開館50周年記念展 “ベルナール・ビュフェ 偉才の行方 ”@ベルナール・ビュフェ美術館 | チャコティの副長日誌

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主役になれない人生を送るおじさんの心の日記.
猫と映画、絵画、写真、音楽、そしてF1をこよなく愛する暇人.
しばし副長の心の彷徨にお付き合いを….





ポーラ美術館から約25kmの距離、車で40分の静岡県長泉町のクレマチスの丘へ.
昨年秋からクレマチスガーデンやヴァンジ彫刻庭園美術館は閉館してしまっている.
どうやら借地権をめぐって静岡県とやり合っていたが、引き上げた模様.和食レストラン
やイタリア料理屋も撤退.残ったのは町営の井上靖文学館と、静岡銀行がバックアップ
しているこのベルナール・ビュフェ美術館だけになってしまった.
 

 

スタッフを引き取ったのか付属のレストラン「TREEHOUSE」のメニュウがやたら
豪華になったのは嬉しいのだが、人気は一段と減った印象.

——————以下は同館HPから転載———————


ベルナール・ビュフェ(1928-1999)は、黒い輪郭線とモノトーンに近い色づかいで、
1940年代後半に独自のスタイルを確立しました.彼の絵画は、見る人に驚き、不安、
ショックを与えるだけでなく、第二次世界大戦で疲弊したフランス人の心を見事に
映し出していると称賛されました.

ビュフェはピカソに比肩する逸材と評され、その人気と名声は、1950年代末に
ピークを迎えることになります.しかし1960年代になるとビュフェの評価は一変.
俗っぽい題材の選択や、時流に逆行する具象絵画へのこだわりが非難の的となり、
彼はパリの美術界から排除されていきました.

しかし1980年代になると、ビュフェの才能を称賛する声がふたたび聞こえ始めます.
彼の芸術の真価を問い直そうとする動きが出てきたのです.そして2016年、長らく
封印されていた全生涯にわたる回顧展がパリで開催されました。2020年代の今は、
まさに「ビュフェ・リバイバルの時代」となっているのです.

開館50周年を記念する本展では、1940年代から最晩年にいたるビュフェ作品を
通して、20世紀最大のフランス人画家のひとりと言われたビュフェの偉才を再考します.

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極端に少ない観客体制での観賞は至極の環境.たっぷり他人に気兼ねすることなく
作品を堪能出来るのはこの上なく喜ばしい.

今回もの凄くつまらない事だが、ベルナール・ビュフェと私が同じ誕生日であることに
気が付いた(笑). あと、本美術館はビュフェの作品を2000点も所蔵する、本国を
しのぐ屈指のビュフェ専門美術館なのだが、その所蔵数ゆえなかなかお目当ての
作品にめぐり逢うのは至難の業なのだ.

今回、久しぶりに私自身がビュフェと初めてめぐり逢った記念すべき作品が
展示されていた.懐かしさひしひしを味わった.


Bernard Buffe《ピエロの顔》1961年

今をさかのぼる30年前、自宅の近所に「カオル」という名のパティスリーが
出来た.その店の入口にデンと飾ってあったのがこの画のポスターであった.

洋菓子店にしては、インパクトありすぎ(笑). 御主人薫さんの趣味だそう.

全てを見透かすような、笑っていないピエロの顔を正面から描き切っている.
赤黒のバックには細かい引っ掻き傷、金釘流の堂々たる自著と制作年も
正面きっての表現だ.驚くと同時に惹かれた….

当時フランスから帰任したばかりの頃、恥ずかしながら在仏時はビュフェの
名前さえ知らなかった.一時は隆盛を誇った画家だが、私の在仏当時は、
閑古鳥の時期だったのだろうか.

とにかく、この時から私のビュフェ好きは始まった.静岡県に専門の美術館
ベルナール・ブュフェ美術館の存在を知ったのもそのあとすぐだ.
会社の裾野事業所の直ぐ近くであった.


この美術館も創設50周年を迎え、ビュフェの代表作を中心の展示は、その
特徴を知るにはかっこうの展覧会だ.冒頭の《ピエロの顔》が出展されたのも
ビュフェの代表作の一つであるからであろう.

以下にその代表作の幾つかを.

 

これは、デビュー間もない頃のアトリエ風景.



Bernard Buffe《アトリエ》1947年

 

 

宗教絡みも多い….



Bernard Buffe《キリストの十字架からの降架》1948年

 

 

建物を描かせたら、そのシャープさが一層際立つ.



Bernard Buffe《ニューヨーク:マンハッタン》1958年

 

動物、昆虫ものも多いのだ.



Bernard Buffe《小さいミミズク》1963年

 

 

CROWN(ピエロ)シリーズから.



Bernard Buffe《コーヒーポットを頭にのせたピエロ》1995年

 

 

何度か日本も訪れ、画を残している….



Bernard Buffe《相撲:睨み合い》1987年


最後に、ビュフェの静物画が好きな副長の選りすぐりの3作.

 


Bernard Buffe《二輪の百合》1955年


Bernard Buffe《赤い花》1964年


Bernard Buffe《青いあじさい》1971年


同展は年内開催ゆえ、もう今年は訪れないかも….
また来年だね.



[副長日誌補足]

 

全集も持っているので今回画集はパス.

代わりにまたTシャツの新作を購入.

 

 

美術系のTシャツが増えてきた.

またぞろ特集記事でも… ♪