映画「GOLDFISH」(DVD)…永瀬正敏のみ格好いい! | チャコティの副長日誌

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しばし副長の心の彷徨にお付き合いを….



製作年:2023年 製作国:日本 上映時間:99分


レンタル屋の新作棚に並んだ中でひときわ目を引く派手なパッケージ.
なにやらパンクバンドの物語らしい.気になって借りてきて観た.
本年度累積31本目の鑑賞.
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1978年から活動するパンクバンド「アナーキー(亜無亜危異)」のギタリスト・
藤沼伸一が、永瀬正敏を主演に迎えて撮りあげた映画監督デビュー作.

1980年代に社会現象を巻き起こしながらも、メンバーのハルが傷害事件を
起こして活動休止に追い込まれたパンクバンド「ガンズ」.30年後、リーダーで
あるアニマルの不純な動機をきっかけに、メンバーのイチが中心となって
再結成に乗り出す.

しかしリハーサルでは、バンドとしての思考や成長のズレが浮き彫りになっていく.
ためらいながらも音楽に居場所を求めて参加を決めたハルは、仲間たちの
成長に追いつけない焦りによって次第に追い詰められ、かつてのように酒と女に
溺れていく.

主人公・イチを永瀬、ハルを北村有起哉、アニマルを渋川清彦が演じる.
藤沼監督が音楽も手がけ、「宮本から君へ」などの港岳彦が脚本に参加.

以上は《映画.COM》から転載.
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1970年代後半のセックス・ピストルズやザ・クラッシュら英国発のパンク・
ムーブメントが世界中に波及し、日本のパンクシーンにおける初期の
代表的なバンドになった「アナーキー(亜無亜危異)」.

同バンドのギタリストとして、またセッションプレーヤーとして活躍する
藤沼伸一による映画監督デビュー作であり、アナーキーの歴史に緩やかに
基づくバンドの半自伝的映画.

70年代後半の音楽は、もう既にJAZZに向かっていたので、特にパンク
には興味を持たなかった.でもその爆発力とかインパクトある音楽性は
嫌いではないかも.特別「アナーキー」に興味は持たなかった.

そんな中で、本作はアナーキーをモデルにしたバンド「ガンズ」が、長い活動
休止期間を経て再結成に向けて動き出すところから映画は始まる.
活動休止の引き金になったメンバーのハルの傷害事件というのも史実に
基づいていて、1986年にアナーキーのギター担当・マリが元妻でPERSONZ
のボーカリストJILLを刺して重傷を負わせたらしい.

 

 

本作の受け止め方は、かつてのパンクシーンを懐かしく思い出せるか、また
パンクロックという音楽ジャンルが好きかどうかでずいぶん違ってくると思う.
映画の理論やテクニックに関係なく主張したいこと、伝えたいことを表現する
という、パンクの精神が間違いなくこの「GOLDFISH」にも宿っている.
藤沼伸一のパンク魂が間違いなく表現はされていると感じた.

物語の中でも、作中のバンド中でも藤沼伸一の役柄イチを演ずる永瀬正敏が
孤軍奮闘する感がある.その娘ニコ:成海花音との独特な関係も含めてだ.
アニマル役の渋川清彦は道化役に徹しているし、一方傷害事件を起こした
ハル:北村有起哉は酒と女に溺れ自滅する役柄でしかない.
 

 

「アナーキー」のファンならば想い出に浸り、感無量になるかもしれない.
ただの映画ファンの目から観ると物語としてはいまいちの感がある.
脚本をはじめ作り方が雑であり、表現が浅薄.やはり演出力の稚拙さが目立つ.
初監督なのは判るが、自身の過去にこだわりすぎた脚本の感有り.

加えて録音と音声が酷くて台詞が聞き取り辛い箇所が多かった.
補聴器で増幅してもかなり聞きづらいセリフのやり取りがあった.

永瀬正敏の奮闘ぶりや演奏姿に感心…だけが収穫だった作品.

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