暁の峰 -25ページ目

犬が家にいた

…と、如月に入ったばかりの頃、彼からメールが来ていました。

彼の家の構造なぞ知りませんが、どうも朝起きたら母屋にいたそうです。


その子が家にいる経緯がさらっと書いてありました。

とても子どもが話せるような内容ではありませんでした。

…じゃあ、誰に聞いたの?

考えられるのは一人しかいません。


今まで特に彼の家庭の話には触れてきませんでした。

それは私自身聞きたくなかったのもあって…


奥様が彼に対して

【無関心】

【ほとんど会話もない】

という状態なのだと付き合い始めに聞いていました。


…話すんじゃん。


そう思って押し殺してきた奥様への強い嫉妬心が爆発して、大きな喧嘩に発展しました。

こんなにも彼を好きだったのかと思いながら。



どうしても会って話をしたくて、でも喧嘩腰になってしまって…

「楽しかったことまで嫌になりそうだから、別れるつもりならもう会わない」

とまで言われました。



結局、たった30分会うために、1時間車を飛ばしてきてくれました。

彼は今までに見たことがない、悲しそうな顔をしていました。

「別れるなんて言わないで」

と、悲痛の表情を浮かべながら言われました。



愛情表現は人それぞれ。

でもこんなにも強く愛されたことはあっただろうか…。

こんなに【私】を欲してくれた人はいただろうか…。




そうは思ったものの、この事件を境に私の気持ちは大きく変わりました。

どれだけ彼を愛していても、報われることはない。

結局最後は私じゃないんだ、と。