皆さま
「魂を視る畳職人【和】の物語」です。
前回の物語はこちらからお読みください。
それでは、その続きを書いていきますね。
詳しくは本文をお読みください。
本日もよろしくお願いします。
【自己紹介】
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「魂を視る畳職人【和】の物語」
~畳職人として大切にしていること~
左眼が見えないものの畳職人として
成長していく和(なごみ)には、
畳職人として大切にしていることが
ありました。
それは、畳職人である前に「和」で
あるということ。
「和」とは、自分の名前であるわけで、
自分自身を大切にするということ
だったのです。
和自身、社会やルール、人間関係、
様々な場面で苦しむこともありました。
それは、左眼が見えないからだと
ずっと信じてきたのです。
でも、それだけではありませんでした。
和もずっと自分を大切になんて
してこなかったのです。
それでも、畳職人になって、多くのお客さんと
接することも増えていきました。
畳職人としては、こうしたほうが得だし、
もっと稼げるかも知れない、そんなことを
思う職人も多くいたのです。
たしかに、畳屋さんに所属しているわけだし、
その考えが間違っているわけではありません。
そこには、前提があるのです。
「自分である前に畳職人として」
なのか
「畳職人である前に自分として」
なのか
これが大きな違いを呼びます。
和は、そこだけは徹底していました。
「畳職人である前に和として」
「生きる」
だから、和は、それが間違いと言われようと
お客を選ぶこともあります。
お金を積めばいい、もっといいもの作れ、
クレーマー、納期を縮める、とにかく値切る、
そんなお客に対して、和は、自分と相談をして
やっぱり、断るようにしていました。
賛否両論どころか、否のほうが多かったのです。
でも、和は、曲げませんでした。
「自分の感覚を大切にする」
そういったことをやっていたのです。
頑固者、協調性がない、社会性がない
金を稼ぐってこと知らないの?
様々なことを言われていました。
それでも、和は、曲げないのです。
それは、なぜか?
「自分を大切にすることが先だと」
「心の底から知っていたから」
ただ、それだけなのです。
「自分に嘘はつかない」
それは、段々と働く畳職人の表情に
結果として表れてきました。
和以外のほとんどの職人は、とても
必死で、我慢を重ねて、苦しそうに
畳を作っています。
でも、和は、真剣さの中に、どこか
楽しげで、安心感があるように見えます。
そして、一番大切なもの、「愛」を
和からは感じられるのです。
だから、その畳、作品は、人々を
魅了していくようになります。