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 面白い本だった。著者は、さまざまな外国人が集う日本語学校の先生。彼ら外国人の発想や思いが実に面白くて笑ってしまうのだけれど、それを倍加させる絵がまた非常にいい。2009年2月初版。

 

 

【ニューハーフ用のトイレ】
 テレビで日本文化を学んだ韓国人女性の思いが、4コママンガが描かれている。
 日本ほど「ニューハーフタレント」が一般的でない韓国から来たパクさん。
 日本はニューハーフだらけと勘違い。
 公衆トイレ。「ああっ」
 「女子トイレなのに男子便器が!! これはニューハーフ用ね!!」  (p.33)
 いっこうさんが、韓国観光名誉広報大使をやっていたからこういうことになってしまったのだろう。当時そのニュースを聞いて、「韓国は、オカマを広報大使にするなんて、一体全体、何考えてるの!!!」 ってビックリしたものだけれど、その時点で、ニューハーフが多用されていた日本の番組が韓国内では何度も放映されていたのかもしれない。
 しかし、このマンガを読んで驚いたのは、その点ではない。
 4コママンガの欄外に、「※ 子連れ人用に男の子用の便器がある女子トイレが多い。」 と書かれている。
 これを読んで、
 「えぇ~~~、知らんかった。そうなんだぁ~~。」

 

 

【バイトの敬語は困りもの】
 「お会計、1000円からお預かりします。」 (p.42)
 コンビニのレジで、お客さんに 「レシートのほう、お返しになります」 と言ってねと指導されたのだとか。(p.44)
 敬語は日本人でも正しく使えないことが多いけれど、最近のレジに立っている若者の日本語は、上述のように明らかにヘンである。
 私もそう言われた経験があるから 「 “1000円から” の “から” はいらない」 と言ったら、嫌な客だというふうな目つきで睨まれたことがある。
 “レシートのほう” の “ほう” もまったく馬鹿げた表現である。そもそもレシートは返してもらうものではないのだから、「レシートです」 で十分だろう。
 外国人留学生にとっては日本語実習の場であるバイト先で、そんなヘンな日本語を学んでくるのだから、日本語学校の先生は大変なことである。

 

 

【日本人の語学力は困りもの】
 これも4こまマンガの台詞。
 「あれー、珍しいな。キムさんはいつも優秀なのに。宿題ずいぶん間違ってたけど、何かあったの?」
 「・・・・・。日本人の友達にやってもらったのに!」 (p.47 & 裏表紙)
 最近の本を読まなくなった若者にやってもらったら、こういうことがあるだろう。
 そもそも、日本人の大人だって日本語検定試験を受けて100点が取れるとは限らない。
 小学校で用いられている国語の問題だって、時に信じられないほどヘンなのがあるしね。
   《参照》   『はじめてわかる国語』 清水義範 (講談社)
              【小学生用の国語の問題】

 

 

【恐怖! マルだらけの答案】
 マルだらけの答案をかえされて愕然とする学生が多いのだという。
 正解に “チェック” をつける国の方が多いからです。
 コントローラーの○×がついているゲーム機の操作も逆
 日本なら○ボタンを押すと「決定」 ×ボタンは「キャンセル」ですが、米国版は逆。(p.51)
 「おいでおいで」 の動作は、「あっち行け」 になってしまうのは、よく言われる事例だけど、絶対に知っていなければならない。
 国が違えば同じではないのが基本。

 

 

【ひらがなが定まったのは、ほんの100年ほど前】
 いろんな漢字を元にみんなが勝手にひらがなを作りまくったから、五十音に相当するひらがなは、何百とあったらしい。
 この混沌に終止符を打ったのは明治政府。
明治33年。
 ひらがなは、1音につき1字だけを標準とすることになりました。(p.66)
 ほんの100年ほど前のことである。
 花札で、「あのよろし」 と読んでしまうアレは、本当は 「あかよろし」 と読む。
 「か」 は、漢字の 「加」 からできたひらがなだけれど、花札のそれは、 「の」 の上に点が付いていて、漢字の 「可」 から作られたものなのだという。
 ついでに 「あかよろし」 とは、「あきらかに、よろしい」 の意味。

 

 

【鳩と蚊と鴉と猫の共通点】
 ヒント 一部分に音が入っています。(p.96)
 答え、鳴き声。
 九(クー)と鳴く鳩、文(ブンブン)鳴く蚊、牙(ガー)と鳴く鴉、苗(ミャオ)と鳴く猫。
 へぇ~~~。
 苗は中国語読み。中国華南地方からタイ北部にかけて存在している一族は苗族(みゃおぞく)と言われる。

 

 

【日本人が知らない日本の良さ】
 「日本は街がキレイでいいですね。だってビルに穴があいていない」 (中東の学生)
 「交差点に車が止まるって、いい国ですね」 「え?」 「止まったところを強盗に襲撃される。警察はもっと止まりません。いい武器持ってるから狙われるんです」 (中南米の学生)
 「皆約束守るのが素晴らしい。電車も約束を守るでしょう」 (ヨーロッパの学生)
 「僕が感動したのは自動販売機。 ・・・(中略)・・・ だって中にお金が入っているんだよ!? 誰も盗らないなんて!!」(ヨーロッパの学生) (p.134-137)
 自動販売機については、壊されてお金が盗られないということの他に、性能が優れていることにビックリする人も多い。
   《参照》   『日本が教えてくれるホスピタリティーの神髄』 マルコム・トンプソン (祥伝社) 《後編》
             【ほとんどの外国人が驚くのは】

 最後にオチがついている。
 「私も、日本の国も日本人も大好きです。日本人は皆優しい、駐車場まで優しい。」 「駐車場?」 「励ましてくれるでしょう 「前向きに」って。」 (p.137)

 

 

   《続編》  『日本人の知らない日本語2』

 

<了>