群馬県桐生市の鳴神山(なるかみやま)のカッコソウが咲いたとの話をYAMAPで知り、行ってきました。
4月22日(土)、桐生市街を抜けると早朝の陽光に照らされている鳴神山(右手奥)が見えました。
自宅から車で約1時間、早朝5時20分に駒形登山口に着きましたが、左側の駐車スペース4台分は既に埋まっていました。
でも少し歩きますがこの手前にも路肩に駐車できるスペースが結構あるので、大丈夫です。
ただし登山口にトイレはありません。
5時40分、駒形登山口を出発しました。
「ようこそ鳴神山」という案内図があり、とても親切です。
カッコソウは駒形登山口からだと、鳴神山山頂を経て椚田峠(くぬぎだとうげ)下の東側斜面に移植されているようです。
「鳴神山のカッコソウ それは世界でここにしかない花」という解説パネルがあります。
カッコソウ(勝紅草)は、世界でここ鳴神山(桐生市・みどり市)のみに分布するサクラソウ科の多年草とのことです。
カッコソウは、絶滅危惧ⅠA類(ごく近い将来における野生での絶滅の危険性が極めて高いもの)の国内希少野生動植物種に指定されています。
5時59分、第一石門を通過。
「60年度川北小6年作」という道標がありました。
60年度とは、昭和60年度ということでしょう。
だとすると、これを製作した地元の当時小学6年生たちは、もう50歳頃になっているのですね。
朱色の花が鮮やかです。
雷神(なるかみ)岳神社御神水という井戸のようです
6時43分、肩の広場に着きました。
ここには、登山者連絡用ノートのある箱(左手)、「雷神山を愛する会」の休憩小屋(中央奥)がありました。
「雷神山を愛する会」は、地元のボランティアの集まりのようです。
「鳴神山」ではなく「雷神山」となっています。
鳴神山は、雷神(なるかみ)が住む山として、地元では古くから信仰の山として崇められてきました。
6時50分、鳴神山(980m)山頂に着きました。
鳴神山は、双耳峰であり、こちらのピークは桐生岳です。
山頂には、「雷神山神社」の鳥居と祠がありました。
鳴神山(桐生岳)山頂は、360度の展望が広がります。
多くの山名方向板が、名峰が見える方向を示しています。
双耳峰のもう一つのピーク、仁田山岳に半分隠れて見える赤城山。
南西には、遠く前橋市街が広がっています。
南側の奥には桐生市街、そして吾妻山から鳴神山に伸びてくる稜線が見えます。
北側は鍋足山方面に伸びる桐生アルプスと、彼方には足尾から奥日光の山々が連なっています。
ズームしてみました。
中央はどっしりした袈裟丸山(けさまるやま)、右側奥は特徴的な山容の皇海山(すかいさん)です。
日光白根山は、関東以北最高峰だけに多くの残雪で白い山肌が目立ちます。
こちらは太郎山、男体山、女峰山と続く日光ファミリーの山々です。
鳴神山(桐生岳)山頂付近には、アカヤシオが咲いていました。
春の山肌を真っ先に彩るアカヤシオの花期ピークは過ぎてしまいましたが、少しでも残った花に出会うとうれしいです。
鳴神山(桐生岳)から双耳峰のもうひとつのピーク、仁田山岳に着きました。
ミツバツツジが出迎えてくれました。
第一展望台からは何物にも遮られない赤城山が見えます。
雄大な裾野と多くの峰々を連ねる赤城山はまさに上州の名山です。
椚田峠(くぬぎだとうげ)に降りてきました。
「雷神山を愛する会」ののぼり旗があります。
峠から東側に少し下ったところにカッコソウの保護地があります。
カッコソウ保護地はフェンスで囲われ、入口は施錠されており、中に入ることができません。
少し待っていると、7時50分頃、「愛する会」の方がやってきて入口を開けてくれました。
やあ、カッコソウが咲いていました。
これは、スミレです。
杉木立の中、地面に落ちている杉の葉の下からカッコソウの茎が伸びて、いくつも花を咲かせていました。
カッコソウは、ハート形のピンクの花びらが5枚、輪になっています。
とても可愛らしい花です。
カッコソウは昔から、現在の群馬県桐生市・みどり市の狭い地域だけに生育しており、世界中でここだけにある希少な植物です。
かつては、“山一面がピンク色になった”といわれるほど、足尾山地の山々で見られたカッコソウですが、盗掘や森林伐採により、今や絶滅の危機に瀕しています。
残ったカッコソウを地元ボランティアの方々が増やして、ここに移植し保存活動に取り組まれています。
地元の方々の努力のおかげで、私たちは今、鳴神山でカッコウソウを見ることができます。
すみれって すみれって
ブルーな恋人どうしが
キスして キスして 生まれた花だと思うの・・・
作詞:万里村ゆき子、歌:岩崎宏美 「すみれ色の涙」を思い出しました。
鳴神山のカッコソウ、大変素晴らしいものを見せていただきました。
木彫りのお地蔵さんも見ています。
椚田峠に戻りましたが、まだ時間も早いので、少し北側(座間峠方面)に足を伸ばしてみました。
樹林の間から心地良い陽光が降り注ぐ尾根道を歩くのは、楽しいです。
振り返ると先ほど山頂を踏んできた鳴神山が見えました。
双耳峰といってもピークどうしの距離はごく近いので、ここからではこんな感じに見えます。
ヤシオツツジは今、盛りです。
アカヤシオはほとんど花が散ってしまいましたが、少しだけ残っていました。
ちょっとしたナイフリッジの場所もあります。
8時48分、ピークに着きました。
「コツナギ山」という手書きの山名標がありました。
ここで折り返して、下山に移りました。
見渡す限り山、また山。
これから咲きそうなツツジの赤いつぼみです。
椚田峠からの下山途中は、輝くばかりの新緑の中を歩きました。
ヒイラギソウがネットの中で保護されていました。
鹿の食害から守るためだそうです。
ヒイラギソウも日本固有種で、絶滅危惧ⅠB類に指定されています。
10時05分、駒形登山口に下山しました。
登山口に近い道路は、たくさんの登山者の車が停められていました。
カッコソウは、鳴神山に登らずとも、現在、みどり市の岩穴管理地で特別公開されています。
今年は4月末までの土日限定です。
なおクマガイソウも見られます。
この日の歩行距離 7.0 km 上り / 下り 802 / 801 m