なんだかんだで、1か月ぶりの投稿です。

 タイトルの通りで、HRI-200に接続して、無線機なしでWires-X上のNODEと交信できる、"Portable Analog Node"(!?)機を試作してみました。



 たとえば、FTM-300DなどではPDN(Portable Digital Node)という形式でWires-Xに接続することができ、この場合にはダイレクト運用というモードを選択することができます。このモードでは、ノード局での無線機から電波を出すことなく、通信をすることができます。D-STARでいうターミナルモードと同様の運用形態です。
 ただ、このモード、YAESUのWIRES-Xのページ中、「WIRES-Xノード局とは」中の「ノード局の仕様比較」のところにある通り、アナログノード局運用をすることができません。
 そのため、アナログノード局運用をするためには、HRI-200を導入する必要が出てくるのですが、これを使うと今度はダイレクト運用のように電波を出さずにWIRES-Xを利用するということができなくなります。
 そこで、ダイレクト運用のように電波を出さずにWIRES-Xを利用したいときのために、HRI-200に接続でき、無線機があるのと同じようなことをする、PDN(Portable Digital Node)ならぬ、PAN(Portable Analog Node)専用機が必要になってくるわけです。

 この要請の下、多くの先輩方が独自にチャレンジされていて、素晴らしいものが発表されています。ただ、既に基板の頒布が終わっていたり、ちょっと回路上気になるところがあったりする上、自分の場合には補助的に使いたいだけなので、自分にあった仕様のものを自作することにしたわけです。

 機能としては、紹介するまでもないもので、
(1)INTERNET経由で来た音声はアンプで増幅して内蔵スピーカーを鳴らす、
(2)マイクからの信号は1石で増幅してWires-Xに流す、
(3)接続するマイクは、ICOMのハンドマイクとする、
というだけのことをしています。
 あとは自分世代にある"コダワリ"として、
(4) VUメータを搭載して、マイクからの音声でメータを振らせる、
というものも実装しました。送信信号を何もモニターしないのは心配になるもんですから、気を紛らわせる程度ではありますが、ピクピク動く仕掛けも実装したわけです。^^)v


 具体的な回路は・・・掲載するまでもないとは思いますけど、こんな感じです。アンプ直後の半固定ボリュームを一杯に設定してちょうどよいようなので、ちょっとマイクアンプの部分のゲインが足りない気がしますが、普通に運用するならなんとかなりそうです。


 回路図中、丸いターミナルはHRI-200から来たケーブル(minDIN 6pin)が接続されるところ、四角いターミナルはマイクロフォンのコネクタが接続されるところです。

 使ったAFアンプはNJM2073なのですが、このICはステレオ増幅用であるために、同等のアンプが2つ入っています。そこで、
(1)ひとつはWires-Xから届いた音声信号の増幅に、
(2)もうひとつはVUメータ用の増幅に、
それぞれ使うことにしました。

 ただこのIC、可聴周波数外の高い周波数の発振に悩まされます。そしてその発振の影響を受けて、可聴周波数でも0.2Hz程度のバコバコという発振を招きます。
 ここはアマチュア的にIC直下の基板に高周波を落とすコンデンサを直付けしてこの発振を抑えました。つまり、6ピンと4ピンとの間、7ピンと4ピンとの間に0.1μFのコンデンサを入れたわけです。この技法、オーディオ的には周波数特性が悪くなるために回避するところでしょうが、所詮3kHz帯域で勝負する世界なので、気にせずにやっちまっています。^O^)""

 それから、3.3VでHRI-200に接続するところ(つまり、回路図最上段左側ののトランジスタのコレクタ回路)ですが、インピーダンス・・・というか、ドライブ能力に問題があります。「電圧が過剰になりさえしなければいいんでしょ~♪」というような、明らかに素人さんの作る回路です(まぁ、私も素人なので、いいのですが・・・)。
 ここは、本来、3.3V駆動のドライバを使ってやるのが本筋であることは分かっているのですが、スペースに余裕がないうえに、これを使っているときには電波を発射することもないので、気にせずにこのまま実装しちゃいました。商品として販売するならば、この回路構成は避けるべきですよね~。
 ちなみに、「最初から3.3Vで駆動すればいいじゃん!」という罵声を浴びせることはできますが、手持ちのICOM「SM-50」の電源は5V以上ということなので、これを意識して、5Vは必須としました。もちろん、「マイク専用に別途5Vのレギュレータを積めばいいでしょ~。」とも考えましたが、このレイアウトでそれも厳しい。。
 ってなわけで、素人丸出しの回路構成にしたわけです。

 あと、諸先輩方が実装されているような、タイマー表示は実装していません。自分がこれを使うときには、PCの画面を開いていることが殆どなので、「不要」と判断しました。

 基板はこんな感じになりました。


 さて本機ですが、echoLinkのゲートをされているNODEに接続してエコーバックを確認しただけで、未だどなたとも交信していません。よって、性能評価はできておりません。あしからず。
 というわけで、どこから見ても、他人が見ても、自分で見ても、ヒデぇ回路なので、くれぐれも、参考になされないようにお願いいたします。m(_ _)m

 ところで、HRI-200に直付けする回路はネット上で多く紹介されているのですが、上述の通り、ものによっては気になるところがありました。それは、回路側で5Vスイングの信号を作ってHRI-200に供給しているものがあった点です。HRI-200は、3.3Vスイングです。
 「WIRES-X 接続用キット HRI-200 (DG-ID 機能対応)取扱説明書」の104ページ、HRI-200定格によれば、

 となっています。
 HRI-200の入力側で、オーバースイング防止用のダイオードが入っているとは思いますが、ドライブ能力によっては負担を強いることになると思われます。

 なお、こういう使い方はおそらくYAESUさんのWires-Xビジネスモデルに反しているので、これで常用というのは避けた方がいいかなと、思っています。
 とはいえ、機能検証や実験用をしたいときもあり、一方で、既にPDNをWires-Xシステム中に実装した経緯もあるわけでもあるのですから、まぁ、「強く避けるべき!」とまでは言えないかなとも思っています。
 まぁ、物事には適度というのがある・・・いうことで。

 とりあえず、こんなところで。

 ところで、「そのうち公開します」と宣言してあるFTDX10のCAT支援機の方ですが、折角メモリ容量が爆増したのですから、ちょいといろいろと実装しちゃってます。
 全プログラムの公開は今しばらく先になりまぁす。^^;

 そんなところで。