白飯。 | 「これはペンですか?」「いいえ、これは丸山正吾のブログです」
ブログを書こうそうしよう。

今日は主演について。

今回のドガドガプラス『金色夜叉ゴールデンデビルVSフランケンシュタイン』
中瀬古健ちゃんが主役です。

ドガドガプラスでは、あれ?何年間くらいだろう?
ほとんど、丸山が主役、もしくは女性主役の相手をやってきました。

たしか五、六年前くらいのたけくらべ(初演)からだったと思います。
ドガドガプラス演出家である、望月六郎さんが
『お前は二枚目ってガラじゃないし、主役ができるとも思えないんだけど、他にできる奴がいないからお前にやらせる!!』と僕を"本牧助六"という、ドガドガ史上最高の男役に据えました。


いや!!そもそも僕だって主役なんかやりたかないっすよ!!子供の頃からバイキンマン、ゼットン、フリーザ、サウザーみたいな悪役が好きで、脇役やりたくて俳優やってんすよ!こちとら!!と思いましたが、まぁいいか、やりましょ!と引き受けました。

脚本があがってくると、この本牧助六という役、歌舞伎の助六の役に取り憑かれた従軍慰問団の役者というたまらない役です。


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普段はうだつの上がらない慰問団座長である"六助"が隈取化粧をすると、粋でいなせで喧嘩っぱやい、兎にも角にも女にモテる、硬派で純情、本牧一の助平、本牧助六に変身します。
映画『マスク』の望月六郎版みたいな感じです。

膨大な台詞に荒事、色事、歌舞伎の所作、熱量、確かにとんでもなく難しい役です。


毎公演廃人になりながら、ゲボ吐きそうになりながらなんとか終演。

あー、これで主役とおさらばできるぜ!次からはまたへんてこな役をやるぞー!

と思っていたら、お客さんの反応が変な感じ。

やたら声をかけられるし、とにかく『看板』と言われる。

批評サイトで名指しで僕をボロカスに言っていた人が突然『ファンになった』と、言ってくれました。

極めつけは、知らないおじさんに『私的なことで色々なことを諦めかけていたが、君の演技がすごく気持ちよくて、元気が出た、涙が出た、痺れた、こういう役者こそ売れてほしい』と言われました。

(ねじリズムの石川さんも、この助六を観て『気持ちよかった!!』と、僕をねじリズムに誘ってくれました)

あー、なんか、恥ずかしい内容になってきました。
でも、書いちゃったから続けます。


言い訳すると、本牧助六の評価の8割は役が持ってる力だと思ってるので、たぶん誰がやっても評価される役だと思います。それくらい素敵な伊達男です。

とにかく、『俺がこけてたら作品終わってたのか』と、どんな理屈でそう思ったか忘れましたが、何故かそのとき初めて"主役"というものの重さを実感しました。


主役ってのは、楽しいって気持ちより怖いって気持ちのほうが多いです、ほとんどの場合。
まず共演者全員を納得させて、演出家を納得させて、最後に一番厳しい"お客さん"を納得させなきゃいけません。

『なんであいつが主役?〇〇がやったほうが良かったんじゃない?』

なんて言われたらもうね、絶望の極みです。

しんどいことはすぐ忘れちゃうので覚えてませんが、何度か味わったことがある気がします、絶望の極み。笑


それからも、望月さんは僕にガンガン主役をやらせます。

正直言うと『主役なんかやりたかねぇなー!!楽しい役がやりてぇ!!』と思った時期もありましたが、よく考えるとドガドガは主役といっても、狼男に変身するロミオとか、ナイフ投げの的になる春琴抄のサスケとか、特殊な主役なので楽しいんですよね。


話がそれました。

どこからそれたのかもはや分かりませんが、とにかくですね、何年かやってく中で、素敵な主役とはなんぞや?と何度も思案しました。



まぁ結果わからないんですけどね。



とりあえず今は『お客さんが喜べばいい』と思ってます。

主役ってのは、一番お客さんを喜ばせる機会の多い役。という認識です。

喜ばせるってのは、共感してもらったり、ダメなやつだなぁと思って笑ってもらったり、かわいそうだと同情してもらったり、なんていうか心を動かす回数が多いというか。
こういう芝居がしたい!とか、美学的なものより、いかにお客さんが物語にスムーズに入っていけるかみたいな。

あと、作品を背負う。皆に助けて貰いながら、でもガッツリ背負う。つまらなかったと言う人が誰もいないよう努力する。魂を削る、体力を削る、気力も削る、って、ん?これはどんな役でもそうか。


あ、白飯だ!!
白飯です!主役は白飯!!

