先日、CAT支援システムを通して和文電信でラグチューをしていたのですが、その際、お相手頂いていたJF0RRHさんにYoutubeにそのときの動画をアップして頂きました。
ところがその動画を見て愕然! 自分が送信しているはずの符号に聞こえていないところがあるのです。具体的には、「イ」が「ム」になっていたり、「”(濁点)」が「ヘ」になっていたりするのです。つまり、先頭の短点が消える場面があるんですね。
これじゃあ暗記受信は無理ですよねぇ。ただ、自分でモニターしている限りそのような符号は出していないはず。ってことは、なんか電気系のどこかで鈍ったところがある?
ということで、まずは回路を見直し、そののち、ソフト系を見直そうということにしたわけです。
で、回路ですが、こういうのはメーカーのリグがどうなっているのかってところから見直す必要がありますので、これを調べてみました。
調べ方ですが、ヨーロッパで各種リグの資料を配布しているサイトがありますので、そこからサービスマニュアルをダウンロードして、キー入力部の回路図を抽出してやろうっていうようにしました。
なお、回路図の上ではパスコンがパラレルについているところなど、「電気的に意味あるか?」ってところがありますが、そういうところでは基板を跨いでつながっていたりするので、そういう部分では点線で信号線が基板を跨いでいることが分かるように表記してあります。
結局キー入力回路って、
(1) 高周波の回り込みをできるだけ遮断すること、
(2) 高周波の回り込み対策のためにパラレルにいれるべきコンデンサの放電をどの程度まで速められるのか?
という相反する目的をどういうバランスで達成するかに尽きると思うのですが、調べた回路では、それぞれメーカのエンジニアの思想がまる分かりするので、面白いところであります。
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A社のリグ
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では、まずA社のV/U機から。

このリグでは、電鍵端子直後にはパラレルに高周波用のパスコンが入っていません。代わりにフェライトビーズ(以下、「FB」と書きます。)が入れられているようです。また、この信号線は、47kΩでプルアップされている一方、放電時(つまり、キーダウン時)には、1kΩを通して、CPU側に付けられた100pFのパスコンからの放電を行うようになっていました。まぁ、100pFとはいえ、このリグが扱う最低周波数(144MHz)でのリアクタンスは、11Ω。1kΩがシリーズに入るんで、回り込み対策にはなっているんですかね。FBを初段に配置しているのは、この会社のものだけですね。(後述するB社のものにもFBは挿入されていますが、初段ではないです。)
・-・-・・
次に同じA社のHFの普及機です。

このリグでは、FBを介しているものの、パスコンは0.01μFと結構大きめのものがはいっています。送信できる最低周波数は1.8MHzなので、このリアクタンスは、8Ω。お?V/U機とコンパラオーダ。このあたりに落ち着くようにする設計指針なんでしょうか。
ただ・・・あれれ?電鍵グランドに0Ω。なんかあったときに、ここで電流制限しようっていう魂胆だったのかもしれません。設計者が悩んだところだったんじゃないかと思ったり、思わなかったり。^^;
・-・-・・
次に同じA社のHFの高級機です。但し、フラグシップモデルではない方です。

FBを多用していますね。あと、パスコンは0.01μFと普及機と同じ大きさのものが使われています。瞬間電流を抑えようということだと思うのですが、コイルがシリーズに入っていて、電流制限をしているようです。流石上級機ですね。結構コダワリを感じます。でも・・・えーっと、もしかして、キーイングエッジで、ヒゲのような160kHzの信号が数波出ちゃうかな? ^^;
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B社のリグ
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次はB社(中級)HF機です。

こちらは電鍵にパラレルにパスコンを挿入するタイプ。ですから、コンデンサに充電された電荷は電鍵押下時に一気に流れ出すタイプです。FBも入っていません。ただ、そのパスコンは、0.001μF。言い換えれば1000pFです。ん~、この値をどう評価するかなんですけど、とりあえず、HFですので、最低送信周波数は1.8MHz。そのときのリアクタンスは、88Ω。まぁ、そのあとに半導体内に流れ込むためには、10kΩを介するので、それに比べれば極小ということになるのかもしれません。加えて、CPU入力前になんか、シュミットトリガで一旦受けるようになっています。これでごみ処理をしようという考え方なんでしょうね。あと電鍵接続端直後のパスコンも.01μFにしたかったけど、いきなり電鍵でショートさせるのには気が引ける・・・だから0.001μFっていう感じにしたのかなぁと思ったり、思わなかったり。^^;
・-・-・・
では、同じ会社のフラグシップモデルではどうか?

