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 船井さんが書いた200冊ほどの書籍の中から、船井総研の若い社員たちが選びだした文章を中心に編集した本だという。イラストがふんだんに入っていて、お子様向けの編集のように思える。最近の若者には、長い文書を読み続ける能力がないという実状にあわせて、このような出版物を企画したのだろう。
 細切れの時間に読むにはいいだろうけど、このような企画出版物は、いかんせん薄っぺらである。

 

 

【箸一本で・・・】
 日本人一人ひとりが、地球の変革をリードするのは自分たち日本人なんだ、という自覚をもって、自分の身近なところから、またできるところから、一つ一つやっていってほしい。
 箸一本でお風呂の湯をかきまぜてみて、箸一本の力をみてみよう。       (p.17)
 このような、表現は地球環境の問題意識が高まっている昨今、良く耳にするけれど、私がこの文章を書き出したのは、「日本人なんだ」という記述があったからである。日本人でなければ世界に貢献できないことがある。そのことを、真に自覚している人々は、かなり少ない。
  《参照》   『日本人が知らない「人類支配者」の正体』 太田龍・船井幸雄  ビジネス社

 

 

【目立たない部分が美しかったら・・・】
 考えてみて下さい。
 あなたは、他人の本質をどこで見抜きますか。
 私は、相手の目立たない部分を見て、それを相手の本質だと判断します。
 目立たない部分が美しかったら、私はその人を美しいと思います。
 目立つ部分が美しくても、私にはその人を判断しきれません。
 上っ面だけ美しくて、中身が醜いものは、この世にたくさんあります。
 あなたも、その事は良く知っているはずです。                  (p.57)

 今日、この本を手にしたのは、以前、船井さんの著作の中で読んだことのある、日本航空高校という山梨県にある私立高校のことが新聞紙上で目に入ったからだ。
 山梨県の地方新聞によると、インターハイ(高校総体)で、日本航空高校は、男子の部で県内第一位。人数的には極小であろう女子の部であってすら県内第二位である。
 船井さんの本には、航空高校の教育方法は軍隊式の規律に順ずるような厳しいものであり、卒業生は非常に規律正しいので企業からの就職依頼が非常に多と書かれていた。このように学校が毅然とした教育方針を示す私立高校には、都内の企業から、ということは日本中の優良企業から、「わが社に就職してくれ」 という依頼が舞い込むのである。だからこそ、日本の最高位に位置する経営コンサルタント会社の総帥が、自らの書籍の中で取り上げ、優れた教育の確立を目指す関係者が、日本中から学校視察に訪れているのである。
 企業関係者が看るポイントは、目立たない部分である。学校なら生徒自らが担当するはずのトイレと給水施設の清掃状況を観るだけで、その学校の生徒の質はたいてい判断できる。トイレと水周りの清掃が行き届いていない学校の生徒は、たいてい授業の開始・終了のケジメはなく挨拶もろくにできないものだ。トイレ清掃も挨拶も、キチントできないなら、『壊れ窓』 である。おそらくは、そこから教育は崩壊してゆく。

 
<了>