過去2世紀の間,多くの宗教団体は悲惨な状況にある人々の救援に先頭に立って尽くしてきました。すべての人は神にとって等しい存在であるとそれぞれの信者が信じているからです。(創世1:26)そうしたすばらしい模範例が,大英帝国で奴隷売買の廃止に尽力したイギリスの偉大な政治家ウィリアム・ウィルバーフォースです。(ウィリアム・ヘーグ,William Wilberforce: The Life of the Great Anti-Slave Trade Campaigner, (2007年),352-356)彼の高潔な活動の話は,心を打つ賛美歌「アメイジング・グレイス」,そして精神を高揚させる,1800年代初期の雰囲気をとらえた同じタイトルの映画に描かれています。ウィルバーフォースの不屈の努力は,この悲惨で堪え難く,残酷で腐敗した慣習を撤廃する第一歩となりました。そうした努力の一環として,彼はほかの指導者と協力して一般市民の道徳観の向上に取りかかりました。教育と政府は道徳を基としなければならないと信じていたのです。(ヘーグ,William Wilberforce,104-105)「彼は結婚制度を擁護し,奴隷売買の慣行を攻撃し,安息日を守ることを強調するなど,道徳的,精神的な豊かさという理想のために人生をささげました。」(ヘーグ,William Wilberforce,513)精力を尽くし,国中の悪との戦いに国家の道徳的,社会的指導者を動員したのです。(ヘーグ,William Wilberforce,107-108)
わたしたちの教会の初期に,会員の大多数は奴隷制に反対でした。(ジェームズ・B・アレン,グレン・M・レナード 共著, The Story of the Latter-day Saints, 第2版(1992年), 93, 120,202参照)これは宗教上の信念とともに,敵意と集団暴力を招いた大きな要因であり,ミズーリ州のボッグス知事が撲滅令を発布する事態にまでなりました。(レナード・J・アリントン, デービス・ビトン共著, The Mormon Experience: A History of the Latter-day Saints, 第2版 (1992年),48-51参照。クライド・A・ミルナー他著,The Oxford History of the American West(1994年),362: “Proslavery settlers and politicians persecuted them mercilessly.”も参照)1833年,ジョセフ・スミスは次のような啓示を受けました。「どんな人であっても,一人の人がほかの人に束縛されるということは正しくない。」(教義と聖約101:79)信教の自由を擁護し,すべての人を神の息子娘として扱うことは,わたしたちの教義の中心です。