製作年：2022年 製作国：日本 上映時間：107分
以前からレンタル屋の邦画棚にあったのだが、苦手な香取慎吾の「凪待ち」と
勘違いしていた．良く見れば全く違う作品で有ることに気付き、さっそく観てみた．
本年度累積36本目は、名子役：新津ちせ主演のユーマンドラマ．
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「駅までの道をおしえて」などの子役・新津ちせが主演を務め、瀬戸内の
小さな島で暮らす少女が周囲の人々との交流を通して成長していく姿を
つづったヒューマンドラマ．
小学4年生の凪は両親の離婚に伴い、母の故郷である山口県の小さな島に
引越してくる．普段は明るく振る舞う凪だったが、アルコール依存症の父が
母に暴力を振るう姿がトラウマになっており、時折、過呼吸を起こしてしまう．
島の人々はそんな凪の事情を知った上で、温かく接してくれる．凪が通う
小学校の同級生たちや担任教師の瑞樹、用務員の山村、漁師の浩平らも
また、それぞれ悩みを抱えながら前向きに生きていた．
それを知った凪は彼らを支えようと奔走し、少しずつ笑顔を取り戻していくが…．
共演は「劇場霊」の島崎遥香、特撮ドラマ「快盗戦隊ルパンレンジャーVS
警察戦隊パトレンジャー」の結木滉星．
監督・脚本は「夜のピクニック」の長澤雅彦。
以上は《映画.COM》からの転載．
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芦田愛菜が成人化してから以降の輝く子役と言えば、本作の新津ちせが
筆頭であろう．その容姿や演技力は申し分ないものを持っている．
その新津ちせが小学４年生の多感な少女を演ずる御当地作品．
舞台は山口県の島、ロケ地は笠戸島．本当は本土と橋で繫がっているそう．
作中では、小舟で行き来する事ととなっている．
父親のアルコール依存症が原因で両親の離婚と自身のパニック障害という
心の傷を負った少女“凪”が東京から母の故郷である山口県下松市の
小さな島に移り住み、そこで出会った級友や大人と触れ合い、彼らの真心
や苦悩を目の当たりにする中で人間として成長し、家族を再生させていく．
何か大事件が起きるわけでもなく、小さな出来事の積み重ね．悪人は一切
出てこなくて、島の人たちはみな善意でやさしく、人を想うことができる人たち
ばかりのオンパレード． 嫌がる人はいるだろうが、私はこんなドラマが好きだ．
離婚後娘を連れて故郷の島に戻り本土で看護師をしている凪の母親の
原田真央に加藤ローサ．凪の祖母で真央の母にあたる島の医師の原田佳子
に木野花．凪の父親の元アル中の医師島尾純也に徳井義実．ヒロインを囲む
脇役に不足も無駄もない．無難なキャスティングだ．
ウケ狙いに、凪が通う小学校の担任の河野瑞樹に元ＡＫＢの島崎遥香．
踊りも下手で最後には下手な？歌も披露するのは愛嬌．
唯一影のある役柄で、凪が通う小学校の用務員の山村徳男に嶋田久作．
作品全体の雰囲気は決して暗くない．瀬戸内海の海や島の住民との会話が
心を癒してくれる．主人公凪が自分自身の問題だけでなく、各々の島民の
抱えている問題に一生懸命に応援する姿が心ほのぼのとさせる．
自分だけでは生きている甲斐が無いから人を助け、人に助けてもらい、
そのことで自分の至らない点と他人の新たな魅力に気付き、心の空白を
埋めていく…島での生活の知恵がそのまま人生哲学に昇華されていくか
のような展開は心を癒してくれる．
冒頭で凪が海中にダイブするシーン、その後もことある毎に凪は海に飛び込む．
これには有る意味のメッセージが込められていると感じた．
いつの時代もあの凪の様に思い切って飛び込んで見ないとその先は分からないし、
飛び込めば危険はつきまとうけど、助けてくれる人が必ずいる．
海は人類の母として優しく包み込んでくれる．だから一歩前に勇気を振り絞って
広大で深淵な海に飛び込んでみろと、というメッセージに受け止められた．
最後には、２０代同士の教師と漁師の結婚の場に於いてアルコール依存症の
父親のやり直したいということに応じる母と子の姿が描かれる．
結論が見えても温かい気持ちで席を立つことができる作品の作り方が良い…．
エンディングチューンはkitri（キトリ） という姉妹ユニットの「透明な」という曲．
この作品の為に作られたようで、邪魔にならないピッタリの詞とメロディ．
悪く無い選曲だった．
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