俳優として一流に・・・そして新たな映画の可能性に向かって・・・ -244ページ目

コーションランプ予備軍


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先週のトレーニング。




私の演じるヒューマノイド椿は、もはや人間かと思わせるほど表情豊か、愛情豊かになっていた。




これは演技プランどうこうで造り上げたものではなく、


この2ヶ月間行ったバックコンストラクションというトレーニングの結果、こうできあがってしまったというもの。




誠一の介護ヒューマノイド(ロボット)でありながら、


誠一を手本にし、


誠一に好意を抱き、


誠一を尊く想い、


誠一をいとおしく感じ、


誠一への愛が芽生えた。




この数ヶ月、台本にない部分を台本の延長線上で演じ、役の軸を構築してきた。


このバックコンストラクションで私の得たものは本物だったし、役の構築にぶっとい軸を挿せるモノだった。








だけど、


私はとても大きな忘れ物をしていた。








結局、演じて見せるものはバックコンストラクションではなく、台本の中の2時間の世界ということ。




バックコンストラクションで限りなく人間化に進化してしまったヒューマノイド。。。




見たいのは、見せたいのは、見せるべきなのはソレではない。







先週のトレーニングで、ソレに気づいた私は、


この数ヶ月、作り上げた椿の軸がポッキリと折れてしまった気がした。







すでに誠一の顔をみると、自覚できるくらいの愛は生まれてしまっていたし、ソレを隠すこともできないくらい大きくなっていたし。。




それくらいヒューマノイド椿は人間化してしまっていた。






結局、1週間考えあぐねて出した結論は、




『いったん更地に戻す』




この数ヶ月のバックコンストラクションを全くなかったことにして、




『ヒューマノイドは人間のように感情豊かではない』


『ヒューマノイドは人間のように表情豊かではない』


『ヒューマノイドは気持ちで動くのではない』


『ヒューマノイドは思考も表現もロジカル・メカニカルであるべき』




とまさに180度方向転換して椿を作り上げた。










この数ヶ月、


本気で全力で向かっていたトレーニング。


そのトレーニングで得たモノ。


全くなかったことにするなんて、ありえないくらい悲しかったし、腹が立った。


でも、完璧に人間化してしまったヒューマノイドはもっとありえない・・・と腹に押し込めた。










結果、




今週のトレーニング。


完璧にロボット(機械)になってしまった椿がいた。


なんの感情も流れていない、ただの動くスピーカーのように。


ただの家電。そのものに。










違う、違う。ちがう。


こんなの魅力的じゃない。面白くない。見たくない。










ヒューマノイドってなに?


ヒューマノイドの定義ってなんなの?


ヒューマノイドと人間の違いってどこなの?


もう、キャパオーバーだよ。。。








『ピコン・・ピコン・・ピコン・・』








私のコーションランプがグルングルン廻り、赤を撒き散らし始めたとき、




マスクで眉間に皺を寄せながら、コーションランプを止めてくれた仲間がいた。




彼女もまた、ヒューマノイド役で同じところでコーションランプ予備軍。









もしかしたら、来週はまた新しいヒューマノイド椿が生まれるかもしれない。。










コーションランプは未だ胸のど真ん中にあるけれど、、、










そんな気がした。














ヒューマノイド椿役  河野 仁美

残り一回

俳優として一流に・・・そして新たな映画の可能性に向かって・・・-宮下写真


宮下純です。


さて、残すところあと稽古は一回。


しかしながら、現在の私の状況は五里霧中。


てか、桜が遠いんですね。


私の思い描く桜が、実際形を成していない。


えぇ、大問題ですね。


でもね、ちょっとだけ、思ったわけですよ。


バッコンという今回の稽古方法。


その稽古で得た経験をバッツリ自分と切り離して、外側から桜を見たらどうなのかなって。


勿論、経験したのは私だから私と切り離すことはできないんだけれど。


目の前に、完成した桜を作り上げて、それに自分をはめたらどうなのかなって。


んー、違うのかなぁ。


でも、以前に考えた桜は目の前に作ろうとしても形を成していなかったけれど、今はぼんやりだけど、いるんだなぁ。


それは決して私ではないんだけれど。


だけど、ソコにいるのは桜な気がするんだ。


なんだろう。


でも、それを自分で演じるとなるとまた話は別なのかな……?


う……ん……。


でも、まぁ、迷っている時間があったらやるしかないんだよね、と思ったり。


あ~、駄目だ。


混乱してきた。


何なんだろうなぁ。


機械って何なんだろうなぁ。


ヒューマノイドって何なんだろうなぁ。


いや、今更何言ってんだって話なんだけど……。


でも、結局思うのは、桜はヒューマノイドで、私は人間だという事。


人間はヒューマノイドにはなれないし、ヒューマノイドは人間になれない。


だけど、ヒューマノイドが人間に近付くことができるのであれば、人間はヒューマノイドに近づくことができるだろうという事。


うん、ちょっと訳が分からなくなってきたけど、とにかくやるしかない、ってことだなぁ。


うん。


よし、やろう。


ちょっと、目の前の桜に問いかける所からスタートすることにします。


二週間後、どうなっているかは自分でもさっぱり想像できないけれど、今より近付けていることを祈りつつ……。

今の俺は、

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しっと【嫉妬】
[意]愛する人の心が他へ移るのを憎むこと。自分よりすぐれた人をうらやむこと。



おに【鬼】
[意]想像上の生き物。怪力で、非情。情けしらずな人。血も涙もない人。1つのことに精魂を傾ける人。



それが

おれ【俺・己・乃公】
[意]男性が同輩や目下の人と話すとき、自分をさす語。



みりょく【魅力】
[意]人の心を引きつけて離さない不思議な力。



うむ【産む・生む】
[意]母が子や卵を腹から外へ出す。新しくつくり出す。


北舘祐太郎


北舘祐太郎「オスカーへの道」

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