もちろん欲しくもないが………。
只、義母も亡くなった今頃、私達にわざわざ介護ノートを見せるのかも謎なのだが、
明日返すのか、明後日返すのか、と拘ったのも不思議だった。
主人が、義姉が来た翌日か翌々日かの仕事帰りに、
義姉宅のポストに返すと約束していたので、
私はポストに入れられる薄い紙袋にノートを入れ、
仕事帰りに届けらるよう主人の仕事場に準備しておいた。
主人が義姉宅に返却すると約束した日、帰宅した主人に「返してきたん?」と尋ねると
「いや、行ってない」と主人。
私はそれはダメなんじゃないかと言ってみたが、
「いや、別に急がへんやろ」と主人。
いや、どう考えても急がないだろうことを、義姉はメッチャ急いでたのだが……。
そこは主人と義姉は実の姉弟……私はそれ以上何も言わなかった。
確かに義母も亡くなった今、介護している時につけていた介護ノートが、
そうそうなくても困らないだろうと軽く考えいたことも事実だ。
また義姉に嫌みのネタを与えてしまったな……くらいにしか考えていなかった。
ところが……
ピンポーン🎵
私達家族が夕食の食卓を囲んでいる時、インターホンが鳴った。
私は「まさか…」という気持ちも起こらず「誰かな〜」とモニターを覗いてみたら、
そこには義姉が❗
私「パパ、お義姉さんよ!!」
主人「えーーっ!!」
何と言っても、義姉がわが家を訪れることなど、ほぼ20年ぶりなのだ。
「もうっ!」と言いながら主人がインターホンを受けた。
義姉「○○ですっ!」
わが家はダイニングが2階、玄関が1階なので、主人が玄関を開け義姉の対応するのを
私と子どもは階段の上から窺っていた。
「貴方ねっ!今日持って来ると言ったのに来ないから貰いに来ました!」と義姉。
確かに約束を破った主人が一番悪いが、何故一先ず電話の対応ではダメのか。
義姉がインターホンを鳴らして私がモニターを見た時には、
義姉はジロジロとわが家を見上げ、覗き込み、観察しているように見えた。
実はわが家はこの時、新築したばかりの家に住んでいた。
以前の記事に詳しく載せたが、この時より1年余り前に、わが家は貰い火で、家が全/焼した。
それで、やむ無く新築となった訳だ。
家が全/焼するということは、
私達家族にとって相当大きな、今まで経験したことのない辛い出来事だった。
しかし、今まで経験したことのない人の温かさに触れる出来事でもあった。
逆の立場なら、自分は絶対に出来なかっただろうと思う人様の温かさに触れた。
自分の器の小ささと、他人(自分以外の人)の器の大きさを痛感した出来事であった。
特に人と親密になることの苦手な主人は、この時にとても変わった。
しかし、義姉兄弟だけはある意味、期待を裏切らない対応だった。
主人と付き合いのある義姉の長男は、この火/災の直後にこのことを知っていたのだが、
義姉兄弟からは何の音沙汰もなく、店にお見舞いに訪れたのは4ヶ月後だった。
その時、私は店に居なかったのだが、義兄の第一声は「何で連絡してこえへんねん♪」と、
主人を責めるものだったと、後から主人が呆れていた。
私達夫婦の顔を見るなり涙を流してくれた友人知人と、何と違うのだろうか。
極めつけに私は義姉から「貴女、私達がお見舞い渡したこと聞いてはる?
別に家(新築の)呼んでくれとは言わないけどね、
貴女からお礼の言葉がないから様子も聞けないしね、何か言ってくるかと思っていたわ」
と言われ、義姉にはその場で非礼を詫び、義兄弟にはお詫びの葉書を書いたことがあった。
家が全/焼するということは、悲しみに浸る間もなく、
やらなければならない役所の手続きなどが山積し、
自分では冷静なつもりであったが、恐らく人様に対して非礼の連続であったと思う。
しかし、お見舞いのお礼を言ってこないと責められたのは義姉だけだった。
そして、義姉にとっては私達を4ヶ月放置したことは何でもないことなのだ。
例えば「息子が知っていたのにあの子が何にも言ってこないから遅くなって……」などの
言い訳さえない。
それを言うと自分と息子の関係性が非常識なことが分かってしまうから。
例えば、息子から聞いていたのに自分が、或いは義姉兄弟で放置していたのなら、
自分達が非常識なことが分かってしまうから。
自分が非常識なことはなかったことに、或いは正当化して、
気に入らない相手を非常識と、責めるのが義姉だ。
火/災から4ヶ月後にお見舞い金を受け取り、そこからほぼ1年後に新しい家が出来た。
別に新築祝いを戴いた訳でもない。
そして私達夫婦は未熟者だが、ほとんど付き合いもない義姉兄弟に
新築した家を見せたくなるほどに病んではいないのだ。
なので、義姉から「……(新築した)家に呼んでとは言わないけど……」などと嫌みを言われても
家に招待しない。
と、物凄く話しが横道に逸れてしまったが、義姉がわが家をジロジロ見ていたのは
そんな伏線があったのだ。
主人は介護ノートを仕事場である店に置きっぱなしにしてきたので、家にさえなかった。
そして、夕食時に飲酒していたので、車を運転することは出来ない。
そこで奇妙なことに、主人は義姉の車に載せてもらって店まで行くことになった。
10分ほどかかる店まで二人で出掛けて行ったのだ。
私と子ども達が二階から眺めていると、大きなベンツが去って行った。
そこは実の姉弟、狭い車内で打ち解け合えた……などということには
もちろんならなかったのだ。