皆さま
「魂を視る畳職人【和】の物語」です。
前回の物語は、こちらからお読み
いただけます。
本日もよろしくお願いします。
【自己紹介】
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「魂を視る畳職人【和】の物語」
~大切なことに時間を割く~
畳職人の傍ら、見えないはずの
左眼で魂を視ている和(なごみ)、
今回は、迷えるお客様が和の元に
やって来ました。
和は、お客さんの話をよく聞きます。
それで、どんな畳を作るといいのかを
考えてゆくのです。
でも、和の場合、話しを聞くだけでは
ありません。
見えないはずの左眼でそっとお客さんの
胸のあたりを見るのです。
そうすると、その人の魂が視えます。
今日のお客さんは、若い女性でした。
和室の畳を取り替えたいと思い、
やってきたのです。
そこにも意味がありました。
このタイミングで和の元を訪れるのです。
この女性にとって、転機とも
なります。
そうして、和は、そっとその女性の
魂の望みを視ました。
「本当は、絵を描く時間を作りたい」
主婦でもあるこの女性、忙しくしており、
自分の時間を持つことに罪悪感を
持っているようでした。
でも、素敵な想いを持っているのです。
和は、女性から一通りの話しを聞いて、
畳の制作に入ります。
イメージに合わせて畳を編み込んで
ゆくのです。
その畳に、和は、一本のカラフルな
糸を編み込んでゆきます。
「絵を描く時間を取れますように」
そんな想いを表現していきました。
そうして、畳は、できあがります。
和室の畳を交換してゆきました。
女性は、想像以上だと歓びます。
そんな声を聞いて和もうれしく
なるのです。
和は、そうして一言だけ女性に
伝えました。
「この畳で大切な時間を過ごしてください」
それから、女性が和室で珍しく
寝転んでいました。
急に、寝転びたくなったのです。
「よく、おばあちゃんの家で」
「和室で寝転んでたなあ」
「そうすると、おばあちゃん」
「いつもそば殻の枕をそっと」
「持ってきてくれるんだったな」
女性は、とても懐かしい思い出に
浸っていました。
「おばあちゃんも絵を描いてたっけ」
「やっぱり、私も描きたい」
女性は、畳から起き上がり、
絵のセットを買いにゆきました。
それからというもの、一日何時間とも
いかずとも、数十分だけでも、絵を描く
時間を取るようになったのです。
子どもが寝てから、子どもたちが出かけてから、
家族の食事の準備が終わったら、上手いこと
時間を作れるようになりました。
そうして、絵を描く時間を作ったことで、
なぜだか女性の気持ちはとても安定するように
なったのです。
幸福度も上がりました。
ただただ、女性は、自分で絵を描いて
楽しむだけです。
それだけでも違います。
明らかに変わります。
和は、絵を描きたいという女性の魂の望みに
気がついていたのです。
だからこそ、カラフルな糸を編み込んで
ゆきました。
でも、そこにコントロールはありません。
「魂の望みに気付いて生きる幸せ」
そんなことを伝えようとしました。
女性は、畳に帰り、寝転び、
不思議なご縁に感謝をしました。
和の元に女性から歓びの声が
届くのです。