キシにはサウルという名の子があった。若くて麗しく、イスラエルの人々のうちに彼よりも麗しい人はなく、民のだれよりも肩から上、背が高かった。
「わずかな誤差」2008年4月、ディーター・F・ウークトドルフ、大管長会
イスラエルの王サウルの物語はその良い例です。サウルの人生は偉大な約束とともに始まりましたが,結末は不幸で悲劇的でした。聖典には初め,サウルは「若くて麗しく,イスラエルの人々のうちに彼よりも麗しい人はな〔かった〕」と記されています。(サムエル上9:2)サウルは神から直接選ばれて王となりました。(サムエル上9:17参照)多くの長所を兼ね備えていました。体つきも見事で,名のある家柄の出身でした。(サムエル上9:1参照)
もちろんサウルにも弱点はありましたが,主はサウルを祝福し,支え,栄えさせると約束されました。聖典には,神は常にサウルと一緒におられ,(サムエル上10:7参照)サウルに別の心を与え,(サムエル上10:9参照)サウルを新しい人に変えると約束されたと書かれています。(サムエル上10:6参照)
主の助けがある間,サウルは卓越した王でした。イスラエルを統一し,イスラエルを侵略していたアンモン人びとを打ち負かしました。(サムエル上11:11参照)その後すぐ,サウルはさらに大きな敵に直面します。ペリシテ人びとです。ペリシテ人びとには戦車と騎兵から成る恐ろしい軍隊がありました。さらに「民は浜べの砂のように」多くいました。(サムエル上13:5)イスラエル人びとはペリシテ人びとを非常に恐れ,「ほら穴に,縦穴に,岩に……身を隠し」ました。(サムエル上13:6)
若い王には助けが必要でした。預言者サムエルは,自分がサウルのもとに行って燔はん祭さいをささげ,主に助言を求めるまで待つようサウルに伝言しました。サウルは7日間待ちましたが,サムエルは到着しません。しびれを切らしたサウルは民を集め,神権の権能を授かっていないにもかかわらず,自分で燔祭をささげてしまいました。
サムエルは到着すると,心底落胆してこう言いました。「あなたは愚かなことをした。」新しい王サウルがもう少し忍耐し,主の道を離れず,啓示された神権の秩序に従ってさえいたら,主はサウルの王国を永遠に確立されたことでしょう。サムエルはこう言いました。「しかし今は,あなたの王国は続かないであろう。」(サムエル上13:13-14)
その日,預言者サムエルはサウルの性格に重大な弱点があることをはっきりと知ったのです。外部の影響から圧力を受けたサウルには,道にとどまり,神と神の預言者を信頼し,神が確立された規範に従うだけの自制心がなかったのです。


