おもしろ裁判傍聴記 | RUN!FUN♪RUN!

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走ることがそれほど好きではないのに、なぜかランニングを趣味にしてしまった怠け者のブログです。
走れば走るほど太るという奇跡のランナーの卒業ついでに
せっかく太った体を使って、1kg痩せると3分速くなる説の検証中。(※痩せる痩せる詐欺が止まらないため一時中止)

こんにちは。


ふら~っと怠けた休養に入ったかと思ったらふら~っと復活、

気ままな私に、優しいコメントの数々ありがとうございました。

喜びで昨日はワイン一本空けときました。。゚+.゚ヽ(●´ω`●)ノ。



もう、ダイエットは?とか自己ツッコミ入れるのも疲れたわ。



今日の部署はいつもに増して人の出入りが多く、落ち着かないですが

私、どうしても先日の裁判について書いておきたいんです。

時間が経つと私の中でおもしろさが薄まってしまう!ヽ(´Д`;)ノ

なので、なんとしてでも執筆させていただきます。


…え、今「家でワイン空けてる間に書けばいいじゃん」とか言った?
キコエナ~イ。( ̄ω ̄)わーわーわー



長くなるので、裁判所に行った事情とかは一切省きますが
私が傍聴した初めての裁判は、小さな法廷の民事裁判でした。


元々この裁判を見る目的で行ったわけではないので、

詳しい事情はわからないんですが

どうやら金銭トラブルから起こった裁判のようです。

そんなありきたりと思われる裁判が、なぜそんなに面白かったか。

それは



原告が耳の遠いおじさんで

被告がフィリピン人のおねえちゃんだったから。



どうです、期待で胸が膨らむでしょう?((*´≧∀艸)


30そこそこの若い女性裁判官と男性書記官だけの小さな法廷。

裁判官と、原告・被告との距離はせいぜい2メートル程度。

裁判官席は少し上がっていますが、それでも2.5メートルないくらい。

弁護人は両人ともおらず、向かい合って座っているのは当事者のみ。

いえ、被告側にはもう一人。


被告本人が日本語に不安があるようで、通訳として友人が付いていました。



正式な開廷宣言などもなく、おもむろに始まった口頭弁論。

手元の証拠資料ファイルを見ながら、原告に問いかける女性裁判官。



「ナ-3の借用書ってお持ちです?」

「すいませんけどね、もう少し大きい声でしゃべってもらえる?」



確かに彼女の声は小さくて、傍聴席の私も聞こえづらい。



「ナ-3の借用書って持ってます?」

「え?」

「ナ-3の借用書!持ってます!?

耳、聞こえます!?」




こ、これは…!∑(゚Д゚)

否が応にも湧き上がる、金ネタの予感に震えるとあこ。



審議中の全力発声を余儀なくされた女性裁判官、続けて被告側へ。


「どちらがパールさん(仮)ですか?」

「コチラデス。被告人、日本語アンマリ話セナイ。

私ハ、トモダチ。通訳サンデ来マシタ」


被告人とか原告とか理解して使ってるところを見ると

日本語レベルは相当高いと思われますが、訛りはきつい。


集中力を高めて情報収集した結果、どうやら原告のおじさん

被告人になんと1000万もの大金を貸したらしい。

ちなみにこのおじさん、耳の遠さが異常なんですが

背筋もしっかり伸びていて、見た目はどう見ても50代。

ピンパブのおねえちゃんに入れ込んじゃったんですかねえ。


「ナ-4に貸したお金の一覧が表になってますけど、

パールさんは借りたことは認めますか?」

「チョット今日眼鏡シテナイカラ見エナインデスケド、

借リタコトハ認メマス」


眼鏡持って来てよ。日本の裁判なめてるでしょ。(;´Д`)

てゆーか被告人に確認もしてないけど、通訳が認めちゃっていいんですか。


「田中さん(仮)、貸したお金は最低いくらまで返してほしいですか?」

「はい」


田中さん、キャッチボールしよう!(;゚∀゚)=3


「いや、あのね、お金貸したでしょ?」

「ああ、はいはい」

「それ、全額返してほしいですか?それとも」

「借りた金は返すのが当たり前ですわね!それが普通でしょ!

それを彼女はフィリピンに帰るからって嘘ついてね!

日本にいるのに、フィリピンにいるから返せないとかね!

そういうのが許せんのですわ!」

「うん、わかりました。それで貸したお金なんですけどね」

「ここにも資料がありますけどね、借用書は1000万分しかないけどね!

本当なら貸しとる間の金(多分利子の意味)付いて

500万くらい多くなっとるんだわ!

20万ずつ返すって約束だったのにね、フィリピンに帰るとか嘘ついてね!

100万でも返してもらわないかんわね!!」


嘘だろ!Σ(`L_` )

1000万貸したのに、100万の返済でいいの!?



