三重県に「ジャズドリーム長島」というアウトレットがあり、
そのCMが私の毎朝見ているチャンネルで流れます。
見られるのは東海地方だけなんでしょうか。
内容はこうです。
(アウトレット内のカフェで
待ち合わせしている的なシチュエーション)
「ごめんごめん!遅くなって!」
CMキャラクターのトリンドル玲奈、拝むように手を合わせて登場。
待ち合わせの相手の前に座り
「今日はね、ワンピもスカートも靴もシャツもバッグもぜーんぶ買うの!」
「それからね」
言いかけて、ハッと気付いたように
「Σ急がなきゃ」
慌てて席を立ち
「早く早く!」
相手を手招きしつつ、いそいそとセールに繰り出す。
いや、遅れてきたのオマエだろ。
毎回イラっとするのは私だけなんでしょうか。
そうでなくても忙しい朝、聞き流せばいいんですけど
冒頭の「ごめんごめん遅くなって」が
超音波のように甲高い声で、何をしてても耳につくこともあってか
どうしてもイラつかずにはいられません。
可愛いからって甘やかすのはんたーい。(  ̄っ ̄)
秋レース報告で前後しましたが、蕎麦記録の続きです。
なぜここだけ別記事なのかは、読んでいただければわかるかと。
長野から帰る日、飯山市の西乃茶やで蕎麦を食べながら
スマホ片手に更なる蕎麦屋を検索。
蕎麦大好きな連れの者が、腹ペコなのにも関わらず
大盛りではなく普通盛りにしたのを見て
さてはハシゴする気だな、と察知したコナン君のように鋭い私。←
蕎麦どころ長野、蕎麦屋のブログ記事には困りませんが
逆に対象が多すぎて、絞るのが大変。┐(´~`)┌
私の琴線に触れた蕎麦屋は、新潟に近い県境の山奥で
おばあちゃんが打っているという庶民的な店。
おばあちゃんがいて、蕎麦があれば食べられるそうで
営業時間も営業日も決まってないんだとか。
ここはどう?とスマホを見せると
検索中の自分のスマホと比べてしばらく逡巡した後
「婆の蕎麦屋にするか」
…いきなり婆呼ばわりするんじゃないよ。ヾ(・∀・;)
せきざわや涌井せんたあも相当な山の上にありますが
それすら比較にならないくらいの深い山。
本当にこんなところに蕎麦屋があるの?と思った頃
「はしば食堂 左折」と手書きの看板が。
その先も小さな看板がちゃんと設置されていて(全て手書き)
迷うことなく辿り着くことができました。
最後はすれ違い不可のなかなかな勾配の坂道だったよ…。
ひっそりと静まりかえっている食堂…て言うか民家。
駐車場は私たちの車だけだし、営業してるのか?
疑いながら近寄ってみると、右の柱には営業中の文字。
玄関も「どうぞ」と言わんばかりに開いている。
ということは営業してるんだろう。
いざ!!(`・ω・´)+
玄関に近付いた私たち。
と、その隙間から黒い何かが二つ飛び出してきました。
「!?」
…つ、ツバメ!!Σ(゚口゚;
え、何?
ここ玄関じゃないの??
なんで中からツバメが出て来るの??
二重玄関???
頭から「?」をいっぱい出しながら玄関扉を開け
動揺しつつも「こんにちは!」叫んでみる。
正面にはパチンコの換金所みたいな小窓があり
頭上にはツバメの巣と化した玄関照明(補助段ボール付)。
小窓から「はいよー」と小さなおばあちゃんの顔が見え、「何人?」
「2人です、やってます?」
「いいよー。あと玄関全開にしといて。ツバメが出入りするで」
ええ、今さっき出ていかれました。(;´∀`)
「入ってー」
…入ってって言われても、右方向の引き戸の奥は真っ暗だし
正面は小窓だし(どう見ても台所だし)、どこ入ればいいの。
靴を脱ぎ、恐る恐る引き戸を開けて見ると、居間へ続く廊下。
あ、こっちだ。
台所を通ってきたらしいおばあちゃんが出てきて
「電気点けて」
…そこから?Σ(゚Д゚;)
写真と逆側には床の間があって
扉の閉まった仏壇と思しき家具と、鴨居に並ぶご先祖様の写真。
完全におばあちゃんちだな!
