映画「猿の惑星 キングダム」…新たなシリーズのはじまり. | チャコティの副長日誌

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猫と映画、絵画、写真、音楽、そしてF1をこよなく愛する暇人.
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原題:Kingdom of the Planet of the Apes 製作年:2024年
製作国:アメリカ 上映時間:145分



猿モノに興味が無いと言いながらも、前リーブート3作とも劇場で観て

しまっている.第4弾の位置付けの本作、蕎麦を食べに行ったついでで

近所のシネコンで観賞.本年度累積104本目は離れる事が出来ない猿の作品.
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名作SF映画「猿の惑星」をリブートした「猿の惑星:創世記(ジェネシス)」
「猿の惑星:新世紀(ライジング)」「猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー)」
に続くシリーズ第4弾.

300年後の地球.荒廃した世界で人類は退化し、高い知能と言語を得た
猿たちが地球の新たな支配者として巨大な帝国「キングダム」を築こうと
していた.

若き猿ノアは年老いたオランウータンから、猿と人間の共存についての昔話
を聞かされる.ある日、ノアは人間の女性と出会う.その女性は野生動物の
ような人間たちの中で誰よりも賢いとされ、猿たちから狙われていた.
彼女と一緒に行動することになったノアは、本当の人間を知るうちに、
キングダムに違和感を抱き始める.

「To Leslie トゥ・レスリー」のオーウェン・ティーグが主人公ノアを演じ、ドラマ
「ウィッチャー」シリーズのフレイヤ・アーラン、「ファーゴ」のウィリアム・H・
メイシーが共演.
「メイズ・ランナー」シリーズのウェス・ボール監督がメガホンをとった.

以上は《映画.COM》から転載.
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「猿の惑星」第一作(1968年)の伝説のラスト”の衝撃は忘れられない.
チャールトン・ヘストンが馬上から見た壊れたモニュメントは“自由の女神”
であった.“猿の惑星”は地球のなれの果てであったという、如何にもSFチック
なラストシーンであった.以降4作品が前日譚、後日譚含めてリリースされた.

2001年ティム・バートン監督が単発で「猿の惑星」(2001)を制作.
物語は、宇宙を探査中だった宇宙飛行士レオが磁気嵐に巻き込まれて
猿の惑星に到着し、猿に支配されていた人間たちと共に猿の軍隊に
立ち向かうというもの.

それから10年を経て、リブート・シリーズが登場する.

「猿の惑星:創世記(ジェネシス)」(2011)
「猿の惑星」の前日譚としてリブートされたシリーズ第1弾.
現代の米サンフランシスコを舞台に、遺伝子操作で高い知能を持ち、人間
たちを支配しようと企む猿たちと、それに対抗する人間たちの戦いを描く.

「猿の惑星:新世紀(ライジング)」(2014)
舞台は前作から10年後、知性を獲得した猿たちが、地球の新たな支配者
として君臨する過程を描いた.

「猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー)」(17)
高度な知能を得た猿と人類が全面戦争に突入してから2年.
猿たちを率いるシーザーは、森の奥深くの砦に身を潜めていたが、ある晩、
人間たちの奇襲を受けて、妻と長男の命を奪われる.敵の冷酷非道な
リーダー、大佐への復讐を誓ったシーザーは、仲間たちを新しい隠れ場所
へ向かわせ、自らは3匹の仲間を連れて大佐を倒す旅に出る.

このリーブート3部作で一応の完結をみて7年が経過.そしてこの新作、
「キングダム」の登場である.冒頭はシーザーの葬式、火葬のシーンから
始まる.猿による支配の始祖、絶対的リーダーの死をもって、どうやら
猿の世界は分割、混乱の世界へ突入ししてしまったよう.

一方人類はかというと、前作の聖戦記(2017年)においてはエイプウィルスの
蔓延により人類は衰退の一途を辿り始めていた.
そして舞台はエイプ達の初代長シーザーの死から300年、何世代も過ぎ
エイプ達もシーザーすら知らない世代になり群が各地に散らばったている.

かつて都市だった地も草木が生い茂り名残が無くなりつつある中、鳥に狩りを
させて暮らしていた部族の青年猿のノア:オーウェン・ティーグが本作の主役.
そんな彼の元によそ者のエイプが襲撃し、部族がみな拐われてしまう.
 

 

部族の仲間を救う為に彼は旅に出る.そんな中、かつてのシーザーの教えを
守ろうとする神父のようなオラウータンと出逢ったり、もう言葉すら喋れない
野生化してしまった人類だが、唯一知性を残し、話すことが出来る女性メイ
とも出逢う.このメイ:フレイヤー・アーランが本作のキーパーソン.
 

 

そして、仲間を奪い、エイプを集め帝国を作ろうとするプロシキマスを追う.
プロキシマスはかつての英傑シーザーを名乗り、かつて人類が残した武器を
手に入れようと他のエイプ達を働かせていた.

このプロキシマス・シーザーが本作の敵役、ボスキャラなのだが、人間をまるで
虫を踏み潰すみたいに駆逐していくし、仲間であるはずの猿も邪魔ならば遠慮
なく冷酷さは眼を見張るものが在る.加えての“演説の達人”であり、“生まれ
ながらの支配者”の振る舞いは王者の風格をもつ.どこか誰かを連想させると
思ったら、あのクソトランプにそっくりなんだね.少なくともカリスマ性がある.
残酷さだけではなく、頭脳もなかなか優れていて…“演説”で猿の心を巧みに
扇動し、信じられないほどの団結を生むのもトランプに似ている.
 

 

そのプロキシマスシーザーが狙うのは、人類の英知の遺物が残る巨大倉庫.
それをめぐって、ノアと人間のメイが協力して闘うのが後半のストーリー.
そんな中でも、メイの倉庫機器の扱いや、電子機器の扱いを見ると、普通の
人類では無いことが如実に判る.

そしてラストシーンでは、そのメイの驚くべき行動が映し出され、本作は今後
始まる、人類と猿社会との新たな関係(共存?闘い?)を暗示させるものであった.
或る意味、1968年の「猿の惑星」のエンディングシーンに匹敵する衝撃度だ.

まごうことなく、次作は作られるのであろう.さて、何年後なのか…?