「100万?100万ね?」

「うん」


あまりの大幅ディスカウントに、裁判官も再度確認。


「田中さんは、100万でも返してほしいってことでいいですか?」

「うん、そうだわね」


なんだろう、なんか取り返しのつかない食い違いが

そこにあるように感じるのは私だけですか。(;・∀・)


「田中さんは100万でも返してほしいって言ってるんですけど

パールさんは月々いくらずつなら返せますか?」

「7万…8万クライシカ無理デス」


被告人に何の確認もせず、即答する通訳係の友人。


「田中さん、月々7,8万の返済でもいいですか?」

「もう少し欲しいわね!20万か30万、せめて15万くらいはね!」


ほらあ~絶対田中さん、1000万取り返すつもりでしゃべってる~。

(((((((;´д`)))))))


「もう少しなんとかなりませんか?15万くらい」

「無理デス、昼間ノ仕事ニ就イタバカリデ

一ヶ月ノ給料ガ15万クライ。被告人コノ頃体調モ良クナイ。

生活スルノニ精一杯デス」

「ちょ、ちょっといいですか!」

挙手と共に突然大声で割って入る原告。


「ここにね!証拠のメールがあるんですわ!

○月までにちゃんと返すって書いてあるでしょう!」

「ソレハコノ人が書イタモノデス!

(と、外国人登録証のコピーと見られる紙を

高々と裁判官に向けて振り掲げる通訳係の友人)

被告人ト一緒ニ住ンデマス!

被告人ガ寝テル間ニ勝手ニ被告人ノ携帯ヲ使ッテ送ッタ!

「こうしてメールでね、返すって言いながら、これも嘘でしょう!」

「ダカラソレハ被告人送ッテナイ!

送ッタノコノ人!(と、再びA4のコピーを両手で裁判官に向ける)

「…それ、誰ですか?(苦笑)」

「コレ、証拠トシテ提出シマス!

被告人ハ難シイ日本語ワカラナイ!

イツモ私ガ被告人ノ作ッタメール今デモ送ル前ニチェックシテマス!

ダカラ、ソンナニ長イメールヲ被告人ガ書ケルワケガナイ!」


ちなみに被告本人は、ここまで一言も声を発することなく

マスクを装着したまま無表情でイスにもたれて座っています。

しかしこの友人、これじゃもう通訳じゃなくて弁護人。

おまけに主観入りまくっちゃってるんですけど。(;´▽`A``



「わかりましたわかりました、ちょっといいですか」


書記官が持ってきた、彗星のごとく現れた第三者の

外国人登録証のコピー用紙をチラ見しただけでフィリピン人に返却し、

裁判官が弁舌を奮う弁護人通訳を遮ります。

証拠品、不受理。


「田中さん、借用書の他に証拠になるものあります?

例えばパールさんの口座に振り込んだ時の明細書とか」

「返す返すって言いながら、嘘ばっかりなんですわ!

日本にいるのにフィリピン帰ってるとかね!

マラリアに罹ったとか、お母さん死んだとかね!」


いえ、みなさん大丈夫です。(;´Д`)ノ

話が噛み合っていないことに気付いていないのは原告だけです。


「そうじゃなくてね!(失笑)耳聞こえます!?」


もはやイラつきを隠せない裁判官。


「振り込みしたとしたら、明細出るでしょ?それ、あります?」

「僕の他にも何人かに追いかけられとるんですわ!

彼女はね、5,6人に金借りとるんですわ!」

「ソレハコノ件ニハ関係ナイデショ!」

「だいたい嘘ばっかりだからね!

金ない金ないって言いながら、毎日パチンコ行ってること知ってるんだ!」

「ダカラー、ソレモ全ク別ノ話デ、関係ナイデショ!!」

「あんたちょっと黙っといて!私は彼女に話しとるんだわ!!」

「ワタシ通訳!彼女ニ依頼サレテ来テマス!!」


やべー、これカオス!(:.;゚;*;゚;.:)

こみ上げる笑いを堪えられず、下を向く私。

最も我関せずで澄ました顔してるのが1000万借りた被告人ってのも何なの?


「うん、関係ないですね、あのね田中さん!

振込明細書!そういうの、持ってますか!!」

「金はねえ!彼女の友達って言う人に渡してたんですわ!」

「お金貸す時に振り込みはしてないのね!?」

「うん」


そんで結局手渡し!(:.;゚;*;゚;.:)


「わかりました、じゃあ田中さんは次回、借用書の原紙持ってきてください。

公判日は水曜でいいですか?」

「ワタシ仕事休ミナノガ25日ト26日ダケデス」



真っ先に自己都合を申告する通訳=第三者…。

って、え?(:.;゚;*;゚;.:)



「午後でもいいですか?」

「ハイ構イマセン、25日カ26日ナラ大丈夫」

「田中さん、25日の午後14時でいいですか?」

「…」

「田中さん?」

「……え?」



吉本か。(:.;゚;*;゚;.:)



「あのね…耳、聞こえます!?

次回!25日の14時で大丈夫ですか!」

「それ、即答せなかんの?すぐには決めれんわね」

「あ・な・た・の・裁判ですよ!決めなきゃ進みませんよ!!」






いやほんと、誰の裁判だよ。






「ほんならまあ、いいですわ」


裁判官に叱られて、原告のおじさんが渋々承諾。

閉廷宣告もなく、なんとなく裁判が終わりました。

たまたま当たったのが面白かっただけで

全てがこんなコントみたいな裁判ではないでしょうが

いつか仕事辞めてヒマになったら、

裁判傍聴を趣味にしようかと思うほど楽しめました。

他人のトラブルを楽しんだってのも、人としてどうかとは思いますが。




桜写真でお口直ししてお帰りください。

傍聴人出口はあちらのドア一つとなっております。(´∀`)ノ