映画「ザ・ウォッチャーズ」…スリラーというよりファンタジー・ミステリーだ | チャコティの副長日誌

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主役になれない人生を送るおじさんの心の日記.
猫と映画、絵画、写真、音楽、そしてF1をこよなく愛する暇人.
しばし副長の心の彷徨にお付き合いを….



原題:The Watchers 製作年:2024年
製作国:アメリカ 上映時間:102分



ナイト・シャマランの製作、彼の娘のイシャナ・ナイト・シャマランの初監督作品
だという.しかも主演はダコタ・ファニングだ.観ない訳にはいかない.
公開初日に本年度累積139本目に観たのは、新種のホラー作品.
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M・ナイト・シャマラン製作のもと、娘のイシャナ・ナイト・シャマランが長編監督
デビューを果たしたホラー映画.A・M・シャインが2021年に出版した同名小説
を原作に、謎の監視者の恐怖を描き出す.

28歳の孤独なアーティストのミナは、鳥籠に入った鳥を指定の場所へ届けに
行く途中で、地図にない不気味な森に迷い込む.スマホやラジオが突然壊れ、
車も動かなくなったため助けを求めようと車外に出るが、乗ってきた車が
消えてしまう.

森の中にこつ然と現れたガラス張りの部屋に避難したミナは、そこにいた
60代のマデリンと20代のキアラ、19歳のダニエルと出会う.彼らは毎晩
訪れる“何か”に監視されているという.そして彼らには、「監視者に背を向けて
はいけない」「決してドアを開けてはいけない」「常に光の中にいろ」という、
破ると殺されてしまう3つのルールが課せられていた.

ダコタ・ファニングが主人公ミナ、「マンディ 地獄のロード・ウォリアー」の
オルウェン・フエレがマデリン、「バーバリアン」のジョージナ・キャンベルが
キアラを演じた.

以上は《映画.COM》から転載.
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舞台はアイルランド西方の森.オープニングには、ひとりの男性が森からの
脱出を試みるも、日没と同時に出現した何かに襲われるエピソード.
オープニングからの不穏さは、この先の展開が楽しみになるつかみだ.

森で迷い、マジックミラー貼りのシェルターに逃げ込んだ人々は、日没後に
部屋の前に集まってくる何かの監視に一晩中耐えなければならない.
また、何かが日中潜んでいると思われる穴をのぞくこともタブーだ.
 

 

ところが、そのルールを破る者が現れる.新しくシェルターの一員に
なったミナ:ダコタ・ファニングだ.穴の入口を探索した彼女は、自転車
など脱出に使えそうなツールの回収に成功する.

しかし、それによって、ルールを決めた何かと、ルールに従うことで
生かされてきた人間との微妙なバランスが崩れてしまう.
先住の初老で白髪の女性マデリン:オルウェン・フェレ、夫ジョンと森に
迷い込んだキアラ:ジョージネ・キャンベル、そして情緒不安定な青年
ダニエル:オリバー・フィネガンの4人で、ミナは協調を試みる.
 

 

ミナの行動に怒った”謎の生き物”達は、部屋の中の4人に攻撃を加える.
身の危険を感じた彼らは脱出を試みる.不幸な事にダニエルはキアラの
夫を擬態する“謎の生き物”に殺されてしまう.

ここらあたりで、ウォッチャーズが謎の存在でありながらも、姿形が少し
ずつハッキリしてきたり、と少しずつ解明されていき、スリラーのみならず、
ミステリー要素とファンタジー要素が入ってくる.

脱出したミナが閉じ込められた地下で見つけた資料のキルマーティン教授が
かつて勤めていた大学の研究室を調べ始めると”背の高いクリーチャー”が
擬態をする”古代の種族”であり、教授の資料からその種族は且つては
人間と共生していた“妖精”であったが、人間に地下深く閉じこめられた事
を知る.擬態する為に“ウォッチ”する必要があったのだね.

意外な展開に驚いていると、一緒に脱出したマデリンとキアラも実は…、
と落ちへ一気になだれ込んでいく. やはり父親譲りのストーリー・テラーを
感じさせる展開に感心させられる.

父の出世作「シックス・センス」は、死者が見える少年と彼に寄り添う
精神科医の双方に解放と救いが訪れる物語だったが、本作も最後は
15年前の母の死に囚われているミナと、もうひとりの登場人物(双子?)
の魂の解放の物語に昇華していく.

きちんとした物語になっていることにそれなりの満足が得られる作品.