台所から出てきた小さいおばあちゃんが
「さっきねえ、電話があったのよ。5人行くから開けとけって」
わざわざ電話してくる人もいるみたい。
「その人たちあそこに座ってもらうから(奥の6人掛け)
あんたたちはここにしようか」
手前のテーブルを指し示し
「はいこれ、お茶ね」
湯呑を二つ渡されて、急須とポットは各テーブルでセルフです。
注文を決めている間に台所へ消えたおばあちゃん。
お盆に、口一杯並々そばつゆが入った徳利(?)と
お通しみたいなものです。テーブルごと¥200。
全部おばあちゃんの手作りみたい。手前は単に薬味のネギです。
トマトの煮浸し、ズッキーニの浅漬け(絶品)
あとワラビ(かゼンマイ)のお浸しと…
その隣の山菜がよくわからないんですけど、ぬるぬるしてた。
並そばを2人前頼むと、「笹ずしはどう?」とおばあちゃん。
撮ったつもりの写真がありませんでしたが
笹ずしは北信地方に伝わる郷土料理。
笹の葉っぱに酢飯が乗り、その上に佃煮等がトッピングされてます。
岐阜の朴葉ずしに似てる。
私たちハシゴしてますので、お腹はそこそこ膨れてますが
わざわざ言ってくるってことはおススメなんだろうと
一人前(5つ)頼んでみました。
「あんたたちで今日の分は最後!」
…え、後から5人来るのに売っちゃっていいの?
そんな本日最後の笹ずしをつついていたら、
新規のお客さんで3人の親子連れがやってきました。
彼らの注文は、蕎麦と…笹ずし。
おばあちゃん、一瞬考えて
「わかった、ちょっと作ってくるわね!
あの人たちで最後だったんだわ」
そしていそいそと台所とは逆方面の引き戸へ向かい
笹の葉取ってくるところからなんだろうかと思っている私たちに
「予約の人来たら、
あの席案内しといてね」
…は、はあい。( ̄▽ ̄*)
引き戸の向こうへ消えていった後ろ姿を見送り、
おばあちゃんの素晴らしい臨機応変さに感心するやら戸惑うやら。
また連れの者が「はい、わかりました」
とか穏やかに澄ました顔で請け負うもんだから
笑いがこみあげてきて止まらない。
いやあ、こりゃ噂に違わぬ名物おばあちゃんだわ。
おばあちゃんの熟練した笹ずし作りの手の方が早く、
結局案内することなく終わりましたが。
おばあちゃん帰還後、ほどなく運ばれてきた並そば2人前。
実はここの蕎麦、富倉そばと言ってちょっと特殊。
見た目も透明感がありますよね。
富倉そばは、富倉地区にだけ伝わる蕎麦です。
つなぎに使っているのが小麦粉ではなく、
ヤマゴボウの葉の繊維だそう。
食べても普通の蕎麦とは全然違って、弾力と歯ごたえがすごい。
いわゆる「蕎麦は喉越し!」とは一線を画してます。
おばあちゃんは
「上杉謙信が鉄砲の玉に使ってたものが入ってる」
と言ってました。
親子連れにもざるにてんこ盛りの蕎麦を提供した後
台所からざる(調理用)を手に出てきて
「まだ食べれるでしょう。これ、端っこだけど良かったら食べて」
切れ端の蕎麦をざる(提供用)に置いてってくれました。素手で。
たまらないおばあちゃんちぶり。( ´艸`)
そしてそのまま
私たちのちゃぶ台横に腰を下ろす。
おばあちゃん(推定年齢80歳超)が打った蕎麦であること
ヤマゴボウの葉の繊維を使った蕎麦生地は透明になること
蕎麦を打つ時の棒は230cmもあること
飯山市の「富倉そば」は(一軒目の西乃茶やからほど近い)
実は親戚が営んでいる店だとか
~~~~~ここまで下書きしていた分~~~~~
まるで昔から知っている相手のようにあれこれ話してくれて
3年前に亡くなった祖母に今でも頻繁に会いたくなる
おばあちゃん子の私は、懐かしい感じで嬉しかったです。
…訛りで半分くらいしか聞き取れてないんだけど。(;´▽`A``
私たちが訪問してから一ヶ月くらい後、
TVケンミンショー内の「日本一転勤が多い夫婦コーナー」で
長野県がフィーチャーされ、その際上記の「富倉そば」が出てました。
おばあちゃんの店も外観だけ一瞬映りました。
ものすごい山奥だけに、
自主的に行こうとは簡単に思えない場所だけど
TVに映ったことできっと一躍人気店になったんじゃないかな。
おばあちゃん、忙しさで体調崩してなきゃいいなあ。
蕎麦も含めてとても個性的な、なかなかないタイプの店で
また必ず来ようと楽しい気持ちで店を後にしました。(*´∇`*)