ごめんね | Snow white ~さよなら 先生

Snow white ~さよなら 先生

はじめまして 日記という形で、香川先生との出逢いから別れの3年半を回想させていただきます。 

まだ梅雨も明けていない

ここ広島地方ですが

(本当は もう明けているんじゃないかなぁ?)

今日も とても暑い1日晴れでした。

なので と言ってはなんですが

この土日

なんと私は 一歩も外に出ませんでした。

唯一

洗濯物を干しお洗濯。 取り込むために出た

ベランダが唯一の『外』という体たらくです。

(土日ほとんど エアコンがフル稼働のため

次の電気料金の請求書が

とても怖いガクブル今日この頃です)




さてさて

話はあの頃にタイムスリップします・・・


5月も半ばを過ぎた頃

怪しげな刃物入りの手紙が届き

それが原因で 

電話で私が 先生を少し怒らせてしまい

私は 自分の携帯電話の電源を切っていました。

そんな状態にやきもきした先生が

あらためて自分の気持ちを

手紙というかたちで私に伝えてくれました。

行間から溢れかえりそうな

香川先生の まっすぐで誠実な想いに

いくら変な手紙をもらって動揺していたとはいえ

不用意な発言で

自分が先生を傷つけてしまったことに

精神的にまだ幼かった私は ようやく気づくのでした。


先生はここのところ忙しくて

「うちに帰れるのがちょっと遅い」と 手紙に書いていました。

忙しい上に そんな時はきっと

外で遅い夕食をとって帰るだろうから と

その日私は 夜の11時頃に

先生の携帯に電話をしました。

さすがにこの時間には 帰宅していると思ったのです。

呼び出し音が3回ぐらい聞こえたあと

先生の声が聞こえました。

「はい 香川です。」

よそゆき つまり明らかな「仕事用の声」でした。

「・・・あ カナです。」

私もつられてしまったようです。

「ああ カナかぁ

てっきり学校からかと思ったよ。」

こんなに遅い時間なのに

学校から電話がかかってくる用事が

まだ残っているみたいでした。

「まだお仕事中じゃったん?

忙しいのに 邪魔してごめんね。」


私がそう言うと 

「いや もう家に帰ってんねん

そやけどまだちょっと やることがあってなぁ

カナ・・・

電話 かけてきてくれてありがとうな

こっちが片づいたら 俺の方から電話する

絶対するから 待っててくれるな?」


珍しく 先生が早口になっています。

「うん

あっちゃんからの手紙 受け取ったよ

何回も読んだん

うち すごくうれしかった

それと

ごめんね あの日変なこと聞いて

・・・電話 待ってる

もう 電源切ったりせんから

ごめんね・・・」


私がそう言うと 先生がくすっと笑いました。

「そのことも

あとでゆっくり話そう な?

せっかくかけてきてくれたのに ゴメンな

もうちょっと待っててな

・・・電源は 切らんといて。」


どんな仕事が残っているのか 想像もつきませんが

今年先生は 初めての3年生担任なので

きっと色々 用事が多いのでしょう。

あとで必ず電話をすると言って 先生は電話を切りました。

最後のひと言の時 少し笑っていたようです。



もうすぐ日付が変わるという頃に

私の携帯が鳴りました。

待ちかねていた私は すぐに出ます。

「カナ?

