皆さま
「魂を視る畳職人【和】の物語」です。
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本日もよろしくお願いします。
【自己紹介】
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「魂を視る畳職人【和】の物語」
~【和】に見える世界~
畳職人の和(なごみ)が
そこにはいました。
和は、見えなくなったはずの
左眼で、その人の魂を視ることが
できます。
ただただ、魂を視るだけでは、
と、和は感じていました。
そこから、自分らしくお客さんが
歓んでくれる畳を創ることにしたのです。
まずは、左眼でお客さんの魂を
視ます。
そこには、その人の魂が求めるものが
みえてくるのです。
例えば、家族の問題に巻き込まれて、
悩みに悩んで、その後、家族のありがたみを
学ぼうとしている魂があります。
その苦しむ間、その人は、家族からはかけ離れ
途方もない孤独感を感じるのです。
そんなとき、和は、どうすればいいか、
そんなことを感じてゆきます。
とてつもない孤独感で絶望的に
なっているとき、どんな畳を創ると
いいのだろう?
そうして、和は、畳を創り上げて
ゆきます。
和は、畳に、そこにたしかにあった
生まれてきたときの家族たちの
愛情を編み込んでゆくのです。
生まれてきたとき、その人は
たしかに祝福されていました。
素敵な家族に囲まれていたのです。
そのときの、柔らかな包まれるような
愛情を畳に編み込んでゆきました。
できあがった畳は、不思議とふっくらと
しているように思えます。
そうして、和は、その畳をそのお客さんに
納品するのです。
ある日、お客さんは、その畳に寝転びます。
ちょっと昼寝でもしようと思っただけでしたが、
お客さんは、なんとも言えない幸福感に
包まれていました。
不思議と、お客さんからは涙が
流れてゆくのです。
お客さんは、和の創った畳の上で
寝転び、本当はそこにあった
愛されている感覚を呼び覚まされました。
暖かな時間が流れてゆきます。
「いい畳買ったな」
お客さんは、理由はわからずとも
和のことを思い出していました。