映画「アバウト・ライフ 幸せの選択肢」 (DVD)…最後は自分で決める. | チャコティの副長日誌

チャコティの副長日誌

主役になれない人生を送るおじさんの心の日記.
猫と映画、絵画、写真、音楽、そしてF1をこよなく愛する暇人.
しばし副長の心の彷徨にお付き合いを….



原題:Maybe I Do  製作年:2023年
製作国:アメリカ  上映時間:95分



この初春公開された時は意図してスルーした作品.レンタルDVD化され、
観てみた.本年度累積158本目の観賞は米製のロマンティック・コメデイ.
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ダイアン・キートン、リチャード・ギア、スーザン・サランドン、ウィリアム・H・
メイシーら豪華キャストが集結し、ニューヨークを舞台に不器用な大人たち
の幸せ探しの行方をつづったロマンティックコメディ.

ミシェルは恋人アレンとの結婚を望んでいたが、アレンは煮え切らない態度
を続けていた.2人は親たちの経験から結婚生活について学ぶべく、両家
顔合わせの食事の席を設けることに.

ところが、実はミシェルの父ハワードはアレンの母モニカと、そしてアレンの父
サムはミシェルの母グレースと不倫関係にあった.厳しい状況に追い込まれた
親たちは、子どもたちに不倫の事実を隠しながらパートナーの愛人と対決を
図ろうとするが…….

「パロアルト・ストーリー」のエマ・ロバーツがミシェル、「X-ミッション」のルーク・
ブレイシーがアレン、ギアとキートンがミシェルの両親、メイシーとサランドンが
アレンの両親をそれぞれ演じた.

以上は《映画.COM》から転載.
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観始めたら3組のカップルが出てくる.結婚を悩む若き二人.映画館で
泣く年配男を慰める老女.ホテルで密会中のこれまた老カップル.
恋愛を絡める群像劇かと思った.

が、全く違った…この6人は二組の親子であった.偶然にしても出来すぎ
の環境設定(笑).ドラマだからね.二組の老夫婦が、相手のパートナーと
ダブル不倫.自分の夫や妻もまた不倫していることはそれぞれ知らないし、
自分たちの息子と娘の恋の相手の親の正体も知らない.

グレース:ダイアン・キートンとサム:ウィリアム・H・メイシーは前日に
出会ったばかりで、一線を超えてはおらず、会話で意気投合したのみ.
一方、グレースの夫ハワード:リチャード・ギアとサムの妻モニカ:
スーザン・サランドンは4ヶ月ほど前から不倫関係だが、がっついている
モニカに対し、ハワードは早くも冷めた感じ.
 
グレース&ハワードの娘ミシェル:エマ・ロバーツ は恋人との結婚に
意欲的、ところが恋人のアレン(サム&モニカの息子):ルーク・ブレイシー
はどこか逃げ腰.

友人の結婚式でミシェルがキャッチする算段になっていたブーケを
ジャンピングキャッチ、さらにスライディングして見せるほど.
(彼女がキャッチする=次に結婚するという空気感の醸成を防ぐため?)
そこまでするかという疑問は起きるが、当人の戸惑いを表す1シーン.

この3組の男女それぞれの状況説明が中盤近くまでのんびりと進む.
やがてミシェル家族の家にアレン一家が招かれることになる.
ここで互いが相手の親の正体を知り、必死に取り繕うもボロが出て
全部バレてしまい、クライマックスへ(笑).
 

 

4人のベテラン俳優たちが、肩の力の抜けた演技でちょっとドタバタ感
もあり、楽しそうに演じる様は見ていて楽しい.演技を純粋に楽しめるのだ.

派手な修羅場になるかと思いきや、広い家の中を各自うろうろしながら
過去の自分たちの結婚生活を振り返り、そしてその後の将来の姿を
模索する.

人は誰しも歳をとり、自分の人生が正解だったかどうかを振り返る時が
やってくる.そのときに、なんらかの行動を起こし、それによりそれまでの
人生を台無しにしてしまう人も少なくない.

また、自分が人に誇れぬこと(不倫とか)をしていながら、さも善人面して
わが子の結婚を祝する大人だっていくらでもいる.だけど、ここに出てくる
大人たちは、きちんと自己反省をしたうえで、若者たちの決断を尊重し、
前途を祝福する方向に向かって行ったのは素晴らしい.
 

 

結婚という人生を左右する決断について、決断直前のカップルと、
決断の成果を総括出来る年齢の夫婦というふたつの視点から見える
景色のコントラストはなかなか味わい深いものがある.

キリスト教式の結婚式では、 病めるときも健やかなるときも互いを
愛し続けることを神に誓う.神父の問いに新郎新婦は「I do」と意思
表明する.ここにいる6人の本音は「Maybe I do」(本作の原題)なの
だろう.

それでも、気合いを込めて「IDo」と誓わなければならない時だってある.
子にとっては、親が結婚生活のいい手本.親にとっては、子はかすがい.
登場人物6人がそれぞれほかの5人からいい気づきを得ていた.ただ、
大事なのは、それを生かすかどうかはやはり自分自身であること.

あいかわらず、ダイアン・キートンは年齢相応の外観.リチャード・ギア
もさすがに年齢相応な感じになっていた.物語の中では10歳以上
サバを読んでいて、69歳だけど50代だと偽っていた.だけど実年齢は
74歳のはず、サバ読みすぎだよねぇ(笑).
でも、あいかわらず立居振る舞いが軽やかなのは素晴らしい!

エンドロールで流れる“Always You”の歌詞が、本作の主旨に
またぴったりで、思わず聴き入ってしまった.これは好曲だ.

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