遅うなってゴメンな

もう 寝なあかんのにゴメンな。」


先生の優しい声を聞くと 胸にこみあげるものがあります。

「ううん

うちの方こそゴメンね

あの時 あっちゃんに変なこと聞いて

うちがあっちゃんじゃったら 嫌じゃもん

ゴメンね。」


泣きそうになりましたが

こういう時に すぐに泣いてはダメだと思い

必死でこらえます。

「あんな手紙が来て

カナ 怖かったやろうし 不安やってんから

しゃあないよ

それより 怪我はもう大丈夫なんか?」


指の切り傷は思っていたよりも深くて

まだ絆創膏がはずせないでいましたが

水仕事をなるべくしないで済むように

お夕飯を 買ってきたできあいのものにしていたら

傷口がだんだんふさがってきて

そろそろ 絆創膏無しでも大丈夫そうです。

先生にそう伝えると

「よかった ほんま大事にならんでよかった

でも 誰がそんなもん送ってきたんか知らんけど

カナに痛い目さして ろくなやっちゃないなぁ

ほんま 治ってきてよかった。」

思い出すと腹が立ってくるのか

先生は ちょっと興奮した口調で 

しかもまた早口になっています。

「うん ちょっと日にちかかったけど

もう痛くもないし 大丈夫じゃ

・・・さっきも言うたけど

うち すごくうれしかった

あっちゃんからの手紙 うれしかった

ありがと・・・」


あの手紙にのせてくれた 先生の想いが

とてもうれしかったことを あらためて伝えました。

「よ  読み流してくれてええぞ

あれ書いた時は俺 ちょっと気分が高ぶっててなぁ

だいぶこっぱずかしいこと書いてしもたからな

恥ずかしいなぁ もう。」


電話だから その姿を確認することはできませんが

きっとこの瞬間

先生はきっと 自分の髪の毛をさわっているのだと思います。

あとで聞いたところによると

『恥ずかしさMAX』の状態だったようですから

間違いないと思います。

「ううん

あれは うちのたからものにする

だって すごくうれしかったんじゃもん

『僕にはカナだけだ』って

本当 うれしかったん

だから うちあれから何回も読み返してるんよ。」


「・・・読み返さんでええから カナ」

電話の向こうの先生は

きっと 真っ赤になっているのでしょう。

でも 本当に私はうれしかったから

あの手紙を読んで 

先生の想いをあらためて知って

これ以上ないくらいに幸せだったから

先生にその気持ちを伝えたかったのでした。

「うちも あっちゃんだけじゃから

こんなに好きになれる人 あっちゃんしかおらんから

だから あの変な手紙に

『あの人がするキス とっても上手でしょ』ってあって

うちショックで・・・

あっちゃんのこと 本当に疑った訳でないけど

『私の方が篤史さんを愛してる』って・・・」


あの手紙の文言を思い出すと

私もいつしか興奮した口調になっていました。

「そんなん 比べるもんと違うのになぁ。」

「えっ?」

先生の言葉に 私は聞き返しました。

「誰より自分の方が好きとか 愛してる とか

そんなんを 比べる事自体がおかしいんや

自分がその人を好き それでええ事なんや

たとえば

俺が カナのことを好き 愛してる

それでええのに

ところでカナ  来月の日曜のことやけど・・・」


そうでした それを伝えるための電話でもあったのでした。

「うちなら大丈夫じゃ

今のところ何も予定ないから あけとくね

でも あっちゃん大丈夫なん?

忙しないん?」


私が訊くと 土日両方は無理だけど

日帰りならなんとか都合がつくのだと言います。

「無理せんでね?

うちは あっちゃんが来てくれたらうれしいけど

そうじゃ

今度はうちが新大阪まで迎えに行くっ!」


そう言うと 先生の笑い声が聞こえてきました。

「そやな そうしてもらおか?

でも ちょっとでも長く一緒におれるように

一番早い新幹線で 行こ思ってるんや

早いで・・・」


何時に新大阪に着くのかと訊くと

たぶん 朝の7時ごろだと先生は言います。

「はやっ!」

「朝の散歩がてらに 迎えにきてくれるか?

嘘々 無理せんでええから

カナは部屋におってくれたらええから。」


先生はそう答えましたが

たまには 駅まで

それもうちの最寄り駅でなく 新大阪まで

迎えに行ってみたくなりました。

「うち 迎えに行くっ

あの手紙を書いてくれたお礼じゃ

それと 

あっちゃんのこと やきもきさせたお詫び。」


私がそう言うと

先生がまた笑いました。

「あはは

ほんまや それはしてもらわなあかんなぁ

どうしたんやろ思て 心配したんやから

ところで カナ?

あれからは 変な手紙来てないか?

もし来たら ちゃんと俺に話して。」

「うん

でももう たぶんあれでおしまいじゃろ

そんなに何回も来たら うち困るもん。」

1回の手紙できっちり学習させてもらいましたが

それでも 

複数回受け取って 気分のいいものではありません。

「そやな

あんなん来ん方がええわな

もしまた来たら の 話やけどな。」



こうして 来月早々に 

先生がこっちに来ることになりました。

3年の担任をしている先生が

そろそろ忙しくなる時期です。

お昼ご飯は何か Powerの出るものを作ろう

先生が大好きで喜ぶものといえば

ステーキステーキ か 焼き肉焼肉 です。

まだ2週間以上も先のことだけど

あれこれ考えるのが楽しいのでした。

そして 

あの嫌な手紙のことを忘れかけた頃に

私のもとに 今度は別のものが届くのでした。