10月28,29日。福岡県で「全国お茶まつり」が開催された。

 日本一の話は、先だって掲載したところだが、実は、私の管内である世知原茶業から、本年、我が県で14年ぶりに製茶品評会で日本一の栄誉に輝いた茶業農家がいる。当日は、その表彰式も開催された。

 今回、紹介したいことは、その表彰式後のことである。

 その夜、世知原茶業部会20数名の大会参加者が慰労会を行った。これまでにも、熱い気持ちについて、私なりの考えを掲載してきたが、気持ちの高まり方では過去に類を見ない大波が到来した。それは、「来年は、みんなで入賞し、産地賞を受賞しよう!」という目標が生まれたことである。

 これまでにも、幾度かそういう目標を掲げてきた。しかし、私たち関係機関からの発案や願いでもあった。

 今回は、違う。地域の仲間で出品者を支え、町内の各地域ごとに表彰台に上がれる人達を輩出しようという、(製茶品評会に出品できない)生葉生産農家の発案である。そして、「(次期開催地である静岡県に)みんなで行こう!」と。

 思わず、拳を握りしめていた。うかつにも、焼酎を飲むことを忘れてしまった。最後には、皆で拳を振り上げた。アルコールではなく、アドレナリンに酔った、清々しい夜だった。

 来年に向けて頑張ろう、みんな! 

大臣賞受賞

 平成11年に植栽して以来、6年が経過した平戸市田平町のお茶園。現在も、栽培面積はモデル園として当初に植栽した1.4haのままだが、いよいよ、幼木期間を終え、成木園と呼べる年数に達した。

 要した年数は、茶園だけではない。管理のイロハから学んできた農家は、今や動力付きバリカン刃といった機械を用いて、摘採から整枝、せん枝といった作業の技術を習得してきた。

 しかし、ここまでの道程は、苦難の連続であった。技術者としては、僅かな面積であれ、如何にシロウトが新規に茶業を始めることが困難なのかを思い知る数年間であった。農家は、それ以上の苦悩を味わったと思う。

 10月26日。秋整枝という本年最後の管理作業を行い、整枝面から現れた来年一番茶の親葉が、旧産地のそれと同じものであることを見た時に、本当の田平の茶業が、この瞬間に始まったと感じた。

 普及員として、この茶園をどのように地域に拡げていくか。まだまだ諦めるつもりは無い。

田平茶秋整枝

 9月26日から2日間、県茶業技術者協議会という組織で鹿児島県知覧町、頴娃町等へ視察研修に行った。視察研修は、道中がキツかったりするが、得るモノは多い。今回は、組織の名のとおり、技術を学んできた。

 それと同時に、熱い情熱を学んだことを紹介する。

 鹿児島県は、全国で第2位の緑茶の生産地である。大型の機械でお茶を摘み取る作業は、テレビでもよく紹介されるが、近代的な茶業経営においては全国で最先端を走っている。だからこそ、学ぶことも多い。

 さて、熱い情熱とは、その技術で最先端を走る産地を指導する担当者のみなさんのことである。今回は、残念ながら生産者の方々と接する機会は非常に少なかった。故に、担当者の方々に限った話になる。

 私たちの視察を対応した担当者の方々は、産地を我がモノのように語られた。それも、話し出したらキリがないほど。とある工場の入り口に貼ってあった横幕にはこう記されていた「君なら取れる日本一」。

 産地に関わる担当者として、似たような立場にある私だが、今まで「日本一」を考えたことがあっただろうか。農家に熱く語ってきただろうか。今回出会った担当者と接する生産者の方々は、きっと担当者の熱意にほだされて、もっと熱く燃え上がっているのだろうと思った。だからこそ、最先端を走れるのだとも。

 担当者の1人は、こう語った「製茶品評会で日本一になるために必要なもの、それは意気込みだ」と。

 当日の鹿児島県は、32℃の真夏日。だけど、私の額に流れた汗は、気温のせいだけではなかった。

 鹿児島県視察

 

 9月15日、朝8時30分から世知原茶業部会という生産部会は勉強会を開始し、夕方5時30分まで町中の茶園(お茶畑)を皆で巡回し、「どうしたら来年良い新茶が収穫できるようになるか」を検討した。

 世知原茶業部会は、10年ほど前まで200名を越す大きな生産者の組織だった。しかし、高齢化の波は深刻で、農家の意欲は徐々に衰え、現在は109名という煩悩の数より1つ多く、渋谷あたりにありそうなビルの名前の数しか残っていない。

 当日は、数少ない若手農家がベテランから「どこに目をつけているんだ!」と管理の不手際について激を飛ばされていた。当然、怒られた若手農家はシュンとなるのだが、それを見ていた僕たち担当者は、妙に嬉しくなった。そうだ、人数は減った、そして、年も取っている、だけど情熱は失くしていないのだ。

 僕たちが共に戦っている世知原茶業部会は、オッサンだらけだが、僕はとても好きなのだ。

日が暮れるまで茶園巡回