これは普及機とは全然違いますねぇ。いやぁ、きめ細かい配慮がされた回路ですよね。基板を跨いでキーの信号線が配線されるからというのもあるとは思いますが、シュミットトリガで一旦受けることはするものの、LPFが一段追加されたような感じになっています。そして電鍵に近い方のLPFは0.01μFとちょっと大きめのコンデンサではあるものの、このパスコンを巡って、電鍵でショートさせるときには100Ωの抵抗を噛んでいて、電鍵を保護しようという配慮が見られます。立ち上がりを速めるべくプルアップ抵抗は2.2kΩと比較的低抵抗が入れられています。結構短い時定数となっていますね。
・-・-・・
最後にB社の廉価版モデルを見てみます。

ん~、極めてシンプルですよね。やはり廉価版ということで部品点数を抑えているのでしょう。フラグシップモデルとは異なり、コンデンサは1000pF、CPUに入力するところで1kΩの抵抗をシリーズに噛ましているだけで、シュミットトリガも噛ませていません。この回路図にだけCPU名を記しておきましたが、これはあとでCPUのマニュアルを引きやすくするためです。で、このCPUはルネサスのCPUで、ハードウエアマニュアルを見ると、プログラムによってCPU内部にプルアップ抵抗を接続することができるようになっています。当然ですが、この機能を使っているものと思われます。一番シンプルではあるのですが、電鍵を接続するなら短めの配線で、多少長く引き回すならシールド線を使った配線で、若しくはパッチンコアなどを多用するなどして、配線ホット側に余計な回り込みが起きないように注意した方がよいかもしれません。
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C社のリグ
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次はC社のリグです。C社は最近HFのリグの発表が少ないので、ちょっと古いリグのものも含めてみてみます。
まずは、UHFのモービル機です。モービル機といっても、精力的なリグで、オールモード対応になっています。

上の回路図には表していませんが、このCW用電鍵は差込口に妙な工夫がされていて、受け側ジャックはステレオタイプのものが使われています。そして、グランドに近い側のホット端子とグランドとがショートすることによって電鍵が接続されたものと認識するようになっています。ですから、電鍵を接続するためのプラグは、ステレオプラグではなく、モノラルのプラグを使う必要があります。どうしてもステレオプラグを使うなら、グランドに近い側のホット端子とグランドとをショートさせてやる必要があります。
バリバリのアナログ回路ですよね。初段に抵抗内蔵型のトランジスタを使ってるので・・・深追いは止めときます。^^;
・-・-・・
次もC社の製品で、概ね42年程前のオールソリッドステートのコンパクトHF機です。

こちらもアナログ機ですが、割と可愛い回路です。でも、電鍵に直接パスコンを入れるわけではなく、220Ωの抵抗をシリーズに介した回路になっています。ただ、入力の能動部品はトランジスタなので、ほぼ時定数がそのまま遅れ時間になるデジタル系とは異なり、プルアップ抵抗の一端がトランジスタがONとなる閾値のベース電圧より下がると送信状態になりますよね。まぁ、でもそんな感じでした。
・-・-・・
最後もC社のリグで、分類的には高級機ですが、フラグシップモデルではない方です。