しろめし!!

あー、すっきりした。

当たり前に食卓に並ぶけど、これがダメだとごはんタイムが台無しになっちゃうやつ!!

とっても美味しいおかず(脇役)があっても、白飯(主役)がベッチャべチャの半生だったらダメですよね?

おかずとのバランスも大切ですし、白飯だけでも3杯いけるくらいのコシヒカリ的なアレだったら、おかずと一緒に食べたらもっと美味しい!!

素敵な食事になるぞ!!

しーろーめーしー!!

演劇は食事です。

おかずだけ美味くても、白飯だけ美味くてもダメ!



前置きがものっそい長くなりましたが、そんなこんなで今回の主役は中瀬古健ちゃんなのですが、健ちゃんは、小さな役をやっていたときから常に『かっこいい』『美しい』『健ちゃんいつか主役をやってほしい』とお客様から期待されてきた人です。
ネットなんかでも『ついに中瀬古くんが主役』なんて言葉が飛び交っています。

本人は謙遜しまくりのおっとりした人物なので
『僕なんか恐れ多くて主役できませんよ』
と言い続けていましたが、そうは問屋が卸しません。


そしてね、お客様よりも、誰よりもたぶん僕が一番彼の主役を望んでいました。

なぜかというと、個人的な考えで異論は認めまくりますが、一つの劇団に主役ができる俳優が何人もいたほうが、作品が豊かになるじゃないか。と思っているからです。

僕が色々できればいいんですが、やはり苦手なジャンルの役も多々ありまして、お客さんからも『今ひとつ』と言われることもありますからね。

白飯が今ひとつではいかんのです。

同じ質の俳優がいっぱいいても仕方ないですが、健ちゃんには、僕が絶対真似出来ない色々な面があって、今回の金色夜叉の役なんかは正にそれです。

そんでもって、健ちゃんはタッパがあって見目麗しくて、歌もダンスも絶品!これほどドガドガにハマる俳優が他にいるものか!!

更には望月さんへの愛情?というか師弟関係みたいなものも強くてそれがとっても良いんです、なんかいいんです。

前回のロミジュリの、猿轡噛蔵を演じた健ちゃんは完全にスターでした、身内から観てももうね、本当にかっこよかった!!
十手で暖簾をかき分け登場し『俺は二枚目すぎる』みたいな歌を歌うのですが、誰一人その歌を歌う健ちゃんに疑問を持ちませんでした。

もうほんと、スターすぎた。

ありゃ惚れる。

僕も出番直前、必ずあのシーン観てたなぁ。。



そしてようやく今回です。

ようやくドガドガに二枚目主役が現れましたぜ!!
僕は本当に嬉しい!!

常に腐らず、どんな小さい役でも一生懸命、真摯に取り組んできた健ちゃんをかれこれ6年くらい見てますからね、兄的な気持ちですよ。もはや。
劇団員ではないけどね、完全に身内です。


人格も素晴らしいですしね。健ちゃんは誰よりも優しくて真面目で努力家です。
怒ってるの見たことないや。

応援して損のない男(女?)です☆

今回、健ちゃんが主役になることで、ドガドガの新たな方向性が見えました。


健ちゃんは本当に良い白飯だと思います。
コシヒカリになれるくらいのポテンシャルを持ってる!
脱穀は終わった!炊飯も終わった!!食卓にも乗った!!
僕も美味しいおかずになれるように千秋楽まで頑張るよ!!がんばる!!




いやぁ、今日は書き散らしたなぁ。。書いた書いた。

明日も書けるといいなぁ。