映画「告白 コンフェッション」…コンパクトさとどんでん返しが魅力! | チャコティの副長日誌

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主役になれない人生を送るおじさんの心の日記.
猫と映画、絵画、写真、音楽、そしてF1をこよなく愛する暇人.
しばし副長の心の彷徨にお付き合いを….



製作年:2024年 製作国:日本 上映時間:74分



予告で観て興味をもった作品.作者が福本伸行とかわぐちせいじというのも
惹かれた理由の一つ.しかも監督があの「カラオケ行こ!」の山下敦弘なのだ.
本年度累積122本目は尺も短く好ましい邦画作品.
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「賭博黙示録カイジ」の福本伸行が原作、「沈黙の艦隊」のかわぐちかいじが
作画を手がけた漫画「告白 コンフェッション」を、「土竜の唄」シリーズの

生田斗真と「息もできない」のヤン・イクチュンのダブル主演で実写映画化.

大学山岳部のOBで親友の浅井とジヨンは、16年前の大学卒業登山中に
行方不明となり事故死とされた同級生・西田さゆりの17回忌の慰霊登山に
出かけるが、猛吹雪で遭難してしまう.

脚に大怪我を負ったジヨンは自分の死を確信し、16年前に自分がさゆりを
殺害したと浅井に告白.自身の犯した罪に苛まれ続けてきたジヨンは苦しみ
から解放され安堵するが、その直後、眼前に山小屋が出現し、2人は命を
取り留める.

親友の最期の告白を聞いてしまった男と、うっかり言ってしまった男.
薄暗い山小屋で救助隊の到着を待つなか、2人の間には気まずく
不穏な空気が流れ始める.

 

「リンダ リンダ リンダ」「カラオケ行こ!」の山下敦弘監督がメガホンをとった.

以上は《映画.COM》から転載.
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とにかく超低予算で作られた作品.冒頭の雪山遭難シーンの安ぽっさは筆舌もの.
その後逃げ込む山小屋のセットも極安チープ極まりない.登場人物もたった3人で
ギャラも安かろう.全体に漂う低価格感は印象的だ.

雪山で遭難して16年前に犯した殺人を告白した男と、彼に襲われる恐怖を
抱いた男の話.秘密を知ってしまったことで、ジヨン:ヤン・イクチュンに襲われる
のではないかという不安に駆られる浅井:生田斗真ノ視点で進行していく.
 

 

原作では日本人二人らしいが、本作告白する片方を韓国人留学生に設定
したことで、途中で韓国語でブツブツ喋られるのも、より不気味さを演出して
いて、怖さの一助になっている.

告白の内容は至ってシンプル.好きだった西田さゆり:奈緒にそでにされたジョン
が登山中に怒りにまかせて首を絞めてしまった…と.足に怪我を負って、助から
ないと思って、過去のさおりの事故は自分が殺した、と告白してしまったジヨンが
そのまま生き延びてしまい、その状況を黙認しようとした浅井との会話劇の
駆け引き1本勝負が繰り広げられる.

足を怪我して不自由なジョンと高山病で視覚がぼやけている浅井の山小屋の
中での追いかけっこがワンシチュエーションながら実に上手く脚本と演出が
練られており、終始ハラハラドキドキしてしまう.後半助けに来た救助隊を交えて
の出来事は、妄想?幻視?強迫性障害?とか思っていたら…、意外な展開が.
 

 

特筆べきは、3人目の登場人物、殺されてしまったさゆり:奈緒.
思い出シーンと首を絞められるシーンだけの登場.もちろんセリフは一切無い.
キッチュな可愛らしさで描かれてはいるが、二人の男に愛され、うとまれ、
そして殺されていく役柄.あまり上手くない役者の感があるが、この役は
ピッタリ(笑).愛され、怨まれる雰囲気が溢れている彼女の映像だった.

最後は随分急展開なのだけど、最後の最期にもう一ひねりが待ち受けていた….

グロくないけど、狂気じみたドキドキ感がちょうど良いし、短い上映時間で
満足度が高い作品.エンディングの、マキシム・ザ・ホルモン+生田斗真
の「殺意vs殺意」は最高に盛り上がる.こういう趣向は好きだし、観終わり感が
スッとして終われるのがとても好い.

74分というコンパクトさと、どんでん返しが気に入った素敵な佳作.