これにはちょっと驚きですが、電鍵入力回路を巡って、ホット側・グランド側の双方にコイルが実装されています。信号線には都合3つのコンデンサが使われていて、基板間・外部入力部ともに高周波を落とそうという心意気を感じました。
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言いたかったこと
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ここまで9つのリグの電鍵入力回路を見てきましたが、とにかく言えるのは、各社ともこの端子には電鍵が直につながることを想定していることです。たとえば、あるリグでは47kΩでプルアップしているのに対し、別のリグでは2.2kΩでプルアップしていたりします。その差、20倍。このため、この端子に自作のエレキーなどを接続するときに、安易にデカい値のパスコンを入れちゃうと痛い目を見るよ! ということなのでした。
でも、これって常識でしたかね? 自分はノリだけで、部品箱のなかから手に当たったコンデンサをパスコンとして取り付けるということをやってたもんですから。^^;
(注)各回路図はサービスマニュアルから手と目を使って読み取ったものですので、誤りがあるかもしれません。というか誤りがあると思います。あまり記事の細部を信じないようにお願いします。これらの回路図を使って生じた不都合について、私は責任は負いません。
ところがその動画を見て愕然! 自分が送信しているはずの符号に聞こえていないところがあるのです。具体的には、「イ」が「ム」になっていたり、「”(濁点)」が「ヘ」になっていたりするのです。つまり、先頭の短点が消える場面があるんですね。
これじゃあ暗記受信は無理ですよねぇ。ただ、自分でモニターしている限りそのような符号は出していないはず。ってことは、なんか電気系のどこかで鈍ったところがある?
ということで、まずは回路を見直し、そののち、ソフト系を見直そうということにしたわけです。
で、回路ですが、こういうのはメーカーのリグがどうなっているのかってところから見直す必要がありますので、これを調べてみました。
調べ方ですが、ヨーロッパで各種リグの資料を配布しているサイトがありますので、そこからサービスマニュアルをダウンロードして、キー入力部の回路図を抽出してやろうっていうようにしました。
なお、回路図の上ではパスコンがパラレルについているところなど、「電気的に意味あるか?」ってところがありますが、そういうところでは基板を跨いでつながっていたりするので、そういう部分では点線で信号線が基板を跨いでいることが分かるように表記してあります。
結局キー入力回路って、
(1) 高周波の回り込みをできるだけ遮断すること、
(2) 高周波の回り込み対策のためにパラレルにいれるべきコンデンサの放電をどの程度まで速められるのか?
という相反する目的をどういうバランスで達成するかに尽きると思うのですが、調べた回路では、それぞれメーカのエンジニアの思想がまる分かりするので、面白いところであります。
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A社のリグ
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では、まずA社のV/U機から。

このリグでは、電鍵端子直後にはパラレルに高周波用のパスコンが入っていません。代わりにフェライトビーズ(以下、「FB」と書きます。)が入れられているようです。また、この信号線は、47kΩでプルアップされている一方、放電時(つまり、キーダウン時)には、1kΩを通して、CPU側に付けられた100pFのパスコンからの放電を行うようになっていました。まぁ、100pFとはいえ、このリグが扱う最低周波数(144MHz)でのリアクタンスは、11Ω。1kΩがシリーズに入るんで、回り込み対策にはなっているんですかね。FBを初段に配置しているのは、この会社のものだけですね。(後述するB社のものにもFBは挿入されていますが、初段ではないです。)
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次に同じA社のHFの普及機です。

このリグでは、FBを介しているものの、パスコンは0.01μFと結構大きめのものがはいっています。送信できる最低周波数は1.8MHzなので、このリアクタンスは、8Ω。お?V/U機とコンパラオーダ。このあたりに落ち着くようにする設計指針なんでしょうか。
ただ・・・あれれ?電鍵グランドに0Ω。なんかあったときに、ここで電流制限しようっていう魂胆だったのかもしれません。設計者が悩んだところだったんじゃないかと思ったり、思わなかったり。^^;
・-・-・・
次に同じA社のHFの高級機です。但し、フラグシップモデルではない方です。

FBを多用していますね。あと、パスコンは0.01μFと普及機と同じ大きさのものが使われています。瞬間電流を抑えようということだと思うのですが、コイルがシリーズに入っていて、電流制限をしているようです。流石上級機ですね。結構コダワリを感じます。でも・・・えーっと、もしかして、キーイングエッジで、ヒゲのような160kHzの信号が数波出ちゃうかな? ^^;
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B社のリグ
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次はB社(中級)HF機です。

こちらは電鍵にパラレルにパスコンを挿入するタイプ。ですから、コンデンサに充電された電荷は電鍵押下時に一気に流れ出すタイプです。FBも入っていません。ただ、そのパスコンは、0.001μF。言い換えれば1000pFです。ん~、この値をどう評価するかなんですけど、とりあえず、HFですので、最低送信周波数は1.8MHz。そのときのリアクタンスは、88Ω。まぁ、そのあとに半導体内に流れ込むためには、10kΩを介するので、それに比べれば極小ということになるのかもしれません。加えて、CPU入力前になんか、シュミットトリガで一旦受けるようになっています。これでごみ処理をしようという考え方なんでしょうね。あと電鍵接続端直後のパスコンも.01μFにしたかったけど、いきなり電鍵でショートさせるのには気が引ける・・・だから0.001μFっていう感じにしたのかなぁと思ったり、思わなかったり。^^;
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では、同じ会社のフラグシップモデルではどうか?

