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 表紙カバーには、今はなきツインタワーの写真が用いられているけれど、この書籍は2007年1月の初版。
 ニューヨークの歴史や、地名からたどるニューヨークのあれこれが書かれていて興味深い。

 

 

【オランダ人の寄港地として栄えたニューアムステルダム】
 さて、それでは誰が一番最初にニューヨークに着いたか、誰が一番乗りかということになると、フランスのフエアンソワ1世に雇われたイタリア人のジョバンニ・ダ・ベラザノであろう。1524年4月の中旬であった。
 その後80年ぐらい経ち、1609年、オランダの東インド会社に雇われたイギリス人のヘンリー・ハドソンが現在のハドソン川に到着。ハドソンと名付けている。当然マンハッタン島も発見している。・・・(中略)・・・・
 このころマンハッタンはオランダ人が支配しており、ニューアムステルダムという名称で彼らの本国からくる西インド会社の寄港地として栄えていた。      (p.12-13)
 ニューヨークという地名になったのは1664年、オランダとイギリスの戦争が終結し、イギリスが勝利したときに本国のヨーク公の名前をとりニューヨークとした。    (p.72)

 

 

【セントラルパーク&メイシーズ&海底ケーブル】
 1857年。アメリカ人はロンドンのケンジントン公園、パリのシャンゼリゼ、ウィーンのプラタ公園などの存在を羨ましく思っていたので、マンハッタンの中心部にこの広大な公園(セントラルパーク)を造ることをことのほか喜んだ。 (p.26)
 翌1858年には世界一大きなデパート、メイシーがオープンする。
 また、大西洋を渡ってヨーロッパまで海底ケーブルが引かれたと書かれている。今から丁度150年前。

   《参照》   『お父さんの技術が日本をつくった』  茂木宏子  小学館

             【太平の眠りを覚ました蒸気船、大西洋横断海底ケーブル敷設に活躍】

 

 

【日本最初の海外での会社・起立工商会社】
 1873年、ウィーン万博は、明治政府が総力を結集して日本各地の産物を出品し、期間中、松尾儀助を社長に日本最初の会社、起立工商会社を設立。欧米相手の商社として世界に雄飛する基礎を作ったのである。 
 1876年、この年、馬車に代わり、電車がニューヨーク市に出現。建国百年を記念して、フィラデルフィアで万国博が開催される。この時に、起立工商会社のニューヨーク支店をブロードウエイ456番地に開店したのである。 (p.32-36)
 起立工商会社の社長、松尾儀助さんは、著者の曽祖父にあたる方なのだという。
 タイトルを 『マンハッタン一番乗り・・・・』 としたのは、曽祖父のことを思ってのことらしい。
 この時代、いったい何人ぐらいの日本人がニューヨークに暮らしていたか、ここの面白い統計がある。
1874年32人、1876年54人、1880年にはようやく104人になっている。   (p.36-37)
 現在の日本人は、企業駐在員の家族など、何万人の規模なのだろう。

 

 

【ニューヨークに行くならスペイン語】
 さて、「ニューヨークに行くときは、スペイン語を勉強していったほうがいいよ」というと、怪訝な顔をする人が多い。・・・(中略)・・・。ニューヨークはアメリカの中でも、ロサンゼルスに次いでヒスパニックの住民が多い。プエルトリコ人をはじめ、南米からたくさんのヒスパニックが来ている。   (p.76)
 スペイン語の単語を知っているだけでも、人間関係が急速に良くなり縁も広がるそうである。

 

 

【ニューヨークの音楽】
 敢えてニューヨークの街を代表するミュージシャンというならビリー・ジョエルであろう。1977年に発表された 『ストレンジャー』、1978年の 『ニューヨーク52st.』 など、また 『ビッグショット』 などニューヨークの街の匂いがぷんぷんするようなリズムとニューヨークなまりの言葉を聞いていると、堪らずニューヨークへ戻りたい気持ちになってくるから不思議だ。   (p.77)
 行ったことのない人でも 『ストレンジャー』の哀愁に満ちた出だしの口笛を聴き、歌詞を理解すれば、大都会ニューヨークの孤独を感じることができるだろう。
 
【小説に出てくるニューヨーク】
 ニューヨークを主題にした小説はたくさんあるが、ニューヨークの庶民をとりあげた作家ではピート・ハミルがよい。彼の 『 The invisible city a Yew York Sketchbook 』 (講談社英語文庫) などは、皆様に馴染みの地名などが出てきて、郷愁を誘われること間違いなし。確かピート・ハミルの奥様は日本人なので余計に親近感がわくのでは。   (p.97)
 
【ニューヨークを舞台とした映画】
 私の一番好きな映画はライアン・オニールとアリ・マックグローの 『ラブストーリー』 だ。 (p.92)
 おそらく、この映画を見て、記憶に残らない人は、殆どいないだろう。
    《参照》  『ある愛の詩』 エリック・シーガル  角川書店

 この他に15の映画作品が短く紹介されている。20世紀、最も栄えた世界都市ニューヨークへ行きたい人は、事前に様々なことを知るための情報源として手っ取り早いのが、映画である。

 
 東京に何十年住んでいても郷愁という言葉は全く思いつかないのに、ニューヨークには郷愁という言葉が実に相応しく感じてしまうのは何故だろう。不思議な都市である。
 
<了>