3月末で閉館となる中洲大洋劇場の、さよなら興行作品。
今作は以前鑑賞したけど、改めてもう一度見たかった!
すごく感動したので、スクリーンで見れるのは嬉しい!
滝田洋二郎監督の、2008年の作品。
映画「おくりびと」
所属していた楽団が突然解散した、チェロ奏者の小林大悟。
音楽の夢を諦め、妻の美香と共に故郷の山形に帰ることに。
職探しをする中、好条件の求人広告を見つけ面接に向かう。
社長の佐々木に即採用されるが、業務内容は分からないまま。
実は遺体を棺に収める納棺師の仕事だったことに、戸惑う大悟。
何も知らずに働くようになるまでを、ユーモアたっぷりに描く。
必死の奮闘ぶりが可笑しくも気の毒で、前半は笑ってしまう。
高収入に惹かれるが、大悟はお人好しで頼まれると断れない性格。
美香に言えないまま、納棺師としての仕事を始めることになる。
安からな旅立ちのお手伝いをする、納棺師という特殊な職業。
納棺するまでの儀式が、繊細で美しく日本的で興味深かった。
こんな風に丁寧に送り出してもらえたら、双方が満足するだろう。
死者への尊厳を感じさせ、あの世の存在に希望を見出し救われる。
時に怒られ、時に感謝されながら、納棺師の意義を理解していく。
大悟はさまざまな境遇の別れに立ち会い、生と死と向き合う。
次第に、納棺師の仕事に誇りとやりがいを見出し変化を見せる。
本木雅弘さんが、複雑で繊細な心情を見事に演じ、素晴らしい。
彼の成長と変化の過程が分かりやすく、感動的で共感度が高い。
後半はリアルな葬儀の場面に涙が止まらず、泣きっぱなしだった。
やがて美香に仕事の内容がバレて、辞めるよう反対されてしまう。
職業差別、世間の偏見があると分かるが、大悟は変わらない。
すっかり納棺師として慣れて、強くたくましく成長を遂げていた。
自分の仕事に誇りを持てる素晴らしさ、全職業に刺さると思う。
そして、大悟が幼い頃に生き別れた父について、ある連絡が届く。
過去を乗り越える難しさと大切さを教えてくれて、感動的だった。
離れていても続く親子の愛と絆、夫婦愛にも感動して泣けた。
笑って泣ける愛と成長、人生再生の物語でホッコリと心が温まる。
改めて久しぶりに見たが、展開が分かっていてもとても感動した。
久石譲さんの音楽も美しく、優しい世界観に見事に寄り添っていた。
山形の大自然も美しく、日本の原風景が広がる映像美も良かった。