これは普及機とは全然違いますねぇ。いやぁ、きめ細かい配慮がされた回路ですよね。基板を跨いでキーの信号線が配線されるからというのもあるとは思いますが、シュミットトリガで一旦受けることはするものの、LPFが一段追加されたような感じになっています。そして電鍵に近い方のLPFは0.01μFとちょっと大きめのコンデンサではあるものの、このパスコンを巡って、電鍵でショートさせるときには100Ωの抵抗を噛んでいて、電鍵を保護しようという配慮が見られます。立ち上がりを速めるべくプルアップ抵抗は2.2kΩと比較的低抵抗が入れられています。結構短い時定数となっていますね。
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最後にB社の廉価版モデルを見てみます。

ん~、極めてシンプルですよね。やはり廉価版ということで部品点数を抑えているのでしょう。フラグシップモデルとは異なり、コンデンサは1000pF、CPUに入力するところで1kΩの抵抗をシリーズに噛ましているだけで、シュミットトリガも噛ませていません。この回路図にだけCPU名を記しておきましたが、これはあとでCPUのマニュアルを引きやすくするためです。で、このCPUはルネサスのCPUで、ハードウエアマニュアルを見ると、プログラムによってCPU内部にプルアップ抵抗を接続することができるようになっています。当然ですが、この機能を使っているものと思われます。一番シンプルではあるのですが、電鍵を接続するなら短めの配線で、多少長く引き回すならシールド線を使った配線で、若しくはパッチンコアなどを多用するなどして、配線ホット側に余計な回り込みが起きないように注意した方がよいかもしれません。
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C社のリグ
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次はC社のリグです。C社は最近HFのリグの発表が少ないので、ちょっと古いリグのものも含めてみてみます。
まずは、UHFのモービル機です。モービル機といっても、精力的なリグで、オールモード対応になっています。

上の回路図には表していませんが、このCW用電鍵は差込口に妙な工夫がされていて、受け側ジャックはステレオタイプのものが使われています。そして、グランドに近い側のホット端子とグランドとがショートすることによって電鍵が接続されたものと認識するようになっています。ですから、電鍵を接続するためのプラグは、ステレオプラグではなく、モノラルのプラグを使う必要があります。どうしてもステレオプラグを使うなら、グランドに近い側のホット端子とグランドとをショートさせてやる必要があります。
バリバリのアナログ回路ですよね。初段に抵抗内蔵型のトランジスタを使ってるので・・・深追いは止めときます。^^;
・-・-・・
次もC社の製品で、概ね42年程前のオールソリッドステートのコンパクトHF機です。

こちらもアナログ機ですが、割と可愛い回路です。でも、電鍵に直接パスコンを入れるわけではなく、220Ωの抵抗をシリーズに介した回路になっています。ただ、入力の能動部品はトランジスタなので、ほぼ時定数がそのまま遅れ時間になるデジタル系とは異なり、プルアップ抵抗の一端がトランジスタがONとなる閾値のベース電圧より下がると送信状態になりますよね。まぁ、でもそんな感じでした。
・-・-・・
最後もC社のリグで、分類的には高級機ですが、フラグシップモデルではない方です。

これにはちょっと驚きですが、電鍵入力回路を巡って、ホット側・グランド側の双方にコイルが実装されています。信号線には都合3つのコンデンサが使われていて、基板間・外部入力部ともに高周波を落とそうという心意気を感じました。
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言いたかったこと
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ここまで9つのリグの電鍵入力回路を見てきましたが、とにかく言えるのは、各社ともこの端子には電鍵が直につながることを想定していることです。たとえば、あるリグでは47kΩでプルアップしているのに対し、別のリグでは2.2kΩでプルアップしていたりします。その差、20倍。このため、この端子に自作のエレキーなどを接続するときに、安易にデカい値のパスコンを入れちゃうと痛い目を見るよ! ということなのでした。
でも、これって常識でしたかね? 自分はノリだけで、部品箱のなかから手に当たったコンデンサをパスコンとして取り付けるということをやってたもんですから。^^;
(注)各回路図はサービスマニュアルから手と目を使って読み取ったものですので、誤りがあるかもしれません。というか誤りがあると思います。あまり記事の細部を信じないようにお願いします。これらの回路図を使って生じた不都合について、私は責任は負いません。


























