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 明治維新以降の歴史上の人物が例として語られている。

 

 

【渋沢栄一と五代友厚】
 日本で最初に株式会社を作ったのは渋沢栄一です。しかし、株式会社の発想をしたのは五代友厚のほうが早いんです。五代友厚は薩英戦争の前、つまりイギリスに渡る前に上海に渡航していますので、そのときすでに株式会社についてあらかた把握していたのでしょう。(p.20-21)
 坂本龍馬は、五代友厚の提案に対して名乗り出て周旋役を買って出ただけだから、日本で最初の株式会社を発案したのは龍馬ではない、とも書かれている。
 西の五代友厚、東の渋沢栄一。日本における株式会社の父というに相応しい人物である。
   《参照》   『君子財を愛すこれを取るに道あり』 阿部博人 (致知出版)

                           【ドラッカーの絶賛】

 

 

【武士の気概を持っていた明治の創業者】
 明治維新のときに30歳前後ということは、人格形成期は江戸時代です。つまり、武士の気概を持っていた人が明治になって財閥をつくったわけです。もちろん五代友厚も、それから渋沢栄一もそうです。(p.52)
 帝国ホテルや総合商社の草分けであった大倉商事を創った大倉喜八郎も、三菱の岩崎弥太郎も上記に該当する。
 富山から江戸に出てきたときは徒手空拳、ゼロから財閥を成した安田善次郎もそう。
 アメリカに負けるか、イギリスに負けるか、と。その気概性です、大切なのは。
  ・・・(中略)・・・ 。
 (現在の)日本の大企業も、それから政治家も、外国から何か文句を言われると、すぐに反省しますが、それがいけないんです。(p.88-89)
 企業家より政治家より、一番醜悪なのは、全部ではないにしても官僚である。
   《参照》   『ドル亡き後の世界』 副島隆彦 (祥伝社) 《後編》
             【中川昭一財務・金融大臣】

 

 

【会社の生命力】
 明治の人たちはみんな気概があった。その気概が富国強兵策を成功に導き、1904年の日露戦争を勝たせたんです。ロシアの前には清国に勝った。この明治の人たちの気概は武士道の精神です。武士道の精神に基づく気概を持って生きた人たちが、世界に冠たる日本をつくったんです。
 そのことを思えば、中小企業が生きていく道は気概を持つ以外にないと言えます。気概を忘れたらダメなんだ、ということです。 ・・・(中略)・・・ 。
 これが会社の生命力です。会社の生命力イコール経営者の気概なのです。(p.102)

 

 

【田中角栄に学べ】
 田中角栄さんはいっぱい刧(ごう)を積んで、新潟の地震の元をつくったんですが、何も無いゼロから成功したそのバイタリティーと粘りをこの達磨さんで表現しているわけです。 ・・・(中略)・・・ 「地獄を恐れず生き貫け」 という言葉が書いてあるんですけど、 ・・・(中略)・・・ 。(p.152)
 田中角栄というと、見習うべきでないとか、いや見習うべきだとか、いろいろ議論が分かれるところですが、それは政治家の考えることであって、ビジネスマンにとっては、教科書にすべきような人ですね。本当は、鯉を飼っていた自宅の池を埋めなければよかったんです。金龍神が住んでいましたから。(p.155)
 角栄さんに関する本は、昔はいっぱいあったけど、今はもう亡くなられて古書店にでも行かなければ手に入らないだろう。人に接するときの人間的な温かさであるとか、魅力にあふれた人だったということは、多くの書籍に共通して記述されていた。
 政治的には、金権政治とか地元への利益誘導といった明らかなマイナス点があった。しかし、国家のエネルギー政策として、国益を重視していたのは間違いない。アメリカの利権をスッ飛ばして、インドネシアと石油を中国とウランを直接取引しようとしたから、アメリカの力によって葬り去られたというのが真相だろう。大きなことをしようとする人は、地獄を恐れない。
 

<了>