだと思うんです。(p.140-142)
 石頭の男性は、「(女性は)感情がロジック」 という表現が理解できないのだろう。
 頭の柔らかい女性は、「(石頭のアホ男性は)屁理屈が感情なのよ」 と理解しておけばいい。

 

 

【女性の化粧】
茂木  脳の中で自分の顔を認識するエリアと他人の顔を認識するエリアは違うのですが、女性は化粧した自分の顔を他人の顔のように見ていることがわかりました。(p.143)
 これを読んで、女性の強さって 「感情がロジック」 であることより、「化粧によって、いつでも脱ぎ捨てられる他人を装っているから」 なんじゃないだろうかと思ったりする。
 もしかしたら、化粧はウソと何らかの相関関係があるのかもしれない?
   《参照》   『男と女 ウソのつき方見抜き方』  ますい志保・さくら  講談社
             【女性のサバイバル能力】

 また、女性は化粧中に自分の顔と目が合うと喜びを感じるドーパミンが出るとも書かれている。
 昔は、化粧をしたのは祭りのような 「ハレ」 の日だけだったのだろうけれど、近代社会では、「ハレ」 と 「ケ」 が逆転してしまっているのが普通だろう。そんな状況下にある女性は、案外、安息日としての 「ケ」 を望んでいるのかもしれない。

 

 

【いつでもおろせる荷物?】
 茂木さんのあとがきに書かれていること。
 二度目の対談中に僕が 「いろいろと担わされて大変ですね」 と言ったら、矢内さんが「いつでもおろせる荷物ですから」 とあっさり応えたことに端を発する。
 あの言葉には女性の強さが込められている、僕はそのとき 「まだまだおろしてもらっては困ります」 と応えたが、本音は 「そうだよ、それでいいんだ。仕事なんて生きるうえではたいしたことじゃないんだから」 と思っていた。
 つまり、「キャリアか結婚か」 という問題の立て方自体がそもそも男性的なのだ。 ・・・(中略)・・・ 。女には女にしかできない生き方があり、強さがあるのだ。(p.188-189)
 “スッピンでいられる 「ケ」 の日常こそが女の生業であり本質的な強さである” と本能的に感じている女性こそが、 “化粧状態の 「ハレ」 の日に大活躍” しているのかもしれない。

 

 

<了>