祝!宇都宮ライトライン開業。乗って見る期待と課題① | たいちょ〜の心のつぶやき 第2章

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『縁は、連結する』鉄道など交通を中心に興味の赴くままに、日々呟き語るブログ。
※最近すっかり鉄道ルポタージュ化してますが、言いたいことを素直に言うという意味でブログタイトルは変えてません。

8月26日、待望久しかった宇都宮ライトレール「ライトライン」が遂に開業した。

幾度かの開業延期、試運転開始直後の脱線事故など困難を乗り越えて、ようやくの開業。

これまで既存路線の新線開業や移管、駅前整備による部分延伸・接続などは折々にあったものの

新会社による路面区間を含む新路線の開業は実に75年ぶりのことになった。


なお開業日はTUBEのライブの日と重なったことから、早々に回避。

とはいえ、宇都宮から横浜スタジアムに駆けつけた猛者(友人)もいてビックリもしたのだがw

ここのところの暑さもあって、流石に掛け持つ元気は無かった。(舞台と掛け持ちはしたが)


その後も沿線イベントや、特に土休日は開業特需といえる乗車増で遅延が頻発。

宇都宮駅東口では乗車にも30分〜1時間はかかる時もある…といわれていた。

また路面区間では、自動車と接触する事故も今日までに3件発生してしまっている。

実際、路線と沿線の雰囲気はいったいどうなのだろうか?

丁度沿線イベント開催告知が出ていた9月24日に動ける目処が(当日朝9時過ぎに)ついたので

意を決してライトライン初乗り方々イベントに出かけてみることにした。


新宿から湘南新宿ラインに乗り、グリーン車1階で軽くビールとつまみを煽りながら宇都宮へ。

昨年11月の展示会以来、およそ10ヶ月ぶりの宇都宮訪問となった。

これまでは呼称があちらこちらでバラけていた印象だったが、自由通路から宇都宮駅東口電停に

降りていくエスカレーターには


「ライトラインのりば」


とあり、今後これに統一を促すようだ。

かつてのゆりかもめのように、比較的シンプルで呼びやすいのが受け入れも早く進むだろう。


さて、ホームに降りてみると案の定の大混雑であった。

だが、ちょうど発車する12:24発は超がつくほどの満員ではなかった。

それでも混んでいるに違いはないので、1本落として12:36発の列車を待つと決めた。


列車は車内点検などの一環で、降車後一旦ドア閉め扱いを行っている。

他線の始終着駅にあるようなホームの乗降分離は、コストの兼ね合いか対応していない。


さて、発車4分前に折り返し12:36発の列車がゆっくり入線してきた。


多くの乗客はICカード利用で、全て開いた扉からおのおの降りてくる。

各扉にはICカードリーダーが左右それぞれに設置され、どの扉からも乗降が可能。

かたや現金払いは、降車のみ進行方向一番前、運転席すぐ後ろの扉のみ利用可能となる。


…が、この日の宇都宮駅東口電停ではホーム案内を行う社員が箱を持っていて、この箱の中にも

現金を入れるように繰り返し案内をしている様子が見られた。

都電荒川線や広島電鉄のような可搬式運賃箱を導入してはという意見も見られるが、混雑時のみ

稼働では新規路線には負担が掛かり気味で、かつIC利用を推奨している現状では、これくらいの

対応にとどめておくことが妥当なのだろう。


現に、新たに発行を開始したICカード「totra」の発行枚数は順調に増加しており…

Suica・PASMOなど既存の交通系ICカードの共通利用にももちろん対応している。

なおこちらは既に、普段から利用しているSuicaに事前に追加チャージしておいた。


さて、列車は順調に…と言いたいところだが、宇都宮駅東口電停を1分延の12:37に発車。

現状まだまだ多い現金利用の対応と、一旦ドア開閉を経ての乗客迎え入れに4分は少ない。

それでもまだこの時は、この程度で済んだ…という感じだったが。


さらに東宿郷電停の手前で、列車はいきなり長笛を吹鳴しヒヤッとさせる。

何より、まだまだ付近を走る車の不慣れが気掛かりである。

既に接触事故が3件発生しているが、いずれも探ってみれば車の過失が明らかであろう。

少なからず自動車教習所でも習っているはずだし、免許更新の際には講習で重点的に復習する等

周知徹底、理解推進の必要性を感じているのは自分だけではなかろう。


運転台はこれまでのLRTと同仕様であるが、カメラモニタが6画面もあり、より多角的に監視が

可能となっていて、ワンマン運転を行うにあたり苦労も垣間見える。


そして、やはり現金利用が遅延の大きな原因を作ってしまっている実情がハッキリ見えた。

2分遅れとなった峰電停から先で少しずつ遅れが広がり始め…

宇都宮大学陽東キャンパス(ベルモール前)電停では、遂に7分延までになってしまった。

ライトラインの売りとされてきた「時間に正確」に関しては、特に定期外利用客が急増している

土休日については達成されていないのが現状となってしまっている。


さらには、運賃箱の前に立ち客が陣取って退かず運賃を支払えない状況も折々に見られた。

確かに大変な混雑の中で走り始めてはいたが、だからといって塞ぎ続けて良いわけではない。

こうした事例には、マナーアップの注意喚起の徹底が今後重要となってくるであろう。


…さて、宇都宮大学陽東キャンパス(ベルモール前)電停では、かなりの乗客が下車した。

ベルモールとは、イトーヨーカドーや映画館などを擁する大型ショッピングモール。

これまで車やバスの利用が多かっただろうが、開業特需もあって相当数ライトラインを利用して

ベルモールを訪れているようで、また運賃も大人150円と安価なのも影響しているだろうか。


そしてベルモール以外に、周辺も気になるスポットがあちらこちらに。

機会があれば、そのような寄り道も多分に盛り込んで訪ね歩いてみたいものだ。


…そしてここから、ライトラインは専用軌道の高架線に滑り込んでいく。

このあたりが、既存路線とは違う目新しいポイントになる。


思いの外起伏と、専用軌道でも曲線が多く飽きの来ない線形。

だが現状では、併用軌道・専用軌道とも暫定的に最高速度が40km/hに制限されている。

このあたりの速度の乗り切らないモヤモヤが、乗車感想の形成に少なからず影響することに。


専用軌道内も通常のバラスト敷きがあったり、併用軌道のように舗装されていたり。

道路渋滞時に、緊急車両の走路としても想定されていたりするのだろうか?

そんなことを考えていると、運行上の中核の一つとなる平石電停に到着した。


平石電停は、将来的に運行を想定している快速との緩急接続を予定し2面4線の大型電停に。

路面電車として、緩急接続を目論んだこのスタイルの電停は国内初設置となった。

かつて運行されていた京阪京津線の準急や名鉄揖斐線の急行は、緩急接続は無かったからね。


ここあたりはすっかり郊外線の様相を呈し、平石中央小学校前電停へ。

7分延は変化が無いが、乗降は概ね順調に推移していく。


それだけに、速度が40km/hで頭打ちになってしまうのは実にもどかしい。


長さ643mをも誇る鬼怒川橋梁を渡る。

線形もこの辺りは直線であり、この専用軌道を70km/hほどで走れたらどれ程気持ち良いか!

積み重なってしまった遅延時間も、それなりに詰められるに違いない。

併用軌道も車側は多くが50km/h規制だろうし、速さに後塵を排している感は否めない。

車両のスペックも問題は無さそうだし、快速が走り始めたらまた変化するのだろうか?

そんなことを考えながら、ライトラインはさらに東へ向けてひた走る。